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バイノーラル・ビート:脳を活性化する究極の「音」

▼ 文献情報 と 抄録和訳

バイノーラル・ビートによる記憶想起課題の強化に関わる神経学的メカニズムの解明:パイロット研究

Mujib, Muhammad Danish, et al. "Understanding the neurological mechanism involved in enhanced memory recall task following binaural beat: a pilot study." Experimental brain research 239.9 (2021): 2741-2754.

[ハイパーリンク] DOI, PubMed, Google Scholar

✅ 前提知識 >>> wiki
【YouTube動画(他にもたくさんあります)】
- バイノーラル・ビートとは、聴覚的な錯覚である。
- 2つの異なる純音の正弦波を、それぞれの耳に1音ずつ提示したときに知覚される。例えば、530Hzの純音を右耳に、520Hzの純音を左耳に提示すると、3つ目の音が聞こえてくるような錯覚を覚える。
- この3つ目の音はバイノーラルビートと呼ばれ、この例では、両耳に提示された530Hzと520Hzの純音の差である10Hzの周波数に相関するピッチが知覚される。
- バイノーラル・ビートは、入院中の痛みを和らげる効果があると言われている。
- 睡眠や瞑想、体外離脱のためにバイノーラル・ビートを使用する人もいる。

[背景・目的]バイノーラル・ビート(BB)は、高齢者や神経症状を持つ人の記憶力を改善するための有望な技術である。しかし、行動の変化に伴う大脳皮質ネットワークの変調については調査されていない。本研究の目的は、刺激によって誘発されるBBの振動性脳活動と、短期記憶課題における行動反応との関係を確立することである。

[方法] 20名の被験者からなる3つのグループA,B,Cは,それぞれα(10Hz),β(14Hz),γ(30Hz)のBBを15分間照射した。参加者の脳波は,BB前,BB中,BB後に記録された。参加者は,BBセッションの前後にディジット・スパン・テストを行った。

[結果] 認知スコアの有意な増加はグループAのみに認められ,反応時間の有意な減少はグループAとCに認められた。グループAはBB後,シータの有意な減少とアルファパワーの増加,シータの有意な増加とガンマのイマジナリーコヒーレンス(ICH)の減少が認められた。グループCでは、BB後、シータとガンマのパワーが有意に増加し、シータとガンマのICHも増加した。

[結論] BBの効果は、刺激のヘルツに依存する。推定される神経メカニズムには、頭頂前頭葉および半球間前頭葉ネットワークにおけるシータ・ICHの増加が含まれる。

▼ So What?:何が面白いと感じたか?

音楽が身体機能やパフォーマンス、心理に及ぼす威力はすごい!
音楽は、偉大なエンパワーインターベンション(普段と行う介入は同じでも効果を増幅させる)である。

今回紹介した論文は、「じゃ、どのような「音」がいいのか?」という問いに、1つの答えを与えた。
貼り付けた【YouTube】リンクを聞いてみていただければ体感できるのだが、バイノーラル・ビートは脳を揺さぶってくるような感じがする「音」だ。
この揺さぶりが、脳を活性化させ、認知機能や疼痛需要などに影響を与えうるのかもしれない。
さらに、「脳力を高め、知性を高め、IQを改善し、音楽を学び、バイノーラルビート」という文字を目にした。
・・・勉強のときに、バイノーラルビートをデフォルトにしてみようと思った。

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