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# 63 悩める人間

シンギュラリティー(技術的特異点)とは、自律的な人工知能が自己フィードバックによる改良を繰り返すことによって、人間を上回る知性が誕生するという仮説である。人工知能研究者のレイ・カーツワイル氏が2045年にシンギュラリティーに到達すると予測していることから、2045年問題とも呼ばれているのだが、果たしてどんな世界が登場するのだろう。

現状でも生成AIの登場に時代の変化を実感する。日経新聞に「車のチューリング革命」という記事が載っていた。記事を抜粋する。
中山淳史コメンテーターは『AIは車をどう変えるか。*アラン・チューリングがAIを「会話をした時に人と区別できない機械」と定義したのは1950年だ。だが、近年まで人間が大量のデータを事前に学習させ、動きを厳密に振り付けるばかりで、定義を満たせる成果は得られなかった。
変化が起きたのは2010年代以降だ。「ディープラーニング(深層学習)」という人間の脳を模した情報処理技術が生まれ、生成AIも誕生した。AIの性能を決めるパラメーター(変数)やデータの規模を一定量まで増やすと、それまで解けなかった問題が突如として解けるようになる。そうした「創発」と呼ばれる現象が、人が手を加えるよりも進化に有効なことがわかってきた。
山本氏の将棋AI「ポナンザ」も創発による成果だ。だから自動運転AIもその延長線上で可能ではないかと同氏は考える。』

言いたいことは何なのか、解釈すると、「AIにすべてを任せる考え方は米テスラ、中国・百度(バイドゥ)などの有力企業が採用している。彼らは運転情報を必死で収集して、創発(emergence)に到達し、完全自動運転を目指している。一方で、日本の自動車メーカーは部分的な改良を繰り返す方法をとっていて、なぜかしら情報の収集に熱心でない。
日本の自動車産業は数万点もある部品に相応して中小企業があり、親会社と中小企業とのやり取りで、部品の改良を繰り返し、成長してきた訳で、その様な成功体験と体制が将来的にはネックとなると考えている」。
2045年にはまだまだ時間があるのであり、その間に日本も変わらなくてはならないのだろうし、変わるはずだ。今、まさに産業革命以上のパラダイムシフトが起きている。そんな事態に無頓着な政府や民間では日本は沈没してしまうのだ。
一方で、医療に関しても、AIが開発に関わり、我々の寿命も益々伸びてゆくのだろう。もしかしたら2045年を迎えられるかもしれない。その時点はどうなっているのだろうか?不安よりも期待が先行して、ワクワクする。


*第2次世界大戦で英国はドイツが使用していた、エニグマ暗号機を利用した通信の暗文を解読する(その通信における暗号機の設定を見つける)ための機械 bombe を開発した。それに携わったのがアランチューリングであった。



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