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低温調理に役立つ、魚のタンパク質マニアックマニュアル ver.2

本記事は、魚介の低温調理をする方に向けてまとめた、専門的なマニュアルです。
筆者が魚介類の低温調理を行おうとしてた際に課題を感じたため、専門書や学術論文を読み倒して、データをまとめました。
web上には魚介類の低温調理に関する情報が少なく、味を重視した上での情報は更に少ない。
中には肉の低温調理法と混同している情報すら散見されました。
よって、自分が調理を行う際に参照するとともに、料理好きやプロの方の参考になる情報をまとめようと、決心した次第です。

さて、早速本題に入ります。
私の家に低温調理機が届いたとき、参考にしたのは以下の情報です。

・魚のタンパク質は20℃から変性が始まり、45℃を超すと少しずつ硬くなる
・魚のタンパク質は40℃になると溶け始め、50℃で凝固する
前者はこちらの樋口さんのnote記事です。

これらはほぼ近しい数字なので、これだけ見ると「40℃~49℃が狙い目」、あるいは柔らかさを求めるなら「40℃~44℃がベスト」と言えます。

ただ、調べていくうちに「これらは紛れも無い事実だが、魚を全てひとくくりにしない方が良いのではないか?」と言う気持ちが生まれました。

魚のタンパク質が動物に比べて変性温度が低いことは間違いありませんが、「全ての魚に同様のことが言えるのだろうか?」、さらに「調理法やイメージするテクスチャー次第で調整した方が良いのではないか?」と。魚好きとしての偏愛ゆえの疑問が次々と。

そして、幾つかの調理法を試すうちに、その疑問は確信に変わり、魚で低温調理を行う際は、魚種ごとのタンパク質の組成を考えた方がベターと言う考えに至りました。
と言うのも、魚肉タンパク質は主に3つに分類され、魚によって組成の比率が変わってくるためです。

本書では、魚介類のタンパク質組成について細かくまとめています。
魚介類の低温調理を美味しく・安全に行いたい方には、ご参考になるかと思います。
本稿はリサーチに50時間以上かけているので、大幅な時間短縮が出来るはずです!
ただ、生物学に詳しい方、食品工学に詳しい方については、既知の情報が含まれる可能性がございますので、ご注意ください。

価格設定については、田村浩二シェフの「タンパク質完全ガイド(加熱、魚編)」(4,101文字、3,000円)を参考にさせて頂きました。先方は経験ベースで、当方はエビデンスベースである点が、大きな違いになるかと思います。

それでは、本文に入ります。
今回は複雑な内容なので、最初に結論を述べます。


最初に結論!

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