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RPAとは何か?DXの第一歩にお勧めする便利ツールの基本を解説

はじめに

 働く皆様の明るい未来に貢献したい、アカマツです。
 今回は業務効率化や人手不足の解消、DXの推進を行いたいという方に向けて、強くオススメしたい便利ツール【RPA】を紹介いたします。

今回お伝えしたいことの要約

  • RPAは、PCをつかった単純作業や繰り返し作業を自動化するツール

  • 人間とRPAで業務を分担することで、作業時間が短縮できる

  • 残業削減・ストレス軽減・人手不足解消などの効果あり

  • いろんなシステムを入れ替えることなく、すぐに着手可能

  • 意外と簡単、技術的なハードルは低め

  • 企業改革・DX推進の第一歩としておすすめ


目次




RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)の概要

RPAは、あなたの代わりにPCを操作するロボットのようなもの

 RPAについて、総務省のホームページには次のような記載があります。

RPAはこれまで人間が行ってきた定型的なパソコン操作をソフトウエアのロボットにより自動化するものです。具体的には、ユーザー・インターフェース上の操作を認識する技術とワークフロー実行を組み合わせ、表計算ソフトやメールソフト、ERP(基幹業務システム)など複数のアプリケーションを使用する業務プロセスをオートメーション化します。

総務省 情報通信統計データベースより引用(https://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/02tsushin02_04000043.html)

 イメージとしては、パソコンを操作して仕事をしているあなたに代わって、ロボットが座席に座ります。そしてあなたに代わって、マウスやキーボードを使ってパソコン操作をしてくれます。
 RPAはロボットなので、どのような操作をするか、事前に指示を出す必要があります。そのため、毎日やるルーティン業務・大量の情報入力をする繰り返し作業などが得意です。

イラストやのロボットは、まさしくRPAのイメージです。

AIとは違うの?

 AIについては、北海道科学大学ホームページに次のような記載があります。

AIとは、簡単にいうと「人工的に作られた知能」のこと。
学ぶ能力や考える能力、データをコンピュータやロボットに与えることで、人間のように認識・予測・判断・推論・提案などを行えるようになります。

北海道科学大学ホームページより引用(https://www.hus.ac.jp/)

 ChatGPTに代表されるAIは、創造的で臨機応変な対応をする一方で、定型的な動作は行いません。例えば「犬について教えて」と入力すると、「犬は人間にとって特別な動物で云々…」と、歴史を教えてくれました。しかし同じ質問をすると、今度は「犬は非常に多様な種類が存在し…」と犬種の話が始まります。これは質問があいまいなこともあり、大量のデータやWeb検索結果をもとに、質問に対して正しいと推測される答えを返す、という動作をしています。
 RPAは事前に指示された内容を受けて、その通りにPCを操作します。指示されたこと以外の臨機応変な対応はできないので、AIようなデータ検索・文章生成などは行いません。
 常に同じ動作を正確に行うという特性は、決まった業務を自動化するという点で、大きなメリットになります。

最近はPCを操作してくれるAIも出てきているようですが、難易度が高めです

ExcelのマクロやVBAとは違うの?

 マクロやVBAも、PCのアプリケーションを自動操作する手段の1つです。決まった業務を自動化したいという点では、RPAと共通する部分があります。
 では違いはどこにあるかというと、マクロやVBAはプログラミング言語を使って動作を指示していること、基本的には操作対象がExcelやその他のOfficeアプリケーションに限られることにあります。
 製品にもよりますが、RPAでは複雑なプログラミング知識を使わないことが多いです。
 例えば弊社が使っているRPAツールでは、「コマンド」と呼ばれる部品を組み合わせて、人がするような「ショートカット入力」「マウスでクリック」といった動作を指示します。そのため、RPAはプログラミング言語を全く知らない人でも、比較的簡単に始められるという利点があります。
 またRPAは、PC上で利用できる様々なアプリケーションを横断的に操作できるという特徴もあります。そのため、ExcelのデータをWeb入力フォームにコピペして登録する、といったアプリケーション間をまたいだ操作も実現できます。
 1つのアプリケーションに対する操作速度・自由度では、マクロ・VBAに軍配が上がります。一方、スキルの習得難易度が低い点や、幅広いアプリケーションに対応したいというニーズに対しては、RPAを強くお勧めいたします。

プログラミング未経験者でも、RPAの操作は可能です。

RPAにできること

 RPAを使ってできることは、PCを使った規則的な操作全般です。代表的なものを記載します。なお、製品により仕様は異なります。

  • Webブラウザ操作(Webサイトの閲覧、データ取得、フォーム入力など)

  • Excel操作(データ入力、編集、保存など)

  • マウスクリック、文字入力、ショートカット入力

  • メールの送信、転送など

  • ファイルやフォルダの操作(名前の変更、移動、コピー、削除など)

  • 印刷、スクリーンショットの保存、テキストファイルの作成など

  • その他アプリケーション(基幹システムなど)の操作

  • 日付・曜日など客観的な判断基準を使った作業の分岐(例:月度ごとに使用するExcelファイルを変えるなど)

RPAにできないこと

 RPAではできないこととして、次のようなものが挙げられます。

  • 物理的な作業(例:印刷した書類を持ってくるなど)

  • 変則的な判断(例:チャットボットのように、顧客の問い合わせに対して適切な返答をするなど)

  • 二次認証を必要とするアプリケーション操作(例:銀行システムなど)

  • RPAによる操作を受け付けないWebサイトの操作(私はロボットではありませんという表示や、ログイン時に数字入力・パズルなどがある場合)

  • RPAによる操作を禁止しているWebサイトの操作(大手ネットショッピングサイトなどの規約に記載あり)

 また原則として、RPAが稼働中のPCは、手動操作できません。RPAはPCを乗っ取るように操作するため、同時に人が操作をすると、指示通りの動きができなくなります。そのため、RPA専用のPCを準備したり、深夜・早朝などの業務時間外にRPAが動くようスケジュール登録するなどの工夫が大事になってきます。


RPA導入で解決できる課題とは

 PRAはルーティン業務・繰り返し作業を得意とします。このことから、次のような問題解決が期待できます。

1.手作業を減らす

 「ExcelからWeb入力フォームに商品情報をコピペする」「基幹システムからダウンロードしたCSVファイルを編集し、会計システムにインポートする」など、手作業で行っている業務はありませんか?
 このような決まった動きを繰り返す業務は、RPAに任せてしまうことができます。

2.ミス(ヒューマンエラー)を減らす

 限られた時間で大量の作業を行うと、どうしてもミスや見落としが発生します。RPAによる正確なPC操作を使えば、数百回の繰り返し作業でもミスなく終えることができます。

3.業務の引継ぎ・教育を減らす

 人事異動や従業員の入退社が発生すると、業務の引継ぎが発生します。このような時は引き継ぐ人と教える人、二人の時間が拘束されてしまい、なんだか大変ですよね。
 RPAで自動化された業務については、この引継ぎを簡略化することできます。RPAそのものが手順書にもなりますので、どんな目的で何をしているかを伝えれば、細かい手順を教える必要はなくなります。

4.作業にかかる時間のばらつきを減らす

 例えばベテランの従業員が5分で終わるPC作業に、新入社員は20分かかる場合が考えられます。マニュアルを確認したり、何度もやり直したりする必要があるからです。また、PC操作の得意・不得意など、スキルの習熟具合を原因とすることもあります。
 RPAで自動化した業務は、担当者のスキルに左右されません。そのため、担当者の交代・退職による業務の遅延・停滞といった心配がなくなります。


課題解決によって期待される効果は?

 RPAを導入することで、企業は次のようなメリットを得られると考えられます。

1.労働環境の改善

 RPAを利用して手作業を自動化することで、業務時間を大幅に短縮できます。過度な業務量による残業が問題なら、原因となっている作業をRPAで自動化することで、残業時間の削減が期待されます。
 さらに、手作業とミスが減ることで従業員のストレスも軽減されます。厚生労働省による令和5年版過労死等防止対策白書では、次のようなデータがあります。

「仕事や職業生活に関する強い不安、悩み、ストレスを感じる」とした労働者のうち、そ の内容をみると、「仕事の量」(36.3%)が最も多く、次いで「仕事の失敗、責任の発生等」 (35.9%)、「仕事の質」(27.1%)となっている

厚生労働省 令和5年版過労死等防止対策白書より引用(https://www.mhlw.go.jp/stf/wp/hakusyo/karoushi/23/index.html)

 仕事でミスが発生し、やり直しのために余計な時間がかかってしまうと、イライラしていませんか? また、ほかの人に迷惑をかける・怒られる・会社や顧客に損失を与える、などといった不安やプレッシャーも、一種のストレスといえます。
 このようなストレスを、RPAの業務自動化で取り除くことが可能です。

2.人手不足への対策・準備

 今後あらゆる企業で避けて通れない大きな問題が、人手不足です。少子化に伴い、労働人口も減少の一途を辿ると予測されています。

総務省 令和4年度白書(年次報告書)第1部第1節(1)生産年齢人口の減少(https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/r04/html/nd121110.html)を参考に作成

 今働いている従業員は、最終的には定年を迎えて退職していきます。労働人口が減少していることを考えると、同じ人数の従業員を雇用することはとても難しいでしょう。
 RPAで業務を自動化すると、今まで5人でやっていた業務を4人で行うなど、少ない人数でも業務を継続できる可能性があります。そのため、早いうちから業務の見直しを行うとともに、RPAによる自動化を検討し、人手不足問題に備えていくことが重要です。

3.業務品質の維持とコストダウンの両立

 RPAで業務を自動化すると、その成果物は高品質・低コストであるといえます。
 例えば、あなたは商品発注の担当者です。発注時には、前日までの一週間の売上データが必要だとします。発注日の朝から一週間分のデータをダウンロードし、見やすく加工し、それから発注内容を考える…という工程が必要でした。
 ここにRPAを導入すると、発注前日の夜間を利用して、データのダウンロードと編集を済ませておくことができます。翌朝に出勤したあなたのPCには、すでに出来上がったデータあり、すぐ分析に取り掛かることができるでしょう。準備作業に労力を割かずに分析が始められると、仕事が一層捗りそうではないですか?
 RPAによるPCの自動操作は、勤務時間にとどめる必要がありません。スケジュール実行することで、24時間必要な時に動かすことができます。もしもRPA1台の月額コストが60,000円であった場合、1日12時間稼働した時の時給は約170円です。このことから、業務品質を保ちつつ、実質的にコストダウンを実現することが可能です。

4.業務プロセスの改善

 RPAは、「本当はやりたかったけど、今までできなかった仕事」を実現する助けになります。
 例えば、あなたは30店舗の小売店のエリアマネージャーです。売れ筋と在庫の状況を確認したいのですが、基幹システムの仕様上、データは1店舗ずつダウンロードする必要があります。立場上その作業に時間は割けないし、新しく人を雇うこともできないので、このようなデータの集計は諦めていました。
 RPAを活用すると、このような業務プロセス上の課題(作業量が多すぎる・時間がないなど)を解決し、実行に移すことができます。前項で述べたような既存業務の改善にとどまらず、新しい業務に着手することで、業績アップに貢献することができるでしょう。


DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進に役立つとは?

 RPAがDXに貢献できる理由として、初期段階の「業務プロセスのデジタル化」に大きく貢献することが挙げられます。

業務プロセスのデジタル化とは?

 一連の業務をデジタル化して自動化することを、業務プロセスのデジタル化(デジタライゼーション)と呼びます
 例えば、あなたは食堂の店主です。これまでは手書きの伝票を使って注文を取り、会計を行っていました。このうち、食券機を導入すると、業務の一部がデジタル化したことになります。しかし食券を回収→厨房に注文を伝える→食券を見て会計をする、という工程は、まだまだアナログですね。
 そこで今度は、座席にタブレットを設置しました。ここで注文した情報は、厨房のディスプレイとレジに自動連携されます。あなたは伝票を書いたり食券を回収したりすることなく、注文から会計までの一連の流れを自動化することができました。これが業務プロセスのデジタル化(デジタライゼーション)です。

RPAによる業務プロセスのデジタル化は、比較的省コスト

 RPAは複数のアプリケーションを横断して操作できるため、業務プロセスのデジタル化に大きく貢献できる可能性を持っています。
 例えば、メーカーの異なる資産管理システムと会計システムを、定期的に自動連係したいという方針があるとします。
 手動で両システムを連携する場合は、【1.資産管理システムのデータをCSVで出力】【2.不要な行列を削除】【3.会計システムに手動でインポート】という過程が必要でしょう。
 これを自動化する上での課題は、システムのメーカーがそろっていないことでした。一方、あるいは両方のシステムを一新するとなると、システムの選定・初期導入費用・データの移行作業・操作方法の習得など、多くの時間とコストが必要となります
 RPAを使って自動連係を試みる場合、この時間とコストを大幅にカットすることができます。なぜならば、手動で行っている1~3の流れを、RPAで実行できるからです。
 このように、RPAが既存のシステム間をつないでくれること、業務自動化のために手順の見直しなどをしなくていいことは、業務プロセスのデジタル化を早期実現するうえで大きなメリットになります。もちろん、例に挙げた2システム間に限らず、様々なアプリケーションや業務への適用が期待されます。低コストでスピーディーな解決を試みる場合、RPAの導入も検討してみてください。 

自動化で生まれた時間を、DXの次の段階に使う

 これまでも繰り返しお伝えしてきた通り、RPAによる業務(プロセス)の自動化は、私たちに多くの時間を与えてくれます
 もちろん残業を減らす・既存業務の精度を高めるといった時間の使い方を選択することもできるでしょう。それと同時に、新しい業務に着手することも検討すべきです。
 既存のルーティン業務に時間を取られて、なかなか企業改革に取り組む人員を確保できない、などのお悩みがある場合、RPAを使って、まずは時間を生み出すことを目標としてもいいかもしれません。


RPA導入の波に乗り遅れないでほしい

 バックオフィスを支援するIT製品の展示会に参加すると、RPA製品もずらりと並びます。ICT市場調査コンサルティングの株式会社MM総研が発表した資料によると、2022年9月時の大・中規模企業(年商50億以上)のRPA導入率は45%と、ほぼ2社に1社が導入済みである状況です。導入を検討している企業も多く、今後ますます市場が活性化することが見込まれます。
 RPA普及率が加速する要因の1つとして考えられるのが、成功事例が増えてきたことです。RPAでどんな業務が自動化できるのかわからない、というお悩みもあるかと思いますが、今はRPAツールの提供企業にノウハウが積み上がり、Web検索でも事例を取得することが可能です。
 この流れは、RPA普及率が比較的低い中小企業にとっても、RPA導入のハードルを下げ、追い風となると推測されます。
 逆に言えば、RPA導入が遅れる企業は将来、他社と比べて業務プロセスが非効率であり、結果として生産性が低いという状況に陥りかねません。決して皆様を脅したいわけではありませんが、このような観点からも、一度RPAの導入を検討してみては、と提言いたします。


終わりに

 RPAとは何か、というテーマで、RPAの基本的な情報についてお伝えしてまいりました。改めて簡単にまとめます。

  • RPAはPC操作を自動化し、皆さんの業務のお手伝いをします

  • 業務効率化、労働環境の改善、生産性向上などの効果が得られます

  • 将来の人手不足や競争力低下に対応する手段としてもおすすめです

 いかがでしたでしょうか。RPAの導入を検討したいという方向けに、他にも記事をご準備して参りますので、ご活用ください。

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