文学フリマ東京への出店レポ、からの新刊について熱く語りはじめる日記的な。
先日5月19日(日)に開催された「文学フリマ東京」への出店を無事終えてきました!お疲れ様でしたー!
前回12月の文学フリマへの出店を経て、今回は2回目の出店。一度出店の経験があるのでなんとなく勝手は知っているのと、今回はお知り合いの方と隣接ブースにさせていただいたので、「隣はどんな人になるんだろう…」と当日までドキドキしなくてよくて、それだけでも前回よりはだいぶ気が楽だった。
それでも、やっぱり出店の数日前からはいよいよイベントだということにソワソワし、さらには当日朝ともなれば、身支度をしながら、会場に向かいながら不安で心臓バクバク…!(ちなみにこのときの不安というのは、本が売れるかなぁという不安よりも、とりあえず無事時間通りに会場にたどり着くか、開場時間までにちゃんとブースが設置できるかというほうを心配している状態。そこかよって感じなんだけど、そこなんです)
さてさてそれでもなんとか電車とモノレールを乗り継いで無事会場に到着!
その時点で一般入場のちょうど一時間前くらい。前回に引き続き今回も販売する本はすべて手持ちだったので、会場に着く頃には何十冊もの本ですごい重量になっているリュックと肩にかけたボストンバッグで肩も腕も限界状態。会場の外には既に一般の来場客の方が列をなしていて、今回から入場は有料となったのに、そんなハンデも感じさせない人の入りに感動する。
早速ブースに辿り着き、お隣のブースの方と初対面!正確には、以前ネット上でやりとりをさせていただき一度zoomでは顔を合わせていたのだけど、リアルでお会いするのは初めて。素敵な方と隣接させていただけてありがたい。ちょこちょこ世間話などしながら早速ブースを設置していく。ブースの展示方法は前回の出店と大きな変化はなく、作業はスムーズに進む。ただ前回の出店のときはまだ販売する本が2点しかなかったのが、今回は新たに2点加わって合計4点を展示しているのが、なんだかますます「文フリ出店!」って感じでちょっとテンションが上がる(語彙力)。見本誌を置きに行ったり、ブースの微調整をしているうちに、いつの間にか入場時間。
そしていよいよ入場スタート!今回は前回の出店よりもブース位置が会場入口に近いので、人の流れがよく見えて、観察しているのが面白かった。自分自身のブースの様子で言えば、前回は結構早い時間からブース目がけて本を買いに来てくださる方が多かった一方、今回は開場から1時間くらい経ってからの方がブースに立ち寄ってくれる方が多くなった。
ここからは前回と今回の出店でのブースの様子や本の売れ行きについて思ったところをつらつらと。
前述した通り、前回の出店では入場開始と同時に私のブースめがけて来てくれる方が多かった。初出店だったというのに大変ありがたい話だ。その要因として考えられるのは、前回の出店の目玉として販売した日記本「アラフォー主婦のギリギリ推し活日記」という新刊が、こう、タイトルからしてすごく方向性や中身が明確だったので多分刺さる人にはわかりやすく刺さる内容で、事前のSNS告知の段階からそこそこ注目してくださった方がいたからではないかと思う(あのときは事前の発信頑張っておいてよかったと思った)。さらに、中身もタイトルもこういったイベント全体の楽しく活気ある雰囲気とマッチしていた感があり(しかも私の中ではイベント用に手にとりやすい価格設定にした)、初見の人でもその場で興味を持って手に取って買ってくれる方が多かったように思う。要はある程度キャッチーな要素があったのではないかと思う。
一方、今回の目玉とした新刊エッセイ本「海の向こうのあの街で」は、だいぶ私個人の趣向に偏っているというか、一見タイトルだけでは中身がよくわからないし、たとえば表紙の見た目もわかりやすく人の目を引きやすくて目立つデザインかというと、そうでもないと思う。もちろん、私にとっては心を込めて製作した大切な本であり、なんなら今まで作った本の中である意味一番思い入れがあるとも言えるし(その理由はこの本の紹介記事にも書いているのだけど)、出来上がりにもとても満足している。強く目立ちはしないかもしれないけれど、表紙もタイトルもめちゃくちゃお気に入りで、理想としていたものが出来上がったと思う。しかし、イベント出店するうえで、数々の素敵な文学作品が立ち並ぶ会場において、一際目立つかというと、多分全然そんなことはない。いわゆるキャッチーさはない。
でもここでちょっと「海の向こうのあの街で」について語ると、これは、私が本当に本当に作りたかった本なのです!もう三十年間、ずっと作りたかったものなんです。私が自分で本を製作するようになったのは昨年で、それから合計4冊の本を製作してきたけど、そもそもこうやって個人で本を製作するという活動(リトルプレス製作活動)があることを知り、その術を習得したのは、この本を作るためだったんじゃないかと思うくらいに、そのくらいに、この本には思い入れがあるのです…!(暑苦しくてすみません)私はこの人生において、死ぬまでにこの本を作ることができて、本当に良かったと思っている。
でも、正直自主製作の本なんて、別に作らなくても誰に迷惑をかけるわけでもなく、締め切りがあるわけでもなく、そうすると、人間基本怠け者だから(私だけか?)、余程何らかのきっかけや理由がないと、なかなか「よし作るぞ!」というモードになれないんですよね。だって別にやらなくてもいいわけだし。そしていざ作るとなると、やっぱり本一冊作るって、時間的にも、労力的にも、精神的にも、かなり消耗するし大変なことだから。だから、ただ「作りたいなぁ」という半端な気持ちだけじゃ、なかなか制作に取りかかれなかったりするんですよね(これは逆に何冊か本を作ってみたからこそ思うこと。一番最初の本を作るときは右も左もわからなくて、ただワクワクドキドキで作りはじめられた)。ということで、私はこの「海の向こうのあの街で」をずっと作りたい構想を昨年あたりから持っていたのだけど、なんのきっかけも理由もなく製作を始める気力がなかった。そこで私は、この本を作るために、この本を作る口実のために、今回の文学フリマに申し込んだとも言えるのです!(ここでやっと文学フリマの話に戻ってくる)
文学フリマに出ると決めて、出店料払って、「新刊出します!」と宣言してしまえば、そうせざるを得なくなる(いや最悪バッくれることもできるでしょうけど、私はそこまでしたら最後までやるぞ!)。ということで、この本を作るために、今回の文学フリマに申し込みました。
そしていざ製作をスタートしたら、案の定、やっぱり製作過程はいろいろ大変だし(特にこの本は三十年前の出来事を、頭の中に映像として残っている記憶を言語化して文章にして書き出すという作業が非常に難しかった。私の文章力の拙さゆえもあると思う)、文学フリマという締め切りがなかったら、面倒くさくて作業中断して逃げ出しているところだった。でも今回、私は文学フリマをきっかけにこの新刊を作ると、自分で自分と決めた約束だから!最後までやり遂げるんだ!という精神のもと、最終的にはなんとかこの本を作り終えることができたのでした。無事印刷所から現物が届いて、あの赤い表紙の本を手にした瞬間、もう何とも言えない気持ちに…感無量でした。(この赤い表紙のイメージは、一番最初にこの本を作ろうと思ったとときからずっと頭の中にあった。だから、出来上がったものを見たとき、自分が頭の中に思い描いていたビジョンが実物になって出てきた感覚があって、なんだか不思議だった!)
さてさてそんなわけで、文フリ出店当日の話に戻るのだけど、前回の自分のブースが活気ある雰囲気だったとすれば、今回の自分のブースはだいぶ落ち着いた雰囲気だったように思う。でもその中でも、本当に本当に嬉しかったのは、前回の文学フリマや昨年12月に委託出店した日記祭などで私の作品を購入して私の作品を事前に読んでくださり、そのうえで「涼元風花の新刊が欲しい」というお気持ちでブースを訪れてくれたという方が多かったことだ。これが、本当に本当に嬉しかった!だって、自分の作品を以前手にとってくださったことがあって、そしてそれを読んだ結果、なんらかの形で私の作品に共感や好感を持ってくださって、今度はわざわざまた私のブースを訪れて、この人の新刊や他の作品はどんなものだろうと興味を持って、お金を出して購入をしてくださるのだ。そんな、ありがたいことある!?もう、本当に、嬉しい。ありがたい。自分が細々と続けている執筆活動、本の製作活動が誰かにちゃんと届いていたのだということが実感できて、本当に嬉しかった。そういった方が「実は以前◯◯で涼元さんの本を買って…」と話しかけてきてくれたことが本当に嬉しくて、楽しかった。あと少し話が変わるけれど、以前同じZINEスクールで本を製作した別の出店者さんがブースに遊びに来てくれて差し入れをしてくれたり、もともと顔馴染みの方が遊びに来てくれて本を買ってくれたこともめちゃくちゃ嬉しかった(私本当に人の顔を覚えるのが苦手で、パッと顔を思い出せなかった方、本当にすみません…汗)。出店したイベントに知り合いがいるって、いいよね…!(涙)
そしてそして、もちろん、もともと私を知っている方以外にもその日その場で私の本に興味を持ってくださった方、見本誌を手にとってくださった方、最終的に本を買ってくださった方にも心から感謝の気持ちでいっぱいです!前回の目玉の「アラフォー主婦の推し活日記」はタイトルからして内容がある程度明確なので、恐らく興味を持ってくださる方はご自身も推し活をしている方だったり、「アラフォー主婦」という部分に近しい方が多かったのではないかと思うのだけど(さらにはタイトルに加えて表紙がどピンクだったことでなんとなく男性は手にとりにくかったかも?なんて思ったりも)、今回の新刊はその点幅広い層の方が興味を持ってくださったように思う。男女問わず、年齢も多様に見えて、いろんな方に手にとっていただいて嬉しかった。
あとは、てっきり新刊のほうが手にとっていただきやすいのかと思いきや、思っていた以上に既刊の3点を手にとり購入してくださる方も多くて、それも嬉しい誤算だった。特にブース前をふらっと通った方が会場価格500円で販売していた「フレンチトーストに包まれながら」を手にとってくださることが多く、やはり出店イベントにおいては最初のとっかかりとしてお値段がある程度お手頃(ワンコインで買いやすい)というのも基本として大事なのかもしれないと改めて思わされたり。それでいえば、逆に「海の向こうのあの街で」を1000円で販売したのは、執筆者としてほぼ無名の私が一見中身がよくわからない本を販売するうえでは結構強気だったかもとも思えるけど、でも私の中ではこの本に関してはこの価格設定で違和感なく、文フリで爆発的に売れなくても、その後オンラインなどでも、じわじわと、大切に売っていければいいなと思っていたので、それはそれで。
結果的に、前回の文学フリマと今回の文学フリマとで販売した冊数は同じくらいで、個人的にはありがたいことに気持ちよく終われた出店だった。販売の面でもそうだし、やっぱり隣接ブースが知り合いである安心感があり、ちょっとした隙間時間にお喋りできたのが楽しかったのも、心地よい出店体験となった。
改めて、文学大好き、本大好きな人で溢れた文学フリマというイベント会場、とても胸熱でした。今回も出店してよかったし、出店を決めたことで無事に作りたいと思っていた本を製作することができてよかった。
でも今回も出店に集中したかったので、ほぼ買い物をすることはできず、次回は一度出店側ではなくお客さん側に戻って思いっきり買い物を楽しむのもいいもなぁと思ったりもしている。
そんなわけで、改めまして今回の文学フリマをきっかけに製作した新刊「海の向こうのあの街で」の詳細はこちらの記事にて。
どういった思いでこの本を製作したのかが書いてある、本の冒頭の「はじめに」の文章を公開している記事はこちら。
そして、新刊含めて現在既刊の自主製作本4点はオンラインでも販売しております。よかったらぜひ覗いていただけたら嬉しいです。
★オンラインショップはこちらから★
新刊以外の既刊本の情報は下記に紹介記事があります
★日記本「こぼれ落ちてしまう前に」
★日記本「アラフォー主婦のギリギリ推し活日記」
★エッセイ本「フレンチトーストに包まれながら」
それでは、最後までお読みいただきありがとうございました!
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