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# 59 悩める人間

世界は不透明な霧の中に突入し揺れている。軋みがだんだん大きくなってきた。大丈夫なのだろうか!

身近なところでは、米国で住宅ローンが7%を越えて、住宅購入を諦める人が増えているようだ。自分の家を持つことはアメリカンドリームである。このまま政策金利が高止まれば、夢を捨てなくてはならない。
また商業用不動産も空き部屋が増えており、そこに融資をしている中小の銀行の先行きが怪しくなってきた。コロナの影響でリモートワークの普及はオフイス需要の低迷にズッシリとのしかかって来た。
好対照であるのだが、東京都では再開発に伴い、新築マンションが乱立している。東京オリンピック後にはマンション価格が落ち込むという予測とは裏腹に、輸入資材高騰と円安の影響で、販売価格は軒並み1億円越えとなっているのだが、驚くことに、すぐに売れてしまうと言う。ある情報では、海外勢、特に中国人が現金で買い漁っているとのことである。
今の所、日本においては住宅ローンは低く抑えられているのだが、政策金利が上昇すれば、徐々に首都圏での不動産ブームは沈静化して行くはずだ。
「米国がくしゃみをすると日本も風邪をひく」と言われている。総合的には米国経済は堅調なのだが、セクター別では勝ち組と負け組がはっきりしてきた。AI関連の業界は盛り上がっているのだが、総じて下降トレンドに突入して来た。日本もそのうち勝ち負けがハッキリ色分けされるはずだ。

今はグローバリズムからブロック化に移行する道半ばである。ブロック化は経済だけでなくて、国際政治のパワーゲームでも経済安全保障という名のもとに拡大している。ブロック化が進むと戦争が起こりやすくなる。ウクライナ侵略とかイスラエルの内戦、台湾海峡の両岸問題ナドナド考えると気が休まらない。

一方で、生成AIなど、技術革新は新たなる産業革命をもたらし、国家のあり方、人の働き方も変わっていく。勿論、医師の働き方も様変わりする。
これは国境を跨いで、拡散して、コペルニクス的転回をもたらす。医療は国を跨ぎ、遠隔で他国の医師が診断をして、ローカルな日本の医療機関に検査や治療方針を伝える様なイメージだ。
現在は端境期であり、色々と不透明な霧が発生して、ゴタゴタに心を奪われがちだ。足元で起きている大きな変革に気づいていない。いわゆる混乱した状況で、時の流れが感じられなくなり、知性が麻痺して、理性的な判断ができなくなると、ハルマゲドン(新約聖書「ヨハネ黙示録」16章から)だって起こりえる。過去の遺物のような早期に退場すべき専制国家、独裁者の動向は目障りだ。

この混乱した過渡期を無事に過ごせると、新たなる世界に突入する。新機運の風景が鮮明になるのだろう。多分、近代の人間中心主義ヒューマニズムの終焉が見えてくる。マルクス主義が乗り越えようとして、逆に資本主義に乗り越えられてしまったのはソ連邦の崩壊というエピソードから分かりやすい。しかし、今回は資本主義の終焉に相応しい,本物の経済環境が生まれてくるかも知れない。

冒頭で述べた軋みは、陣痛のようなものであろう。安産を祈願している。

話があらぬ方向に広がってしまいました。私は基本、楽観的なコスモポリタンです。

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