どこかへ行きたい病。
樹々が微笑う
やわ雲が誘っている
枝垂れる雪やなぎが
思わせぶりに香る
髪をそよりと揺らしたりする風
それらが私を呼んでいる
こっちへおいでと手招きをする
今ここにいる私は
もぬけのから
まだ生まれていない街の名前を知りたい
はじめての足音を立てて
緑の風の中
止められない
私は私ではないという衝動
脱いでゆくこころとコート
ここではないどこかへ
春先の光の色を見に行くのだ
***
だいぶ昔に書いたものをリライトしました。
春先の光は
《どこかへ行きたい病》を誘発するのです。
ああ。
どこかへ行きたいな。
どんなに忙しくても
どんなにため息の日々が続いたとしても、
知らない土地の空気の匂いを嗅ぎたい気持ちを、
少しも失くしたりはしないのです。
文章を書いて生きていきたい。 ✳︎ 紙媒体の本を創りたい。という目標があります。