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身長減少:骨折リスクの評価として有用

▼ 文献情報 と 抄録和訳

経後女性の身長低下-骨折リスク評価にはもっと必要か?GO研究の結果

Pluskiewicz, W., P. Adamczyk, and B. Drozdzowska. "Height loss in postmenopausal women—do we need more for fracture risk assessment? Results from the GO Study." Osteoporosis International (2021): 1-7.

[ハイパーリンク] DOI, PubMed, Google Scholar

[背景・目的] 3~4cm以上の身長低下は、骨折リスクを高める簡単な指標と考えられる。この情報は、複数の変数に基づいたオンライン計算機による骨折リスク評価の結果と非常によく似ている。本研究の目的は、Gliwice Osteoporosis (GO) Studyに参加した閉経後女性の身長減少(HL)と骨折リスクとの関係を評価することである。

[方法] 骨粗鬆症外来で募集した55歳以上の閉経後女性1735名を対象とした。参加者の平均年齢は68.15±8.16歳であった。骨折リスクは、骨折リスク評価ツール(FRAX)(大腿骨および股関節骨折の10年確率)、Garvan計算機(大腿骨および股関節骨折の5年および10年確率)、およびポーランド(POL-RISK)アルゴリズム(あらゆる骨折の5年確率)を用いて確立された。大腿骨頸部の骨密度測定は、プロディジー装置(Lunar, GE, USA)を用いて行った。骨密度測定の前に、壁式身長計を用いて体高を測定し、成人期初期に測定され、研究参加者自身によって報告された最大体高と比較した

[結果] 199人の女性では、調査期間中に測定された身長が成人期初期の対応する値と比較して変化しなかったが、他の1536人の女性では減少していた。研究グループ全体の平均身長損失(HL)は3.95±3.24cmであった。このHLは、計算された骨折リスクと有意に相関していた(rの範囲は0.13から0.39、p<0.0001)。一般に、推奨される治療閾値に近い骨折リスクを持つ患者については、HLは約3〜4cmであった。ただし、大骨折のFRAX計算機の値は、一般的に使用される治療閾値(20%)がHL約6.5cmに関連していた。HLが3.5~4cmの被験者(n=208)では、大骨折のFRAX値は6.83±3.74であった。

[結論] HLを確立するために実施された体高測定は、臨床診療に重要な情報を提供するものであり、3~4cm以上のHLは骨折リスク増加の単純な指標と考えることができる。

▼ So What?:何が面白いと感じたか?

臨床において「身長は大きくないのに足が長い」高齢女性に出くわすことが多い。
この身体的特徴の多くは、「大きな身長減少」によるものだ。
すなわち、主に脊椎部分で身長減少が生じるため、相対的に脚長が大きくなる。

「小さくなっちゃって」
患者さんのこの言葉に対して、これまでは、
「そうですよね。女性の場合は特に身長が小さくなりやすいですよね。」
と、共感すれども活用せず、の状況だった。
今回の研究結果を受けて、以下のような問診事項を追加したい。

「一番身長があった時と比べて、何cm身長が小さくなりましたか?」

この質問が3cmを超えていれば、骨折リスクが高い人だと、大まかにスクリーニングができる。これまで分散していた問診の光が、新聞紙を燃やせる程度には集光された気がする。
問診の威力を強化していきたい。

「どこに注目すれば良いのか」さえわかれば、物事はずいぶんと容易になる
現実に対する着眼点の明確化こそ、勉強のおおいなる効用といえるのではないか?

copellist

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