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大人が一番恐れていた息子と娘の注射の話

この日がくるのが怖かった。
先日、小児科に娘の検尿を1人届けに行ったとき、部屋の奥でえらい泣き叫んでいる子がいて、あぁこれは予防接種だなと。
大きく泣きながら出てきた女の子、あ。保育園のクラスメイトやん。
「どうもすみません…」
いやだーいやだー!待合室でまだ泣き続ける女の子、泣きすぎて吐いた。
あわわわ、慌ててティッシュを渡す。

そうか、これが予防接種か。
忘れていたうえに、先延ばししてきた幼児の予防接種…

「2人同じ日に受けますか?」あ、そうですね。
2週間後の4月23日で予約した。
安易に修羅場が想像できた。

「今日ね、病院行ったら〇〇ちゃんがいたよ、注射したんだって!泣いてなかったよ!」
母はいとも簡単に嘘をつく。
「へぇー、泣いてなかったんだ」と3歳の娘は繰り返す。
ごめん、ほんまはこの世の終わりかというくらい泣いてたけどな。

5歳の息子にも少しずつ認識を植え付ける作戦にでる。
「注射したほうが、体強くなるんやって!もう年長さんやもんな!いけるよね!」
4月に憧れの「年長さん」になった彼には結構響く。
得意そうな顔で「うん、泣かへん!」

ーーー
子どもは生まれて数か月すると予防接種ラッシュが到来する。生まれてすぐ予約を取って、指定された日に足繁く小児科に通わなくてはならない。
とはいえ、ちいちゃい赤ちゃんは小児科に行く意味も分かってないし、ふぇーんと泣いても、きゅうっと抱きしめて「おーよちよち頑張ったね」とあやしてるうちに寝ておしまい。

さてしかし。
3歳になったら打たなくてはいけない「日本脳炎2回」
年長になったら打たなくてはいけない「麻疹風疹」と任意接種の「おたふく」(←6,000円で地味に高い)
*予防接種は基本無料ですが、任意接種は有料です。

もう世界のことをよく理解しはじめている3歳と5歳にどうしたら良いのか。
簡単なのは「注射がんばれたら、アイス買おうね」とか「動物園行こうね」というご褒美作戦。
有効な手段だけれど、これは結果的に親にとって苦しいサイクルが回り始めるきっかけにもなる悪手。
今後のご褒美要求がエスカレートするリスク大。

そして何よりも
「アイスのためにがんばる!」
というよりも
「もう僕は年長さんなんだから泣かない!」
とか
「〇〇ちゃんもお兄ちゃんも頑張ってるから、私も頑張る!」

のほうが何となく、考え方として良さそうだなと思って、
ご褒美作戦は今回は封印することにした。

朝。二人に動画でインタビュー
・注射どうですか?
「泣かない!」「・・・」
・準備はOKですか?
「・・・(にやり)」

母はというと、大泣きして吐いた時用のタオルにお着替え2人分をリュックに突っ込んで修羅場に備えた大荷物。
雨の隙間を縫って、3人乗りの自転車で小児科へ。

いざ!まぁ泣いてもともと!

と思っていたら。
まさか
まさかで、


泣かなかった!!!
2人とも!!!
ただただ驚いた。

緊張は伝わってきたけれど、泣かずに頑張れた。
しかも息子の感想は
「気持ちよかった」
奇妙奇天烈摩訶不思議

「いつも転んだりして怪我するやん?そん時よりぜんっぜん痛くなかった」
そうです。

娘も、やっぱり兄の影響なのか、スンっとして泣き言一つなかった。

ええ、ええ。
買いましたとも。アイス。それに図鑑まで。
「注射がんばったご褒美」というスタンスではなくって、
3人で楽しく遊んだ日の流れの中で。

ーーー
2人が泣け叫んだらいったいどう対処したらええんやろ
心配しまくっていたけれど、
一番怖がってたのは大人である私だけだったのかもしれません。

おわり



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