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タイムスリップを楽しむ日々


月曜日。夜勤明けの日。

病院での長い夜を越し、
ようやく夜勤が終わる!という明け方、
(と言ってもほぼ寝ていたんだけれど)
アラームをかけておいた時間の少し前に
地震のアラートで起こされた。


いやあ、仕事中にあれがなると流石に怖い。
基本的には一人だし。
とはいえ病院なので、自分が一番
安全なところにいるわけですが。笑

地震が起きたら装置が無事かどうかも
チェックしなければいけないし、
それを報告する必要もある。

めちゃくちゃ仕事増えるやん、、
地震、、いい加減にしてくれ、、、

と眠い目をこすりながら起き上がった。

無駄に救急外来のベテラン看護師さんに
会いに行ってみたりして、
「怖かったねえ、大丈夫だった?
一人で怖かったよね」
と声をかけていただいて
なんだかものすごく救われて泣きそうになった。
(そして私は赤ちゃん?と思った)


看護師さんって「傾聴する」ことも仕事だから、
人に寄り添うのが本当に上手ですごいなあと思う。

大丈夫じゃなかったとしても、
人からこんな言葉をかけてもらったら
きっと頑張れるもの。


看護だけじゃなく、
聞くことや寄り添うことに関しても
プロなんだよな。やっぱりすごい。

と、いつも会っている看護師さんなのに
変なところで謎に感動してしまった。笑

でも、窮地に陥ったときの人の優しさっていうのは
本当に染みる。
(そこまで窮地に陥っていたわけじゃないけど笑)


まあでも、そんなこんなで
何事もなく夜勤を終えられてひと安心。


日曜の夜勤は明けが月曜日なので
みんなが次々に出勤してきて、
なんだかみんなが元気で出てきてくれることに
ものすごく感謝したくなった。

みんなが何事もなく当たり前に出勤してくるって
素晴らしいことだな。


地震の不安のなかで一人でいることが
よっぽどしんどかったんだな私は、と思う。笑

というのも、この日の前日に私は
大津波が来る夢を見ていたのだ。

だから余計怖かった。


アラートで起こされてからまず、
津波が来る可能性があるのかどうかをすぐに調べた。


夢の中の津波は本当に怖かった。

もうこれは死ぬな、どうしようもない、
ということを初めて実感した。(夢だけど)

だから、とにかく今回は何事もなくてよかった。

これからも気をつけなければ。
地震は忘れた頃にまたやってくる。


病院をあとにしたのち、
同じくお休みの妹をピックアップして家に帰る。

まさか家族が二人も
朝に帰ってくるとは思っていない犬が、
大興奮で私たちを迎えてくれた。

直角を教えてくれる犬



私はこの日友人と会う予定だったので、
とりあえずシャワーを浴びる。

妹には、「ほんとタフだよねえ、
よく明けの日に人と会おうと思うよね、
私だったら絶対に無理。家にいたい。」
と言われたけれど。笑


たしかに一人でゴロゴロ過ごす日も好きだけど、
人と会うのも同じくらい好きなのだ。

どちらも同じくらいの頻度であるといいと
私は思っている。

人に会うということはどんなに好きな人であれ
エネルギーを使うことなので、
そもそも疲れることだ。

握手会やサイン会をしているアイドルや有名人が
急に精神を病んで鬱病になってしまった、
みたいな話をよく聞くのは、
こういうところに起因しているんだろうと思う。

しかも本人たちは、
自分を好きな人しか来ていないはずなのに!
そして、自分は心底楽しんでいるつもりだし、
ストレスなんか感じていないのに!
と決まって言うらしい。

でも、いくら自分のことを
好きな人しか来なかったとしても、
毎日毎日数十人の人間と会って
ある程度きちんと話をするというのは
そりゃあ気が狂うのも時間の問題だろう、と思う。

私も仕事で毎日数百人単位の患者さんと会って
話してはいるけれど、
それは業務上の会話であって
気に入られたいとかまた来てもらいたいとか
そういう気持ちはゼロだから、
(というかできればもう会わないのが一番だし)
わたしは健全に仕事をしていられるのだと思う。

そして、だからこそ私は休日に人と会えるのだ。


やっぱり、誰かに気に入られなきゃいけない
職業の人たちは、本当にすごい。

自分の身を、魂を削っていると思う。

それだけで毎日人疲れが半端ないだろうから。
自覚はなかったとしてもね。

というわけで、
寝ながらゴロゴロしている妹と犬にお別れして
車で出かける。

東京での友人の結婚式のご祝儀用に
ピン札を下ろしたり、
来たる楽しいイベントのために
コンタクトを調達したり。

こういうのって平日休みにしておきたいところ。
大体平日にしかできないしね。笑


そんなこんなで友人と合流し、
ドライブしながらランチへ。

またまた初めてのカレー屋さんへ
青い空!白い雲!田舎の夏の景色!


このあと、市街地へ戻る帰り道に
とても素敵な豪農のお屋敷があるなと思い出して
そこに寄ることに。

本当に大きな大きなお屋敷で、大好きなところ。

もう、門に足を踏み入れただけで
死ぬほどテンションが上がる。


主屋はものすごく大きくて重厚。
ものすごい存在感だ。

そしてなんという技術力。

とにかく素晴らしすぎて毎回感動してしまう。

そして主屋もさることながら、
そこから眺めることのできる庭があまりにも綺麗で
いつもぼーっとして見惚れてしまう。

もはや、何もなくていい。

人生には、でかい家と手入れされた庭さえあれば
それでいいのだろうな、と安易なことを思った。

でもそう思ってしまうほどに本当に素晴らしいのだ。


昔は、私みたいな庶民は
こんな家には絶対に入れなかっただろうに、
現代を生きる私はこの素晴らしい庭を眺めながら
ここでゆっくりと時間を過ごせるなんて、
ほんとうに現代に生まれてよかった〜!!!
と心底思うのだった。

あ、あれは蝶屋敷、、?!
敷地内にある、移築されてきた古民家
これが主屋。でかい…でかすぎる…
中庭にあるこの石、「気」を放っている石らしく、
座ると病気が治ったり
全てがうまくいったりするらしい
(勿論座らせていただいた)
ここ産屋敷邸だよね???
柱合会議、ここでしてるよね???
(この部屋だけで百畳だそうです)



本当に全てが素晴らしすぎて力が抜けた。

ここにはこの家の人とお手伝いさんが
合計50人ほどが暮らしていたそう。
50人も暮らせる家を作れるということが
もうすごい。今じゃあり得ないもの。笑

とにかく主屋も庭も見応えがあって本当に楽しい。

やっぱり庭が大好き。
これは祖父に似たんだよな。


この後友人と別れて帰宅。

夜は、犬の寝姿があたりにも可愛すぎて悶絶する。

🥰
ちょこん


火曜日。

仕事はいつも通りにこなして、
この日はほとんど定時で上がれることに。

私の部署では珍しいのですごく嬉しい。


せっかくの定時なので、
病院の近くの喫茶室へ行くことに。

ここはわたしの大好きな場所。
職場からも近いし、母校もすぐそばだ。


それに、ここは私の大好きな
「擬洋風」様の建築物なのだ。

純和風の主屋と続くような形でそこに
洋風の可愛らしい応接室がくっついており、
喫茶室として開放されている。

いつもの窓際のソファに座って、
本棚に置いてある本をパラパラとめくる。

この時期は窓が開放されている。
大好きな喫茶室
可愛い本!しかし英語でした、、
抹茶豆乳🍵


ここは歴史的建造物の一角なので、
私の好きな要素しか詰まっておらず
とにかくよく通っている。

こういう近代建築も、喫茶室も、
この地域に関する本が置いてあるというのも、
全てが私のツボなのだ。

それに、21時まで開いている。

そんなことある?
ほぼ毎日、こんなに夜遅くまでやっているなんて。

もちろん、私以外に人はいなかった。

たぶん、ここにいるスタッフさんたちも
この建物が大好きだから
こうやって長くここにいることができて、
喫茶室も遅くまで営業できるんだろうな。

こういう、誰かの「好き」で成り立っている施設が
わたしもすごく好きだ。

病院の駐車場に帰る途中、仕事のピッチが鳴る。

緊急の検査の依頼。
なんというベストタイミング。
家にいるよりはるかに早く到着できる。

張り切って急いで病院に戻ると、
毎日いる病院の、あまりの明るさに目が眩んだ。

あれ、こんなに明るかったっけ?

さっきまで、昔の照明器具ならではの
ほんのりとした明かりの応接間で
読書をしていたうえに、
暗い夜道を歩いて病院までたどり着いたので、
文明の眩しさに目がクラクラした。

これって絶対不自然だな。

夜なんだから、ほんとうは
もっともっと暗いのが自然なのに。

でも、ここは病院だからこそ
明るくしていなければならない、とも思う。

物理的にも、心理的にも。


そして、こんなに現代の技術を全て詰め込んだ
みたいな大病院のすぐ近くに、
昭和初期の建物がそのまんま残っていて、
そこをすぐに行き来できるということが
私をものすごく不思議な気分にさせる。


まるで、私は今さっき、
過去からタイムスリップしてきたみたいだ。

さっきまであんなに暗いところで
窓を開けてのんびりと古い本を読んでいたのに、
今この瞬間にはもうピカピカの照明の下で、
病院にある最新の装置に囲まれて
これから来る患者さんを迎え入れようとしている。

この町の、新しくも古いところが大好きだ。

昔の面影もしっかり残しているのに、
毎日きちんと進化している。

歴史も大切にしているけれど、
常に進歩する技術に喰らいついていこうとする
意思のある人々が、この町でたくさん働いている。

わたしもここで一緒に働くことができて幸せだな、
と病院の煌々とした明かりの中でふと思う。

歴史が滲んでいる町の奥深さを、
不覚にも感じざるを得ない夜となった。



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