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胸クソ悪いお母様とせっかちなお父様

派手派手しく装飾されている箱のような売店は、子ども達を惹きつけるようだ。
ベビーカーの子から歩ける子まで、必ずこちらに目を向ける。
その確率は100%!!
派手な色彩と、動物やアニメのポスターは子ども達の目を引くのかもしれない。

子どもに『買いたい!買いたい!』とせがまれ、仕方なくスクラッチを買う親御さん達も多い。

母親と小さな女の子が来た。
母親はぶっきらぼうに『どれにするの?』と娘に聞く。
女の子は見本を見たまま黙っている。
(欲しがっている様子ないけど…)
母親が、これ?これ?と見本を指差しながら聞いても女の子は黙っている。
『じゃあこれにするよ!いい?』
少し頷いた女の子。

支払いを終え、お釣りをお財布にしまいながら母親が『ほら、バイバイしなさい!バイバイは?バイバイってしなさい!』と言った。

『ありがとうございました〜!バイバーイ』と私が手を振ったが、女の子はモジモジしている。
(いいのよ〜、バイバイなんてしなくてもいいんだよ〜)
私も子どもの頃は人見知りタイプだった。

母親は終わらせない。
『ほら、バイバイしなさいよ!バイバイは?』
バイバイって、バイバイしなさい!』
女の子は黙ったまま足元を見ている。
(お母さんしつこいなぁ…)

もう終わりにしてあげてよね!の想いを込めて、私は『じゃあね〜バイバーイ』と言って、親子から目を離した。

まだ母親は終わらせない。
『あんたなんで?なんでバイバイもできないの?そうゆうとこあるよねぇ?いつもすぐ黙りこんでさぁ、いいかげんにしなさいよ!言われたことくらいやりなさい、バイバイくらいしなさいよ!』と聞こえてきた。

母親に対して、無性に腹が立ってくる。

(いいかげんにしてほしいのはあんただよ、しつこくバイバイを強要する意味ってなに?バイバイしないのがなんだって言うの?もう勘弁してあげてよ!)外に出て、言ってやりたくなる。

この母親は、小さな我が子に何を言ってもいいと思っているのか?それも公道で。
人格否定をするような物言いが胸クソ悪い。
自分が言われたわけでもないのに、澱みが胸を覆ってくる。

はぁぁぁ… 仕事のモチベーションが下がる。


ハットを被ったお洒落なおじいさん、品の良い服装のおばさん親子が来店。
おじいさんは娘に対し、お洒落な恰好に似合わない話し方をしている。
『ほら、こんなに種類があるのよ、どれにするの?』と言う娘に
『なんだっていいんだよ、早くどれでも買え!』
『どれでもって…お父さんが決めないと』
『いいから早くしろ!さっさと決めろよ』
『困るわよぉ、それぞれ1等の当選金が違うみたいよ、どれにするのよ?』

『ねぇ、どうしましょ?』と苦笑いで私に聞いてきた。
(そんなことを聞かれても困る)

どれを買うかの相談中も、おじいさんの口の悪さが際立つ。
『1等5千万?欲かくもんじゃない!当たらねーのに』
『だったら買う必要ないじゃない』
『いいから早くしろ!』
私も苦笑いでやり取りを聞いている。

『父がね、宝くじで2千万円当たった夢を見たんですって。それで買いに行こうって言うもんですから…』

私はおじいさんに向かって『昨日見た夢なんですか?』と聞いてみた。
『それがですねぇ、4、5日前なんですよ』

(早く!早く!ばかり言っているのに、夢を見たのは4、5日前なんかーーい!)

数種類のクジを1万円分買うことが決まると、おじいさんは娘に『先にいくぞ!』と言い、さっさと行ってしまった。 
『まったく、困ったおじいさんだこと』と娘が呟いた。

あーーー、今日は疲れるー、早く帰りたーい、ビール飲みたーい!!

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