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今日の発見。5月5日(日)

――― まずは下ごしらえ。玉ねぎを細かく刻み、にんにくとショウガを少量すり下ろしておく。鶏肉も手ごろなサイズに切っておき、鶏皮も剥いでおく。皮はまた違う料理に使ってもいいかな。

(冬野夜空『一瞬を生きる君を、僕は永遠に忘れない。』より抜粋。)



1.小説作品の観察

文章の収集をしています。小説のある箇所を気に入ったら、ノートに書き出して文章をコレクションするのです。

その後、じっくりとその箇所を読んでみます。
すると、自分にはない表現があることに気が付く。
そして、自分が表現するとしたらどう書くかを想像します。

僕はこういった行為を「小説を観察する」と言ってます。


2.作品からの抜粋

冒頭に書かれた場面は二人の旅行先での様子です。

滞在先のログハウスのキッチンで、男の子が調理に取り掛かっています。

この話はざっくりと言うと、
余命わずかの女の子と残りの高校生活を過ごしそれを写真に残す、という話です。男の子は病気の彼女のため、思い出となるような瞬間にカメラを向けます。

3.この一文の凄いと思うところ

調理の様子が説明的では無いということ。
さりげなく、調理した感想を語っている。
そして、彼女への愛情が伝わってきます。


「これが、描写するということか!」
と思わされました。

シーンを分けると、こうなります。


1.主人公が下ごしらえをする、ということを宣言する。
2.主人公は玉ねぎを細かく切る(刻む)。
3.主人公はにんにくとショウガをすり下ろす(少量にする)。
4.主人公は鶏肉を切る(手ごろなサイズにする)。
5.主人公は鶏肉の皮を剥ぐ。
6.主人公は調理した感想を言う(皮はまた違う料理に使ってもいいかな)。

以上のことをすると、ぼくだったら違った書き方になります。


4.「こわきすすむ」だったら、こう書く


「トントントン」
「スリ、スリ、スリ」

下ごしらえだ。
玉ねぎとニンニク、ショウガを切っておろして、調理していく。

「ムキリ、ムキリ、ムキリ」

鶏肉も皮を剥いでいき、小さく切っておく。

で、皮だ。

「・・・・・・」

次回料理する時に、使おう。



こんな感じになります。
作り手(ぼく)の頭の中には、絵が浮かんでいて光景が分かっています。

「・・・・・・」

たぶん、描写は分かるとは思う・・・けど、

彼女への愛情が籠っていない

そんなように、感じませんか?


この話は彼女のために尽くそうとする様子を伝えたいのです。たぶん。
だから、ぼくの書き方では読者は共感してくれないですね、きっと。


5.結論

まとめると、僕の今回の書き方では情景は浮かぶけど、主人公に共感できないことが分かりました。

また、友情ものの話を書く時には、主人公の愛情表現をはっきり現すことが大切だと分かります。

そんな感想です。


以上、今日の発見でした。
ではまた。

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