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鈴懸ねいろ
2023年8月1日 12:28
久しぶりの雨音に耳を傾けているうちに、寝入ってしまったらしかった。夜の窓の隙間から雨の匂いがした。何日も何日もひとしずくの雨さえ降らなくて、地面は干涸び植物たちは渇きに喘いでいた。ああ、やっと潤うんだね。樹木は何でも覚えてしまう伸び盛りの子どものように、どんどん雨水を吸いこんでゆくのだろう。やがて外が明るくなってきたけれど、いつものような強い光は入ってこない。起き出してカ