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【ショート×2】ゆめネコ

ある日、僕が飼っているネコが夢に出てきた。
そして隣にちょこんと座りながら、
こう言ってきた。

「みんなを幸せにすると言って
とんでもないくらいの大きな夢を追いかけて
行く人がよくよく、いたりする。

それが悪いとは言わないよ。
いいことさ、

でも、きっと素晴らしい夢の始まりが
戦争の始まりにもなりうるんだ。

いつしか先の見えない夢の迷宮に
迷い込んで、
歩み始めた当初の目的を
見失ってしまった時。

そして、

悲しいかな、
自分の幸せを他人の幸せに
置き換えてしまった時。
目の前のことが見えなくなるんだ。

眼の前はもう真っ暗。

そうして君を傷つけてしまうのさ。

誰かを幸せにするっていうのは、
目の前にいる人を笑顔にすること。

一緒に歌を歌うこと、
共に、ご飯を食べること、
大好きだよって伝えてあげること、
そういう小さいことだけで、
僕たちは幸せになれるんだ。」


ふうん。

僕はすっかり感心してしまった。
猫のわりに、
なんて素晴らしい考えをしているんだろう。



「。だからね。
今日の晩御飯は
カツオのお刺身くださいな…」


やっぱり違ったみたいだ


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