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原作オタクの1万字感想文『劇場版 美しい彼〜eternal〜』 - 2023/05/03 日記#142

・ヘッダー cr. Twitter @utsukare_mbs

・このnoteでもたくさん実写版『美しい彼』について書いてきたし、それだけ好きな作品ではあるんだけど、あくまで私の実家は原作。

・原作との比較もしながら、オタク目線の感想を書いていこうと思う。

・凪良さんがインタビューで「同人誌を見てるみたい」とお話されていたけど、私もまさにS1からずっとそんな感じに思っている。

・編集中に右上に出る10,000文字って表記、初めて見たよ。

以降ネタバレあり

原作、ドラマ、劇場版、副音声、その他関連物
すべてネタバレ配慮はありません。



金木犀

・金木犀というワードに全然ピンと来てなかったんだけど、ビジュアルブックの書き下ろしからの踏襲だとパンフレット読んで初めて気がついた。そら知らんわけだ。

・ビジュアルブック、書き下ろし以外に興味ないので、メルカリで値下がりしたら買おう~とか思ってたら逆にプレミアついてちょっと値上がりしてて、結局買えてない。諦めて普通に電子版買うべきかも。紙は読みにくそうだし。

・そしてその書き下ろしも、ドラマ版からインスパイアされたものだって聞いていたので、じゃあまあすぐ読まなくてもいいかな……と思っていたのも事実。

・そんなビジュアルブックも第2弾が出ると。こっちは書き下ろしあります?あるなら買うんだけど。

・前回は1巻の構図だったけど、今回は番外編の構図なんだね。

・坪田さんが脚本を書く時に、シーンによって香水を変えるというエピソードを話されていて、それが私には衝撃だった。嗅覚でその世界観に入るという発想はなかった。

・私は文章を読んだり書いたりする時に重要視するのは音の方。日本語や歌詞が聞き取れる歌は嫌で、激しい音もあまり好きじゃない。無音でもいいけど、その日の気分や内容によって変わる。ジャズとか、チル系の洋楽とか、色んな作品のOSTとか、それらすべてごちゃ混ぜに、自分で作ったプレイリストとか。

・ライターや文字書きの方のBGMエピソードは結構見聞きすることは多いのだけど、匂いというこだわりがある人もいるんだ……と、パンフレットを読んでいて一番印象的だったのが坪田さんのこのエピソードだった。

平良と清居の家

cr. Twitter @utsukare_mbs

・祭壇、カメジロウ、小物、アヒル隊長、家の中のインテリアにもたくさんこだわりがあったらしい。2回見たくらいじゃそこまで見てる余裕なんてないので、配信になってからまたゆっくり観察しようと思う。

・副音声とパンフレットでベルについて触れられていた。言われるまでまったく気づかなかったな。この時点での原作の清居なら使いそうだけど、実写版の清居は使わなさそう。

・実写版の清居はベルで呼ぶより、自ら足を運んで呼びに行きそうだよね。言葉のコミュニケーションをより大事にしてるイメージがある。

・お引越しを検討して家を見て回るシーンはあったけど、結局新居には移動しなかったので、「俺らの家だな」という清居の台詞がなかったのは本当に残念。

・元々清居は平良家(原作では親戚の家)に居候している立場で、新居に移ってようやく初めて自分たち二人だけで作り上げた居場所が出来たという結構重要なシーンだったので、色んな都合上カットされたのはわかるけど、結構悲しい。

・実際、私もどれだけ馴染んだとて、他人の家を借りている状況じゃ本当の意味では落ち着かないだろうし、清居にとってもあの台詞には自分たち二人だけの空間が出来た、という喜びが表現されたものだと思うので、実写でも見たかった。

インティマシーシーン

cr. Twitter @utsukare_mbs

・原作との比較で言うと、逆に、鏡シーンをお風呂で再現してきたのは本当にびっくりした。そこ、やるんだ!?という驚きと、そう表現してくるか!?という驚き。

・いつも清居を見つめている平良が、清居に対して「見ろ」と客観視させるシーン、良いよね。同じ目線に立つという意味でも、立場が逆転するという意味でも、プレイという意味でも。

・酒井監督、そして脚本の坪田さんのこだわり、原作での意味合いやファンの思い入れ、ここが見たいだろうな、という思いなどすべて汲み取って追加されたシーンらしい。

・S1から、常々ボーイバンドメンバーにどこまでやらせられるのか?というのは疑問だったのだけど、正直インティマシーシーンはほぼ入れなくても大丈夫なライトな作品で、お風呂での接触シーンを入れてきた度胸に拍手を送りたい。

・こういうサービスシーンって、「お前らこういうのが好きなんだろ」と言われているようで冷める、という意見もわかるんだけど、でも、二人で過ごす生活の一部には必ずセックスがあるわけで、それを無視するのも逆張りすぎておかしいよな、と思う。

・酒井監督のもう一つのこだわりは、爪やすりのシーン。副音声で「ここ、酒井監督のこだわりなんですよ」と二人が話していた時は、どういうこと?と思ったけど、パンフレット読んで腑に落ちた。私の読解力、足りなさすぎる。平良の立場に立ったことがないから、わからなかった。わたし、爪を常に短くしておく必要なんてないもの。

・爪切りの話にも触れていたけど、実際に平良は爪やすりを使うだろうな、という解釈はすごくしっくりきた。いつ清居に触れても大丈夫なように、という期待と自分の信条には反しているであろう傲慢さも可愛いし、傷つけないように爪やすりで整えてるのも健気でいい。優しさだ。

・直接的なシーンや台詞より、この爪やすりシーンが今作で一番エッチかもしれん。

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・シーツも、実写化するなら見たかったシーンのひとつ。原作とは少しニュアンスが違ったけど、平良が嫉妬で一気に豹変するところ、私は大好きだ。

・清居は完全にその気になってるのに、平良は自己嫌悪で立ち去ってしまうのも、平良というキャラクターがよく出てて良い。

・このあたりのシーン、副音声を聞きながら見ると、アヒル隊長に重りをつけて萩原さんが引っ張っていたとか、シーツシーンも二人の顔が映るようにスタッフ総出でシーツを引っ張っていたとか、あらゆる裏側の努力をお話されているので、面白いけど全然映像には入り込めない。

・特にお風呂のあたりは八木さんが実況始めるし、笑いを堪えるので必死だった。マスクの下でめちゃめちゃ笑ってた。

・副音声、家でごろごろ見ながら聞くくらいがちょうどいいとわかった。映画館の大きなスクリーンで見ながらわざわざ聞くもんじゃない。せめて、3回くらい見て見飽きた頃に導入すべきかも。

・話は戻ると、『美しい彼』のS2、劇場版、どちらもキスシーンはラストまで引っ張るというのがひとつこだわりに感じる。

・二人の間でのすれ違いや言い合い、色んなものを経て最後の最後にやっと結ばれる、そんな感じ。

・最後のキスシーンでも八木さんが「この時の胸筋まじでいい」と自画自賛。本当に面白すぎるからやめてほしい。副音声聞いてる人、絶対みんなキスシーンの記憶ないだろ。私も胸筋の記憶しかないよ。

・S1のラストシーンから思ってたんだけど、イメージビデオみたいなインティマシーシーン、今どきなかなかお目にかかれないよね。古のBL映画ではよくあったけど。”タクミくんシリーズ”とか、『愛の言霊』とか。

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・それから、清居ってドMだな、と改めて実感した。自分に優しくしてくれる平良のことも好きだけど、普段から尽くされて自分が上の立場でいるから、そういう時くらい本能剥き出しで無茶苦茶にされたいんだよね。

・清居が言う「嫌だ」は自意識や羞恥からくるポーズであって、全然嫌じゃないし、俺は嫌だっていったけど、お前が無理やり……という他人に責任を押し付ける姿勢も保てる。更に、そういう台詞を吐いてもなおやめてくれない、みたいな所にも興奮するんでしょ。ドMだ。

・尽くされてはいるけど、でもそれって親が世話を焼いてくれるみたいな感覚で、世間一般の恋人同士ような甘ったるい雰囲気の尽くし方は平良には出来なくて、でも清居は本当は四六時中甘えたいし甘やかされたいんだよなあ。そういうところが好き。

・そして、絶望的なまでのマイルールを抱えた平良が、そういう清居のとんでもなく可愛い一面を一切汲み取ってあげられないのもじれったいし面白いし、いざ本気になった時のギャップでドキドキするから大好き。

脇役も大活躍

・副音声繋がりでいくと、清居の事務所の社長の服装やもみあげの話をずっとしてて、社長出てくるたびにそればっかり気になってしまった。

・安奈の芯を持った強さの中に見せる弱みとか、女優として生きる一面と、普通の女性として生きる一面、劇場版ではどちらも対称的に、だけどひとつの繋がってる物語として描かれていたのが良かった。

・芸能人も、ステージを降りれば普通の人、という台詞に、八木さんが「そうなんだよ!」とすごく共感していたのも印象的。わかるよ、わかるけどスキャンダルには気をつけてね。

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・そんな安奈のお相手役・桐谷を務めたのは、我らが前田こころさんの兄・前田拳太郎さん。LDH所属で八木さんの後輩らしい。

・ライダーのイメージが強かったので、今回こんなイケメンアイドル役を演じているのには新鮮味があった。桐谷、あんまり出番がないので役柄どうこうよりもそっちのほうが印象に残ってしまう。

・私の大好きな野口さんも、和田さんが本当に小説からそのまま飛び出てきたかのような再現性。「ラーメン食べたいー!」が野口さんのお茶目さを存分に表現していて最高だった。

・願わくば、野口さんのスピンオフが読みたいとずっと思っている。

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・設楽は、S2で少し登場した時にも思っていたけど、本当に演技が細かい。赤いリボンをずっと手遊びしてるの、この手の人間にありがちな仕草。わかるよ。私も同じ人種だから。

・目線の合わせ方、外し方、喋り方、握手の仕草、何もかもが我々のような”陰”そのもの。

・そして、そんな熱狂的なファンが愛ゆえに事件を起こすという残酷さ。映画で言及はなかったのだけど、平良と設楽の決定的な違いって、実際に手が届いているかどうか、なんだよね。

・設楽にとって安奈には恋人がいて、そもそもただのファンと役者という距離感で、言葉の通り絶対に手に入らない存在なのに対して、平良は高校時代からの同級生で、現在は恋人同士。かつては手の届かない存在だと思っていたけど、届いてしまっている。

・そして事件を起こして世間的にも悪となってしまった設楽と、そんな設楽に「それは愛じゃない」と説教する、推しの隣で愛する資格がある平良。残酷な対比だよ。

・私が設楽の立場だったら、そりゃお前はいいよな、大好きな清居くんと恋人なんだもんな、俺みたいに制裁を加える必要ないもんな、と思ってしまう。

・社会的地位も、今まで必死に追いかけてきた安奈も失い、前科もついた設楽の今後を思うと、結構胸が痛い。

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・そして、一番の衝撃で、副音声とパンフを見なきゃ絶対に気づけなかったであろう裏設定。沢崎って、小山のことが好きで彼女と別れたんだ……

・サイドストーリーオタクなので、今一番そこが気になるよ。絶対にこれ以上のネタは出て来ないというのに。

・4話予告で幻の写真があったの、知らなかった。いや確かに見覚えはあるんだけど、私この手の写真をnoteのヘッダーや挿入画像に使えるか否かでしかチェックしてなかったので、めちゃめちゃスルーしてた。

・小山のどこを好きになったんだろう。部長としてしっかりしてるのに、小悪魔かわいいところかな。ご飯、食べさせてもらったのかな。平良のこと賢明に支えてるのに、絶対に振り向いて貰えてない感じとか、気づいてたのかな。

・あの、S2もディレクターズカット、やりませんかね。もったいないよ。映画館公開ってのはなんか映画で綺麗に終わったのをぶち壊す感じがして嫌だけど、韓国BLみたいに配信で両方出すとか、円盤に入れるとか、あるじゃん。もう一儲けしようよ。

・そして、『恋い焦れ歌え』のKAIと、『大事なことほど小声でささやく』のシュンくんと、『美しい彼』の沢崎が全部同一人物・遠藤健慎さんによって演じられていることに今初めて気がついた。

・どれも強烈なキャラクターでありながら、同一人物だと気づかせない変貌っぷり、凄い。KAIの投げやりで不安定で、だけど愛を求めてる感じとか好きだったな。

廃工場

囚われの姫、エッチすぎだろ。

・ここも酒井監督のこだわりで、安奈の映画を軸に、真っ白なお洋服を着た清居の体を真っ赤なリボンで縛り付けるという演出。

・このシーンはとても映画的で、縛られ床に蹴り飛ばされながらも、強い視線で睨む清居の芯の強さは高校時代から何にも変わってないな、と思った。

・そんな姫を助けにくる平良も、電話を取った瞬間から、明らかにスイッチが入る。

・平良が普段のネガティブキングから、なりふりかまわず清居を守るナイトになる瞬間が本当に本当に好きで、平良の愛と狂気がたくさん詰まった良いシーンだったと思う。

・清居に何度も名前を呼ばれて、ようやくその声が耳に入った瞬間にいつもの平良に戻るところとか、「早く行けよ!」が大きなスクリーンで見れたこととか、この一連のシーンはどこを切り取ってもクライマックスにふさわしい。

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・原作において、明確に清居の中で「こいつがいないとダメのは自分の方だ」と気づいた瞬間って、事件の後倒れた平良を前に泣きじゃくっているシーンだと思うんだよ。

・私も原作の色んなシーンの中でもこのシーンが一番好きで、実際に映画になったのを見た時は本当に感動した。

・だけど、ちょっと残念なのは、実写版の清居って、まあ倒れた平良を前にしたら清居はこうなるだろうな、と予想出来てしまうところ。

・原作だと清居は自分をさらけ出すお芝居、という清居の性格的に一番苦手そうなことに悩んでいた。平良に対しても少しずつ素直に言葉にしたり態度にしたりが出来てはいたけど、まだどこかで優位な立場なのは自分で、追いかけてくるのは平良の役目、と思っている。

・それが、平良が死んじゃうかもしれない、と思った瞬間にそれまで溜めに溜め込んで、プライドや自意識や世間体や色んなものに雁字搦めで表に出せなかった感情を、そういうのすべて取っ払って素直に出せた瞬間、なんだよね。

・実写版の清居はそういう羞恥心が原作よりも薄くて、実写だけ見るとここが決定的なシーンには見えなかったのが本当に残念。

・だけど、実写版の清居から滲み出る素直さって、そのまま八木さんの性格から来てる、八木さんが演じるからこその可愛さ増し増し清居なんだな、とも感じた。

・パンフにも過呼吸気味になるくらい、という言葉があって、それだけ心血注いで清居に入り込んでくれたことに、オタクは感動した。

ファインダー越し撮影 平良一成

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・原作だと、安奈、桐谷、清居の3ショットを撮影したのだけど、映画版だと清居のソロ撮影になってた。

・これ、私は原作だと、ラストやかなり盛り上がるシーンとして出てくるんだろうな、と思っていて、逆に実写版で使われたということは「この作品はこれで終わりだよ」と言われているようで寂しくなった。

・平良にとって、お仕事で清居を撮る、というのは、清居と同じステージに立つという最終目標であり、それを達成してしまった今、もう実写版はここで完結、っていうように見えるよね。実際、S2も劇場版も出来て、これ以上の続編はないだろうな、というのはきっと制作側もファン側もわかってる。

・だけど、その終わりをはっきりスクリーンで見せられるのは結構寂しいものがあるよね。

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・それはそれとして、エンドロールで「ファインダー越し撮影 平良一成」の文字を見つけた瞬間に本当にびっくりして、それまでの記憶全部吹っ飛びそうだった。

・作中でも、平良にしか見せない清居の表情というのはたくさんあって、これもどこかで書いたような気がするけど、清居って平良以外の人には全然心開いてないの。清居にとって自分が自分でいられるのって実は平良の前だけで、平良にしか引き出せない清居の表情はたくさんある。

・それを、実際に平良として萩原さんが撮影して、シャッターを切るタイミングまでそのままに再現してくれたのは、愛でしかない。

・萩原さんへの信頼と、どこまでも生で生きる平良と清居を追求するその作品への愛が、この一文から感じられて、私は本当に嬉しかったし、この作品を好きで良かったな、と思った。

・あとこれは全然関係ないのだけど、原作の最終回なんかで、平良が撮った清居の写真を個展で出すのかな、と想像したら、『BANANA FISH』を思い出して悲しくなっちゃった……

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学校

・このシーン、スタッフや関係者もかなり涙したと副音声で言っていた。そして、八木さんもホテルで一人で見ながら泣いてたと。

・真っ白なお洋服の清居と、卒業式終わりでスーツの平良。見つめ合って、永遠を誓って、手を取り合って駆け出して、これはもう、結婚だ。

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・途中制服に切り替わって教室ではしゃぐ二人を見て、清居も平良も、本当はこんな学生生活を過ごしたかったのかな、と思ってそこが一番切なかった。

・実写版でのキラキラした青春シーンは水浴びがあったのだけど、教室での二人はあくまで距離を置いて、クラスのキングとその下僕、という立ち位置だった。

・でも、今の二人なら、そんな関係性じゃなくて、普通に仲の良い高校生として、教室ではしゃいだりご飯食べたり普通にお喋りしたり、そういう青春、過ごしたかったんじゃないかな、と思った。

・S1の時にsmashで公開されたデート動画を見た時に、平良と清居も普通のカップルとしてお散歩したり買い物したり、楽しみたいよな、と実感したのでなおさら切なくなったのもある。

・でも、そんなもう二度と戻ってこないはずの思い出を、時間を経て忍び込んだ教室で、あの頃には出来なかったこと、あの頃と同じこと、すべて回収していくラストシーンは本当に永遠、のテーマにぴったりなシーンだった。

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平良と清居、萩原利久と八木勇征

・今回の映画版は平良がメインだな、と思った。

・アシスタントとしてカメラに携わる中、自分も清居を撮りたいのに、プロを前にして自信をなくし、ネガティブキングになってる平良。だけど、撮りたい思いも誰にも撮らせたくない思いも全部が嫉妬になって清居にぶつけてみたり、野口さんを睨んでみたり。

・そんな平良が、師匠の助けがあって、清居の一声があって、清居を撮る、清居を撮りたいと宣言するに至るまでの成長が一連の流れで描かれていた感じ。

・一方の清居は、そんな平良をサポートし見守る位置に徹底していた。

・パンフでも今回は平良がアクションを起こし、清居が受け手になる演技が多かったと語られていた。台詞のない演技、自分が起点にならない演技、難しいよね。私もちょっとだけやったことあるから、ちょっとだけわかる。

・エンドロールで改めて「キンモクセイ」を聞くと、一番最初「愛されていたいよ 恋が枯れたって」という歌詞にぐっと来た。

・清居は、恋がすべて過去の物になっても、好きとかそばにいたいとか、浮かれた一過性の感情に振り回されることなく、人生を最後まで添い遂げる覚悟でいるんだと改めて実感した。このワンフレーズは、もはやプロポーズだよね。

・そんな清居の覚悟はいまいち平良には伝わってなかったんだけど、原作の「俺が嫌だって言ってもそばにいろ」って台詞がすごく好き。清居は、自分が嫌になって逃げ出しても追いかけてきて欲しいし、一緒にいることを諦めないで欲しいし、でもそれを自分から言うのは恥ずかしくて、ずっと言えなかったんだよね。

・やっぱりこの事件をきっかけに、二人の関係性って一歩前進している。

・実写版平良と清居の物語はここで終わるのかもしれないけど、それは逆に今まで作られた作品達はここから永遠の旅が始まるという意味で、やっぱりエターナルかも。

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・これまでの経験から、本を読み込みロジックで役を組み立てて馴染んでいく印象の萩原さんに対して、感情をベースに役に入り込んでいるように見える八木さん。お芝居へのアプローチの仕方が違うように見える二人だけど、その違いがお互いに影響しあって良さを引き出している気がする。

・特に八木さんは『美しい彼』が本格的な役者デビューの作品であり、初めて尽くしの中でこれだけ清居という人物を自分の中に取り込んでお芝居が出来るの、才能と努力の人だな、と思う。凄い。

・記事やパンフを読んだり、これまで私が外側から見てきた中で、八木勇征という人間は本当に素直で感受性が豊かでまっすぐな人だな、と思う。上記記事内にもあるけど、素直であることを恥ずかしがらない、これは本当にいち視聴者である私から見ても八木さんの最大の魅力だと思う。

・そして、清居とは真逆(笑)でも、人を惹き付ける魅力があるという意味では、清居と似てる。

・ツイッターの動画撮影でも距離の近さを恐れないし、「彼氏」って平気で呼んじゃうし、クランクアップにも凪良さんの手紙にも泣いちゃうし、「リク大好き」とか書いちゃうし、こういうの、躊躇なく出来るのはやっぱり八木さんの素直さが一番の要因なんだろうな。

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・自分にカメラが向いていない平良と安奈が会話するシーンや、本来泣く予定はないシーンでも時たま涙を流してたというエピソードもあって、それだけ清居と同化して、素直に泣けるって本当に才能。

・八木さんのお芝居の仕方は多分メソッド演技が近くて、役者の理想形でもある。だけど、役に入り込むあまり私生活でも追い詰められてしまったり、逆に役への理解が足りないと良い演技には繋がらないという弱点もあるらしい。難しいね。

・これも何度か書いてるようなきがするけど、八木さん、一度やってはいたけど、やっぱり舞台向いてると思う。ドラマとは違って何ヶ月も稽古を重ねて、何度も何度も同じシーンを演じて、少しずつ相手や演出家や自分と対話を重ねて役を理解して落とし込み、役を生きるという作業。

・日本の芸能界は練習ができない、と0年0組というオーディション番組で見たのだけど、舞台は違う。

・その恵まれた環境化で、どんなお芝居をするのか、どう成長していくのか、すごく興味がある。

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・萩原さんは、この1年半の間に、とにかく玉置浩二さんとバスケが好き、ってことがわかったよ(笑)

・副音声の最中も、ラジオも、隙あらば玉置さんやバスケの話が出てきて、もう完全に我々サイドと一緒。

・さっき出した0年0組に出演していた私の推しも玉置さんが好きで、今年私はどこへ行っても玉置さんから離れられない気がしている。

・その好きなものへ向ける情熱が平良と重なるものがあって、大事な物、好きな物、それがあるから今日も1日頑張れる、どんな仕事だって乗り切れる、そんな思いを誰よりも理解してるんじゃないかな、と思った。

・そういう好きなものには全力で、話し出すと止まらなくて、子どもみたいな一面もあれば、真剣にお芝居に向き合う姿はとても冷静で大人で、萩原さんという人物のギャップはかなり面白い。

・自分の内面的なものよりも、推し語りが先に来てしまって、萩原さんの性格があまり見えてこないのもちょっとミステリアスで愚直な昔ながらの俳優らしさ、って感じがする。やっぱり面白い。

・情熱の八木さんに対して、一歩引いていられる萩原さんの存在というのは、すごくバランスが良く見える。

・この1年、ずっとキモオタ平良の演技を見ていたから、逆に普段の萩原さんの演技も見てみたい。どんな感じなんだろう。

『美しい彼』を好きでいて良かった

・最初実写化すると発表があった時は、本当に本当に本当に不安だった。

・BL作品で一番好きなキャラクターである清居。この世に清居を演じられる人がいるのか、私はそれを受け入れられるのか、キャスト発表のその瞬間も、第1話の配信の日も、見ている間も、ずっと不安だった。

・原作を愛していた私は、すごく気に入るか、特大アンチになるか、両極端しかないだろうと。

・結果として、期待と懐疑心を抱えながらジャッジするように1話を見終わった時「これならいけるかも!」と感じて、すごく嬉しかったのも覚えている。

・だから、酒井監督をはじめ、GOサインを出した凪良さん、演じてくれた役者の皆さん、関わったすべてのスタッフさん、原作オタクの私がこんなにも楽しめる作品を作ってくれてありがとうという気持ちでいっぱいだ。

cr. Twitter @utsukare_mbs

・『美しい彼』を好きでいて良かった。たくさんの愛情が籠もったドラマを作ってもらえて、世界中にいるたくさんのファンに愛されて、小説版だけじゃ絶対に気づいてもらえなかった人たちに届けられて、本当に嬉しい。

・願わくば、実写版の上映が終わり、円盤や配信も出て、実写版『美しい彼』が過去になってしまうすぐそこにある未来、原作版の『美しい彼』も忘れないでいてほしい。

・いつ続きが書かれるかなんてわからないし、本屋大賞2度目の受賞で更に勢い付いた凪良さんには、もう『美しい彼』の続きを書いている余裕なんて1ミリもないのかもしれない。

・だけど、平良と清居はいつでもそこにいるし、実写版では見られなかった新しい道を歩んでいく。

・実写版『美しい彼』はここで終わりかもしれないけど、私はまだまだ『美しい彼』の原作が最終巻を迎えるその日まで、リアルタイムで追いかけていく。



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