自分に似ている人を守りたくなる 「防衛的帰属仮説」
被害者が自分に似ていると加害者の罪はより重いと考え、加害者が自分と似ていると罪はより小さいと考えてしまう
被害者が、自分に似ているとき、加害者の罰をより重いと考える傾向が人にはあります。一方で、加害者が自分に似ている場合は、罪はより低いと考えてしまいます。これらを「防衛的帰属仮説」といいます。
防衛的帰属仮説
防衛的帰属仮説 (Defensive attribution hypothesis)とは、
事故などのニュースを聞いた時、被害が大きいほど、あるいは被害者が自分の立場と似ているほど、より加害者の責任が重いと考える傾向
一方で、加害者と自分が似ているときには、その責任を小さく考える傾向
です。防衛的帰属仮説は、加害者の罪を重くすることで、事件や事故を制御可能なものと考えることから起きるバイアスです。ウォルスター(Walster)は、不幸がランダムに誰にでも起こりうると信じることは恐ろしいことであり、誰かに責任があり、罪があると考えることで、不安を収めることにつながるという役立つという仮説を立てました(※2)。
またシェバー(Shaver)は、目撃者と不幸に巻き込まれた人との類似性によって、感じる責任の程度が変わると説いています(1970年)。ウォルスターの研究が帰属責任の増加を示唆していたのに対し、シェーバーの「防衛的帰属」の概念は、加害者と関係者の間の認識された類似性に基づいて、責任の最小化を主張しました。シェイバーは、被験者に出来事を描写し、描写される状況や人物が被験者と一致するか、異なるかを変化させることで、この反応を実証することができました。
1981年、ジェリー・バーガー(Jerry Burger)は、防御的帰属仮説に関するメタ分析を発表し、シェーバーの仮説である類似性と責任の負の関係を支持する強力な証拠を発見しています(※3)。
性的暴行
性的暴行について、男性は、一貫して女性よりもレイプ犯を非難しておらず、男性は、女性よりもレイプ被害者を非難する傾向がある研究で明らかになっています(※4)。一方、女性のレイプ被害者に個人的に似ている女性は、男性よりも被害者を責める度合いが低いという結果も出ています。
対策・応用
事件や事故の関係者が自分に似ていると判断に歪みが生じることを知っておく
裁判官や検察官などは、これらのバイアスを知っている必要があるでしょう。
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参照
※1:Defensive attribution hypothesis
※2: Walster, E. (1966). "Assignment of responsibility for an accident"
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