見出し画像

ことばの思い出アルバム

ことばには、そのことばを発した人を思い出させる力があります。そして、写真を見るように、その当時の出来事を思い出したり、その当時の自分に戻れたり、その人をなつかしんだりできます。

今回、ご紹介したいのは、先輩のことば。

「春と秋は特に体を大事にすること」

先輩が言うには、人間は環境の変化に弱いもの。ずっと暑かったらその状況に慣れるし、ずっと寒かったら、それはそれで体は慣れるもの。

しかし、気温に大きな変化のある季節は、体の負担になる。春は寒い冬から暑い夏に移り変わるし、秋は暑い夏から寒い冬に移り変わる。その変化に体はついて行けず、風邪をひいたり体調を崩したりするというのです。

だから、先輩は、春でも秋でも体を冷やさないように1枚多く着ていました。年齢は自分よりずっと上の先輩で、定年退職されたのですが、自分以上に声が大きくて、いつも元気なお方でした。

私も季節の変わり目になると、いつも先輩の言葉を思い出して、1枚多く着るようにしています。そして、その先輩のように元気でいたいと思う。

もう一人ご紹介します。それは、自分の父親です。私が小学生ぐらいだったとき、いつも言ってくれたのは、

おまえは運がいいんだよ。

ということば。どうして、そう言うのか理由までは言わないのです。今では亡くなったので、その意図を直接聞くことはできません。

何か思いがあって、そう言ってくれたのだと思うのですが、今となっては分かりません。

おそらく、「何があっても運がいいと思って生きなさい」という意味だったのかもしれません。あるいは、「運がいいのだから、ピンチになっても大丈夫だよ」という意味だったのかもしれません。

確かなのは、このことばを50歳になる今でも父の笑顔とともに覚えていて、自分の人生を今日まで支えてきてくれたことです。

何気なく言ったことばかもしれません。でも、そのことばが、その人の思い出と共に、心のアルバムにしっかりと残ることがあるのです。

あなたにもそんな「ことばの思い出アルバム」が心の中にあるのではないでしょうか?

書きながら気づいたのですが、今度は自分が、大切な人の「思い出アルバム」に残るようなことばを言ってあげられたらいい。

あんまり「かしこまる」と逆に違和感があるかもしれないから、父のように何気なく、さらりと言いたい。

お気持ちがとてもうれしいです。感謝です。ありがとうございます。