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[介護福祉事業者のための採用~雇用定着マニュアル②]

前回の記事はこちらから

☑介護人材の採用が厳しくなる理由

☑その1 2040年の成人は2000年から80万人減る

突然ですが、問題です。

2040年の成人の数はご存じですか?

答えは、

83万人以下です。

なぜなら、2020年の出生数が83万人と確定したため、20年後の2040年の成人数は、83万人以下となることが確定したからです。
 
ちなみに、2020年成人数は、122万人です。
そして、20年前の2000年成人数は、164万人です。
 
つまり、この20年間で40万人以上の成人が減り(単年度)、次の20年後には、更に40万人減る(単年度)ということです。

このように労働人口は明らかに減っています。
ちなみに、次のグラフが労働人口の推移になります。

☑その2 社員300人未満の中小企業の採用は厳しい

コロナ前は、採用に困っている企業がとにかく多く、「人手不足倒産」という言葉もよく聞かれました。
とりわけ、社員300人未満の中小企業は、採用活動にものすごく苦戦を強いられていました。
 
現に、リクルートワークス研究所によると、2020年の新卒採用において、従業員5000人以上の大企業の求人倍率が0.42倍なのに対し、従業員300人未満の中小企業の求人倍率は8.62倍という結果となっていました。

☑その3 コロナ後でもリーマンショック後の2.5倍の求人数がある

でもコロナがあったから、今はもう採用に困らないでしょ?なんて思うかもしれませんが、実はそんなことはありません。
 
なぜなら、コロナの2020年11月の求人倍率でも1.06倍もあるからです。これは、リーマンショック後の求人倍率0.42(2009年8月)と比べると、2.5倍も高い求人倍率になります。
 
つまり、新型コロナウイルスの影響で、ホテルや飲食などの求人は減っているものの、全体としての求人は依然として多いということです。
 
そして、コロナの見通しがたった際には、求人が一気に増えることが予想され、人材の取り合い合戦がまた始まるということです。

☑その4 介護人材の採用競争は激化している

介護業界の慢性的な人手不足については、今や社会問題化するほど多くの人が知るところです。
具体的には、2021年7月に厚生労働省が公表した介護保険事業計画に基づく介護職員の必要数によると、2025年度には約32万人、2040年度には約69万人を追加で確保する必要があるとされています。
一方で、2020年8月に取りまとめられた公共財団法人介護労働安定センターの調査によると、7割近くの介護施設が慢性的に職員の不足を感じており、そのうち実に9割が「採用が困難である」と答えている現状があります。

更に、「採用が困難」と答えた事業者に対し、その原因を尋ねたところ、57.9%が「同業他社との人材獲得競争が厳しい」と回答しており、限られた介護人材の奪い合いは深刻化している状況と言えます。

これは、有効求人倍率からも見て取ることができ、全業種の1.36倍に対して介護業界では3.02倍と約2倍、実に「1人の求職者を3社が奪い合っている」状態なのです。

また、慢性的な人手不足のもう一つの大きな原因として「離職率の高さ」という問題があります。

上表の通り、いずれの職種も離職率は10%を超えており、厚生労働省の平成29年度上半期故郷同行調査による全業種の平均離職率8.5%を大きく上回っています。特にサービス提供責任者については、上図の通り採用率が離職率を下回る状況であり、多くの介護事業所にとって人材の定着化も大きな課題になっています。
 
以上のように、「少子化」「採用競争の激化」「高い離職率」といった事情を踏まえると、人材の採用定着に全力で取り組まない限り、今後、介護事業の継続は難しくなっていくでしょう



③へ続く



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