Dr.タカフミ

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最近の記事

# 64 悩める人間

#62で,「人生に意味を求める感性と、全体として宇宙では意味などないという認識とのギャップ(彼はそれを不条理と述べている)を受け入れるべきだ。受け入れる事で、宇宙の無意味さに絶えざる反抗となり、自由に生きられる」と記載した。これは哲学者アルベール・カミュの主張に沿っている。この考え方は、わかる様でわかりにくい。その辺を再度取り上げてみた。 こだわる! 漸進法で進める 1。読み返してみて、「宇宙の無意味さ」という件をどう解釈するべきか、色々と解釈出来そうだが。第一印象は悲観

    • # 63 悩める人間

      シンギュラリティー(技術的特異点)とは、自律的な人工知能が自己フィードバックによる改良を繰り返すことによって、人間を上回る知性が誕生するという仮説である。人工知能研究者のレイ・カーツワイル氏が2045年にシンギュラリティーに到達すると予測していることから、2045年問題とも呼ばれているのだが、果たしてどんな世界が登場するのだろう。 現状でも生成AIの登場に時代の変化を実感する。日経新聞に「車のチューリング革命」という記事が載っていた。記事を抜粋する。 中山淳史コメンテーター

      • # 62 悩める人間

        先日、高校の同窓会の集合写真がメールで送られてきた。10年後には、写真は送られてくるのだろうか? 高齢者になると、皆が迫り来る死を自覚する。それをどう受け入れるのか?同窓会で囁かれたはずだが、結論があるわけでもない。 皆自分の人生に意味を持せたい。しかし、自分を取り巻く世界には意味があるわけでなくて、淡々と時間が過ぎてゆく。自分の人生に意味を持たせると言うのはバイアスなのかもしれない。 友人Aが投資資金をかき集めて盛んに店舗を増やしている。友人Bは「もういい年なのだから、そこ

        • # 61 悩める人間

          今回は巷での危機管理について考えてみた。 たとえば株取引を考えてみる。素人は損切りができない。ゴルフでもショットが林に入った所謂ピンチで無理をしてグリーンを狙い、ドツボにハマる。そんな行動は行動経済学の分野でも取り上げられる。 従来の経済学では「人は合理的な行動をする」という前提で研究されてきたのだが、行動経済学では、「直感や感情によって合理的ではない判断をする」ことを前提にその理由や理論を研究するわけだ。 経済学者ケインズが言及した「アニマル・スピリット」は資本主義経済

        # 64 悩める人間

          # 60 悩める人間

          殺生(せっしょう)について以前から引っ掛かって、漠然とした気持ちを持ち続ける自分に今頃になって気付いた。考えてみたい。 漸進法を選ぶ。 1。仏教では殺生「せっしょう」とは生き物を殺すこと。仏教の戒律では最大の罪のひとつである。殺すのも、殺させるのも、殺すのを傍観するのもすべて同罪、地獄行きなのだ。 私が研究で実験に使った動物の事を思うと、フラッシュバックしてくる。殺生した私、また私たちにそんな実験をさせた人、その結果を傍観していた人々、全てが地獄へ行かなくてはならないはず

          # 60 悩める人間

          # 59 悩める人間

          世界は不透明な霧の中に突入し揺れている。軋みがだんだん大きくなってきた。大丈夫なのだろうか! 身近なところでは、米国で住宅ローンが7%を越えて、住宅購入を諦める人が増えているようだ。自分の家を持つことはアメリカンドリームである。このまま政策金利が高止まれば、夢を捨てなくてはならない。 また商業用不動産も空き部屋が増えており、そこに融資をしている中小の銀行の先行きが怪しくなってきた。コロナの影響でリモートワークの普及はオフイス需要の低迷にズッシリとのしかかって来た。 好対照で

          # 59 悩める人間

          # 58 悩める人間

          この浮世絵が夕焼けなのか朝焼けなのか? 「朝焼け女の腕まくり」でしょう。のんびりした吉原からの眺めでしょうね、気だるく、色っぽく、時間はゆったりしている。 昔は良かった、今は時が忙しなく過ぎ行く。 さて不透明感満載の今の話の開始である。 漸進法で進める。 1。日銀は政策金利を切り上げるかもしれない。日米、日欧の政策金利差は円安要因である。円売り圧力は強い。円キャリートレード、すなわち安い金利の円を借りて、高い金利のドルを買い、その差額で利益をあげる濡れ手に泡の錬金術が

          # 58 悩める人間

          # 57 悩める人間

          最近、日本だけでなく世界中で、ネットを使った詐欺が発生している。 名前を無断で使われた有名人が詐欺師だけでなくて、プラットフォームを訴訟したという報道も聞く。そんな社会を取り上げてみた。(2024年5月) 漸進法で進める。 1。日本も貯蓄から投資へという政府の掛け声に乗ってか、金儲け先を探す人が増えてきた。そんな投資に絡めて詐欺を企むものもいる。金に目が眩んで、上手い話に唆されて、身ぐるみ剥がされた話が毎日のように報道される。 2。投資は自己責任であり、騙されるが悪いのだ

          # 57 悩める人間

          # 56 悩める人間

          生成AIの開発が急ーピッチで進んでいる。多くの企業が競って、多額の投資をしている。 そこで発生する、前回も一瞬であるが取り上げた、人間の居場所は、人間の価値は、どうなるのかと言う問いかけは喫緊の課題である。 そんな不透明感の漂う現在をさまよってみる。 漸進法で進める。 1。すでに崇高な感性や知性や美意識は商品化され、それが真理か否かは問題外であり、(いくらで)で手に入れられるのか、と言う事態となって来た。更には多くのネット上のプラットフォームが情報のマリアージュを競い、理

          # 56 悩める人間

          55 悩める人間

          哲学というと腰がひけてしまうのだが、そんな哲学とか、物事を抽象的に捉える楽しみを味わってみたい。 事物が存在することを前提にして、人間の認識はその鏡であるして、(客観が主観を構成する)と昔から考えられていた。ところがカントは真逆の (主観が客観を構成する)と主張した。このような(認識論)の変革は哲学の「コペルニクス的転回」とも呼ばれている。 小難しいのだが、具体的に噛み砕いてみる。 漸進法で進めて行く。 1。例えば絵画を考えてみる。セザンヌの風景画は球体とか立体の

          55 悩める人間

          # 54 悩める人間

          時間、空間をアプリオリ(注)と捉えるカント哲学の立ち位置がある。しかし時間や空間が果たしてそうなのだろうか。哲学は分かりにくいのだが、その辺を考えてみる。 漸進法で進める。 1。カントは空間、時間をアプリオリとしている。 2。空間と時間は哲学と言うより物理学の優先事項ではないだろうか。現在では空間も時間も歪むという。宇宙のマクロな科学はそのように思考している。一方で、ごく微細な量子力学の世界では、果たして時間が存在するのかも定かではないようだ。哲学が認識論を守備範囲とするの

          # 54 悩める人間

          # 53 悩める人間

          以前にも記載したのだが、若い頃、神を信じるのか否かと問われて、信じないを選択した。サルトルなどの無神論は受け入れやすかった。 今回、同じ質問を受けた場合、どう答えるのか、自分でもよくわからない。 漸進法で進めてゆく。 1。サルトルは実存は本質に先立つとのべた。難しく感じるのだが、本質は目的と言い換えられるようだ。神はいない=私たちは神に作られたので無い=私たちは目的のために作られたのではない。すなわち実存は本質に先立つと言う論理であり、無神論者には受け入れやすい。 しかし彼

          # 53 悩める人間

          # 52 悩める人間

          “You can’t connect the dots looking forward; you can only connect them looking backward. So you have to trust that the dots will somehow connect in your future. You have to trust in something — your gut, destiny, life, karma, whatever. This

          # 52 悩める人間

          #51 悩める人間

          All things come to those who wait 日本にも多くの類似した表現がある 果報は寝て待てという諺がある 出来るだけの努力したあかつきには、良いことは待つ者のところに訪れるということ 人事を尽くして天命を待つ 自分ができることは最善を尽くして、結果は運命に任せるという意味 待てば海路の日和あり たとえ悪いことが続いていても、待っていればいい日がやってくるという意味である  この3者のベースには頑張りや努力がある しかし「棚から牡丹餅」という似たような

          #51 悩める人間

          # 50 悩める人間

          コロナ禍でオンライン会議に慣れてしまった。これからも、これでやりたいし、わざわざ出向くのは勘弁してほしい。 要するに、面倒臭いのだ。 ザックリであるが「面倒臭い」について考えてみたい。 漸進法で進める。 1。学会や会議に出席するのは対面の良さがある。 2。何が良いのか?面倒臭い割に効果がない様に思う!無駄な会議も多かった。 3。リモートでの打ち合わせはコロナ禍では普通になっていた。それは世界の趨勢でもあった。しかし、マグニフィセント7と呼ばれる世界に名だたる大企業も、post

          # 50 悩める人間

          # 49 悩める人間

          どんな人でも、一気に暗くなる 『君も必ず死ぬんだよ』と言われると。 死に対する恐怖について考えたい。この問題はあまりにも深くて、どこまで掘り下げられるのか? 漸進法で進める。 1。数年前に僧医の講演を聞いた。医師であり禅宗の僧侶である彼、曰く「死ぬことは怖いとは思わない。天寿をまっとうすると、意外に思うかもしれないのだが、死に直面しても、気持ち良く死を迎えることが可能だ。僧侶はそれを知っている。死期の近いことを悟ると、自ら食事を取らなくして、早めることもある。」 2。それは、

          # 49 悩める人間