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2020年に査読に費やされた時間。1万5000年以上!

▼ 文献情報 と 抄録和訳

10億ドルの寄付:査読に費やされる研究者の時間のコストを見積もる

Aczel, Balazs, Barnabas Szaszi, and Alex O. Holcombe. "A billion-dollar donation: estimating the cost of researchers’ time spent on peer review." Research Integrity and Peer Review 6.1 (2021): 1-8.

[ハイパーリンク] DOI, PubMed, Google Scholar

[背景・目的] 科学出版は、査読制度に大きく依存している。査読は多くの場合、学術的な奉仕活動の一環として自発的に行われる。研究者は、原稿を改善するためのコメントを提供し、その質を判断しますが、これには高度な専門知識が必要。研究者による査読作業の量と価値は、学術界とジャーナル出版にとって非常に重要である。しかし、この労働は十分に認識されておらず、その規模も不明で、査読労働を組織化する別の方法が検討されることはほとんどない。

[方法] 公開されているデータを用いて、研究者の時間とジャーナル査読制度への給与ベースの貢献度を推計する。

[結果] その結果、全世界の査読者が査読に従事した時間は、2020年には1億時間以上となり、1万5千年以上に相当することがわかった。米国在住の査読者が査読に費やした時間の推定貨幣価値は、2020年に15億米ドル以上となった。中国ベースの査読者については6億米ドル以上、英国ベースの査読者については4億米ドル近くと推定される。

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✅ 図. 2020年の学術論文の校閲に費やす時間の計算結果。

[結論] 今回の結果は,世界中の学術雑誌の総数の一部しか反映していないため,意図的に過小評価されている可能性が非常に高い。この数字は,研究者が出版システムに提供している膨大な量の作業と時間,そして,査読の仕組みや支払いに関する別の方法を検討することの重要性を浮き彫りにしている.私たちは、査読の効果を高め、その費用対効果を改善することを目的としたいくつかの代替モデルについて議論することで、このプロセスを促進する。

✅ Review from Science
Melissa McCartney. STEM Workforce 15,000 years of peer review, Science 2021 >>> doi

▼ So What?:何が面白いと感じたか?

1万5000年前・・・。
ググってみたら、縄文時代のはじめだった。
1人の人間に換算したら、土器を練っていた頃〜AIが学習する現代まで、1秒も休まず、寝ず、査読し続けて、し続けて、・・・、やっと2020年の1年間に世界中の査読者がやった仕事量を消化できる

これをどう捉えたらいいのだろう?
・ 確認作業に時間のかけすぎ?
・ AIに代行してもらった方がいい?
・ それほど重要で、難易度の高い仕事?

・・・。分からない。
きっと。その人、その時、その立場によって。
「査読に費やした1万5000年」は違った輝き方をする。

ただ、いえることは、ある。

1万5000年という膨大な労力量を人々が駆動した
というこれは事実・・・。ぼくは言いたい。
人間、頑張った!!!
同胞よ。僕は、あなたがたを心より尊敬致します。
そして。お前も、よく働く歯車の1つになれ。
擦り切れるほどに回ってみせろ。

苦しむことほど苦いものはない。
しかし苦しんだことはど甘美なこともない。
世間では、苦しむことほど身を醜くするものはないが、
逆に神の前では、苦しんだことほど魂を飾るものはないのである。

エックハルト

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