特定の人が困っていると助けたい気持ちが強くなる 「身元のわかる犠牲者効果」
身元のわかる犠牲者効果
身元のわかる犠牲者効果 (Identifiable victim effect)とは、
ある人が、困難な状況に置かれている場合、同じような状況の集団に対してよりも大きな援助を提供する傾向
です。この効果は、援助ではなく、罰を与える場合にも見られます。一人の子供が井戸に落ちたら世界は救出のために大騒ぎするが、大気汚染で数万人が死んでも大して騒ぎにならない。
スターリンの言葉
ヨシフ・スターリンの言葉に、この「身元のわかる犠牲者効果」を意味すると解釈できる言葉があります。
「一人の死は悲劇であり、百万人の死は統計である」
(A single death is a tragedy; a million deaths is a statistic.)
具体的なイメージや表現は、抽象的な統計よりも強力な説得力を持つことがあります。 例えば、ライアン・ホワイト(Ryan White)さんは、13歳でHIVに感染し、6年後に亡くなるまで病気と闘いつづけました。ホワイトさんの死後、米国議会は「ライアン・ホワイト・ケア法」を可決し、国内最大規模のエイズ患者へのサービスを提供することになりました。
ヨシフ・スターリン
メタ分析の結果は、r = .05
40以上の研究を対象にしたメタ分析の結果、この「身元のわかる犠牲者効果」は、r = .05〜.10。で、解釈は無効から小さいというレベル。
対策・応用
取り扱い注意
効果が疑わしいわりに、世間に対して被害者の情報が広がりすぎるため、この「身元のわかる犠牲者効果」を有効利用しようとする試みは、費用対効果が悪そうです。
関連した認知バイアスなど
•コンパッション・フェード(Compassion fade)
助けを必要としている人の数が増えると、共感性が低下する傾向
認知バイアス
認知バイアスとは進化の過程で得た武器のバグの部分。紹介した認知バイアスは、スズキアキラの「認知バイアス大全」にまとめていきます。
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参照
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