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小説ののんびりとしているシーンが好き「ダンス・ダンス・ダンス」

村上春樹の小説「ダンス・ダンス・ダンス(下)」のなかに、主人公と女の子の二人がハワイに行き、ビーチでくつろぐシーンがある。

それからユキと二人でビーチに出てそこに並んで寝転び、夕方まで海と空を見て時を過ごした。我々は殆ど何も話さなかった。時々体を裏返したり表返したりするだけで、あとは何をするともなくただただ過ぎ行く時間に身を任せていた。

ダンス・ダンス・ダンス(下)

二人がハワイに行く前に暗いシーンがあったので、よりこのシーンののんびりさが際立つ。

二人がハワイで過ごす部分は、上下巻あるこの本のなかでごくわずかだが、このシーンだけは何度も読み返している。作者の技量なのか自分もハワイのゆっくりとした時間の流れの中にいるような感覚になる。

僕にとってこの本は、忙しい時、嫌なことがあった時に読めば、日常生活を忘れさせてくれる心の薬みたいなものだ。

長編小説が苦手な人でも、ハワイのシーンだけは読んでみてほしい。この本は、なんとなく生きづらい現代社会を忘れさせてくれるだろう。

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