【SUZU Story vol.2】 私が、元々は苦手だった「料理」を仕事に選んでいる理由 : 三元 真凜
【SUZU Story】は、SUZU GROUPのスタッフがそれぞれの考えやお店での出来事、新潟への想いを語る企画。
Vol,2は、新潟市のFARM TABLE SUZUで店長を務める三元が「料理」をテーマに、自身のルーツとこれからを考えた記事をお届けします。
今回私が記事を書くにあたり、「料理」というテーマをいただきました。
正直、少し驚き・・・私に「料理」とは、どういうことだ?!技術についてなんて語れないぞ?!と尻込みすらしました(笑)
なんせ、専ら食べる専門の私です。SUZU GROUPに入社し、初めて飲食店に勤めることになるまで、料理が苦手ですらありました。
ということで、まずは「料理」というキーワードで、自分のこれまでを思い返すことにしてみました。
私が生まれ育ったのは新潟市豊栄という、市内でも農業が盛んな所。毎年夏にはトマトの出荷で賑わうエリアです。
△実は「道の駅発祥の地」でもあります。
料理上手な母と新潟の伝統料理を好む祖父と一緒に暮らし、幼いころから、祖父と一緒に食用菊の花をむしったり、いんげんの筋を取ったり、蕗の筋を取ったり。時には地元のお母さんがリアカーを引いて野菜を届けてくれたり・・・。
「料理」についてを考えていたはずが、そんなちょっぴり田舎くさくて、でもとてもあたたかい記憶を思い出し、『私にとって”新潟の食”が大切なもので、そのルーツが身近にあった』ということに改めて気付いたのでした。
そんな幼少期を過ごした私がSUZU GROUPに入社したのは約6年前のこと。
ずっと身近にあった新潟の食、思い出の味、大好きな新潟の料理を、こんなにもおしゃれに、けれど地元の魅力はそのまま、ありのままに大切に伝えている。
そんな取り組みに、とってもワクワクしたのをよく覚えています。当時25歳の私はそのワクワクを抑えきれず、勢いで転職をしていました。
私が希望したのはキッチンスタッフ。食材のこと、調理の仕方、それを使った伝え方、自分が感じたワクワクの裏側を知りたい気持ちが大きかったからだったと思います。
とはいえ、飲食店経験のない私の要領の悪さと言ったら・・・けれど(だからこそ?)常に新しい発見とワクワクを感じていられたのだと思います。
毎日先輩スタッフの技術を近くで見て学び、それを見ては感動し、新しい食材との出会いにまたワクワクしていました。
『将来はこのワクワクの気持ちを自分が伝える側になっていくぞ』ということが、当時の一番のモチベーションでした。
SUZU GROUPに入って間もない頃に私が一番刺激を受けたのは、社内で行われている「料理提案会」でした。
私たちの料理提案会は、「新潟の食材や伝統を活かしつつ、季節・テーマに合わせたオリジナルの料理を考案・プレゼンする」というものです。
初めて参加した提案会では、自分の地元の豊栄トマトをメイン食材に選びました。自分の知っている地元の魅力を精一杯伝えたいと思ったからです。
提案会では、実際の提供を想定した形まで仕上げ、実際にマネージャーやオーナーシェフが試食。その場でフィードバックしてもらいます。
そこでさらに“新潟らしさ”や“SUZUらしさ”のエッセンスが加わることで、より食材の魅力を伝えられる料理に生まれ変わる瞬間を見た気がしました。
「調理方法をこうするともっと食材が美味しくなるし、特徴が活かせるね」「食材を余すことなく、普段だと破棄しちゃう部分まで利活用すると面白いかもね」など、目から鱗のアドバイス。
『料理を通じて新潟の魅力を伝えるってこういうことだ!』と心を動かされました。
まずは自分が新潟の食の魅力をもっと知るところから。自分なりに食材の魅力を考え、味の特徴を深堀りすることで魅力をもっと引き出せるんだと思ったのを覚えています。
料理提案会の他にも、食材をより理解するきっかけとなったのが、生産者さんの元を訪ねる機会です。
勉強会や、店舗のイベントとして伺うこともあれば、ありがたいことに、生産者さんからお招きいただいて伺うこともあります。
普段何気なく使っている食材にも、生産者さんの熱い想いがこもっていて、その場所、その環境で作られている理由もしっかりあって。
なんでこんな過酷な地で?!という場所で育っている野菜や、豪雪地だからこそ、雪の恩恵を受けてぐっと美味しくなる野菜たちを見て、『知らないままではその意味がなくなってしまう、守り伝えられなくなってしまう』ということを肌で感じました。
同時に、食材に込められた想いを伝え、生産者さんとお客様を繋ぐことは、「料理」を提供する立場だからこそできることなのだと、自分の仕事に誇りも感じました。
最近では、イベントへの出店や店舗で県内外の方とお話しする機会が戻ってきました。
その度に、「これって新潟ならではだったんだ」と自分自身が気付かされることもあり、私の中の当たり前が当たり前じゃないことに驚きとワクワクを感じています。
先日出会った、沖縄からご旅行でいらっしゃったご家族は、これから佐渡に行くとのことで、「えごねり」に興味を示されていました。
えごねりを食べていただくだけでなく、原料であるエゴ草をお見せしたところ、小学生の男の子がとても興味を持ってくれて、最終的にはその男の子・エゴ草・私で記念撮影(笑)
その子にとっても、新潟での食体験がワクワクのきっかけになっていたらいいなと、あたたかい気持ちになりました。
私が普段勤務しているFARM TABLE SUZUでは、小さなお子様を連れたご家族やおじいちゃんおばあちゃんと三世代でのご来店、お昼休みに来られるサラリーマン、県外・時には海外からご旅行でいらっしゃる方・・・と様々な方がいらっしゃいます。
いろんな方が利用されるからこそ、お子様にとって「初めて家族で食事した思い出のな場所」、ご旅行で「また食べたい味」、馴染みの「好きな場所」と、それぞれの特別な場所になれればと思っています。
こうして振り返ってみると、今の私にとっての「料理」は、食べるだけでなく自分のワクワクしたことを「伝えるためのツール」でもあるんだなと感じました。
「自分の知らない新潟があったなんて!」「新潟って面白い!」そんなワクワクの輪を広げていきたい。私が以前に感じたような感動を伝えるために「料理」を仕事にしているのだと思います。
ここまで書いてきて、“ワクワク”って、とても抽象的な言葉だなと。
他の言葉を探してみましたが、やっぱり“ワクワク”としか言い表せないこの感情。
興奮したり、ふふふっと笑顔になったり、ときには感動のあまり涙したり、いろんな感情が湧く瞬間・・・全て私にとっての“ワクワク”なのです。
何によって感じるかはきっと人それぞれですが、誰しもそんな瞬間があるのではないでしょうか。
お客様はもちろん、一緒に働くスタッフにもこの“ワクワク”を感じてほしいし、そのきっかけを作れる店長でありたいとも思っています。
新潟ってこんなに面白いんだよ、伝えることってこんなに楽しいんだよ、お客様がワクワクしていると自分自身もこんなに嬉しいんだよ。
日々の営業でそんなことが伝わっていると嬉しいです。
さて、テーマに戻ります。
私にとっての「料理」は、自分自身がワクワクできて、そのワクワクを伝えられる大切な仕事道具。
そのためには、常に学び続けたいし、料理によって自分の心が動く瞬間を大切にしていきたいと思っています。
三元 真凜
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