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良くも悪くも自分のしたことを過大に見積もる 「自己中心性バイアス」

良い行いは自分がするし、悪い行いは他人がする

日本における実験(1993年)で、被験者たちは、公正な行動については「わたし」という言葉から書き始めるが、公正ではない行動については、「人は」という言葉から書き始める傾向がありました(※2)。


自己中心性バイアス(Egocentric bias)

自己中心性バイアス(Egocentric bias)とは、

他の人がしたことよりも、自分のしたことを過大評価する傾向

です。マイケル・ロス(Michael Ross)とフィオーレ・シコリ(Fiore Sicoly)は、1979年に発表した論文「Egocentric biases in availability and attribution」(※2)で、この自己中心性バイアスを初めて指摘しました。またこの言葉がつくくられたのは、1980年、オハイオ州立大学の心理学者アンソニー・グリーンウォルド(Anthony Greenwald)によってです。このバイアスは、年齢や話す言語の数などによって変わってきます。

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発生する理由

人は、記憶を自分に関連させて保存します。出来事や成果について自分との関わりの部分を拡大することで、記憶を強化するため、自分が果たした役割を実際より大きくして記憶します。そのため自己中心性バイアスが発生します。

年齢が高くなると強くなる

自己中心性バイアスは、若者より中年層、中年層よりも高齢者層で強くなる傾向があります。これは、頭頂葉の右上側頭(rSMG)が、思春期に発達を終えてしまうことによるものだと考えられています。

話す言語が増えると自己中心性バイアスは減る

バイリンガルの人たちは、そうではない人に比べて、他人の考えに注意をより払う傾向があり、そのため自己中心性バイアスが発生しづらくなっていました。


対策・応用

歳を取るごとに他者の視点を持つ訓練を積む

文学、とくに古典などを読むのも効果があるかも。


関連した認知バイアス

•自己奉仕バイアス(Self-serving bias)
成功の要因は自分にあり、失敗の要因は自分以外にあると考える傾向

•偽の合意効果(False consensus effect)
自分の態度や行動を典型的なものと考え、同じ状況にあれば他者も自分と同じ選択や行動をするだろうと考える傾向

認知バイアス

認知バイアスとは進化の過程で得た武器のバグの部分。紹介した認知バイアスは、スズキアキラの「認知バイアス大全」にまとめていきます。


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参照

※1:Egocentric bias

※2:Egocentric Biases in Availability and Attribution

※3:Tanaka, Ken'ichiro (1993). "Egocentric bias in perceived fairness: Is it observed in Japan?".


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