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幽霊に憑かれたアルバム―cero『e o』

ceroの5thアルバム『e o』のタイトルは、「cero」から子音を取り除き母音だけを残している。 (c)e(r)o。 「c」と「r」は見えなくなっている。けれども消滅してしまっ…

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9か月前
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2023年と小説について

2023年最大の事件は、何といってもceroの5thアルバム『e o』との出会いだった。歌詞の虜になってしまい、長すぎるnoteも書いた。それをきっかけとして、小説への本格的な興…

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6か月前
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生活維持省と郵便的不安について

星新一の『ボッコちゃん』に「生活維持省」というディストピアものがある。犯罪や交通事故、病気や自殺までもがない「平和」な世界が描かれている。ただしその平和は、政府…

Sunwed
8か月前
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幽霊に憑かれたアルバム―cero『e o』

幽霊に憑かれたアルバム―cero『e o』

ceroの5thアルバム『e o』のタイトルは、「cero」から子音を取り除き母音だけを残している。

(c)e(r)o。

「c」と「r」は見えなくなっている。けれども消滅してしまったわけではない。見ることはできないし存在はしないが、気配だけはするので存在しているかのようにも感じられる存在。『e o』はこの非現前と現前の間にある「幽霊」へとわたしたちの思考をいざなう。

1.記憶アルバムは「Ep

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2023年と小説について

2023年最大の事件は、何といってもceroの5thアルバム『e o』との出会いだった。歌詞の虜になってしまい、長すぎるnoteも書いた。それをきっかけとして、小説への本格的な興味が湧いた。この一年で最も嬉しかったことだ。



僕は小説にあまり触れてこないで生きてきた。読みたいとは思っていたが、そもそも読書量が少なかったのもあって、ピンとくる作家やジャンルに出会えなかった。多感な時期にぜんぜん

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生活維持省と郵便的不安について

星新一の『ボッコちゃん』に「生活維持省」というディストピアものがある。犯罪や交通事故、病気や自殺までもがない「平和」な世界が描かれている。ただしその平和は、政府の方針に基づき毎日ランダムに国民を「間引く」ことで維持される。そして生活維持省に勤める主人公の職務は、毎日コンピュータに選ばれた人を殺すことである。

このエピソードは、2022年にNHKでドラマ化された(主演:永山瑛太)。僕はこの映像を原

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