必殺ブローを手に入れ補導された話Ⅲ
後編PartⅠ ーSurviveー
前回までの実録
要約Ⅰ
ゲーセン帰りに不良集団に囲まれてカツアゲに合う。無慈悲な暴力に抗うスナフキン(私)が偶然繰り出した拳が必殺ブローだった。
要約Ⅱ
地域のゲーセンは中高生に支配されていた。支配体勢の瓦解を目論み、少年達は熱きオモイを拳に込めて必殺ブロー習得の修行に勤しむのであった。
3週間後、作戦計画書は練り込まれて行き、ついに決起する日が迫った。
非オーラバトラー達(シャバ僧ー弱そうな人)との戦いの幕が上がる!
今回はその続きから。
ギャラルホルンは鳴り響く
集えし、TOKYOキューポラKIDS7人衆
水曜日、時計は午後4:40分。
夕暮れ時、太陽は彼らのオモイと同じく熱く燃えるようだった。
とある公園に7人の少年達が次々集まってきた。
ある者は、PumaのジャージをハイソックスをINしてる。
勇ましいGKスタイルだ。
またある者は、ケミカルジーンズを履いてる。
陸軍のような迷彩と同様な蒼い空とのコントラストで隠密性は高い。
まさにアーミー仕様。
一人、間違って黄色の所属小学校の目立つ帽子を被ってる。
否、戦国時代の「旗指物」ではないか。武勇を轟かせる気満々だ。
スナフキン(私)は修行を行い復習し型を確認して、いつでも必殺ブローが出せる予備動作を何度も確認してる。
スナフキン(私)
『みんな、ゲームセンターNに向かおう!』
L君、A君
『おう!』
TK君、S君、T君
『いよいよだな。』
K君(リーダ格)
『修行の成果、スナフキン絶対成功させろよ!』
スナフキン(私)
『あってりめーだろ!前田の、クラッカー!』
ALL : ややウケ。
いよいよ、ゲームセンターに蔓延る年功序列ヒエラルキーを覆す戦いに今から力をもって覆す戦いの場に赴くのだ。
必殺ブローを再現し、少年ジャンプ愛に満ちた平和な世界とゲームの技量が支配するユートピアを手に入れる聖戦なのだ。
PM4:59
時計は午後4:59分を指す。
カチっ
秒針がわずかに振れる。
ここは日本国、別名バブル絶頂期ジパング。
テレビのブラウン管からパーソナリティの吉田照美の一言が時間丁度に聞こえてくる。
『週の真ん中、水曜日。
真中もっこり、夕焼けにゃんにゃん!』
オーディエンス:『にゃん!にゃん!』
吉田照美:『オープニングはこの曲、「セーラー服を脱がさないで」』
今では考えられない歌詞を女子大生達がまあまあ下手くそな音程で歌いあげ、日本全国の少年達の心を熱くさせながら時刻は5:00を刻む。
くしくも同じように同時刻に私達皮かぶりBoysに合わせたようにTokyo&キューポラアンダーグラドに相応しい鎮魂歌(レクイエム!)が歌いあげあれてるのはではないか!
まさにギャラルホルンが鳴り響いたのでした。
昭和用語解説
ターゲットロックオン
憎し悪童を狙うべし!
私達の行きつけのゲームセンターNに名を轟かす悪童がいる。普通の悪童ではない、ゲームセンター店主にとってもならず者。
奴が小学生ではない事を既にリサーチ済み。学生服を普段着てるので風貌から既に知っていた。こいつをターゲットにすることに計画に折込済みなっていた。
なぜ、私達は奴をターゲットに指名手配したのかだって?
彼をゲームに対する冒涜、外道の限りを尽くす技を繰り出す。その非道すぎる所業はまさに悪魔だ。
それは、行きつけのゲームセンターNには片隅に旧型(型落ち)のゲームをワンクレジットで5回がクレジットされるコーナーが設けてあり、単純にワンコイン5プレイ(@10Yen)で提供していたのです。だから小遣い額の少ない小学生には宝のようなゲーム筐体。
その筐体を彼が占領するというチンケな事ではない。そんな事でターゲットに選ぶわけではない。まさに外道に相応しいテクニックに我々は煮え湯を飲まされていたからです。
そう、禁じ手の元祖、放置プレイ。
※恐らくこの現象から発生した語源だと今も私は信じています。
極悪非道極まりないテクニック、放置プレイ!
おそらく、ゲームセンターの経営者(店主)も営業時間外に泣いてるのは想像ができる。
悪魔の所業
この記事の読者へ簡単に説明させて頂きます。
ゲーム筐体は戦略的穴掘りゲームの「ディグダク」だ。
奴は毎度禁じ手をする。そのテクニックは、ゲームバグを利用した永久放置プレーをして、その場を離れて閉店まで一切誰もプレイができない状態にするのだ。
小遣いの少ない我々小学生は悔し涙を流すしかないのです。この中高生が如何にここでゲームセンターを我が物で我々小学生キッズ達を苦しめてるのか本記事をご覧の方々もご理解できたと思います。
チェックリスト
リサーチ通りの”いで姿”だ。
やつらは2人、タバコをフカしてる。
高校生だと予測できた。
この地域では高校生の喫煙に関してを軽く注意を受けるぐらいで高校生の喫煙は大分見逃す。そこまで大事にはならない。
※中学生の場合は速攻で警察または学校の先生がくるのがこの地元ルールが根付いてる。昭和時代何処にでもある風景なのだ。
※今とは大分違います。
喫煙年齢はグレーゾーンもありそこそここの地域は自由なのだ。
話を戻します。
奴は強者のオーラをまとえしオーラバトラーではないのがわかる。
重要な判断リストを元に我々は作戦計画を練ってるのです。各自の情報収集したリストアップされた特徴を各自でチェックした。
剃り込みがない事(ベジータレベルにない事)
髪の毛を派手に染めていない事
学ランがど派手な改造がされてない事(ツータックは問題ではない)
ビンゴ!
学生姿の改造具合に対して酷くく過度な威嚇するようなズボンを履いてない。体格は華奢。明らかに”私がカツアゲにお兄様方”とは異なる。
オーラが全然違う、マガイモノ、本気(マジ)のドヤンキーではない。今風言えばマイルドヤンキーだ。
ミッションコード;スローイング
スナフキン(私)達は皆で手順通りに粛々と準備を始め、配置についた。ポリスストーリのジャッキーは傘で2階建てバスから逃げる事に成功してるので自分達も万が一に備え傘も用意した。
(※深い意味はなく如何なる時でもジャッキーを真似る事が全て!)
ゲーセンから逃走経路のチェック。OK!
自転車のロックをオープン常時し逃走ができる状態にしておく。OK!
公園から拾っている砂利と小石をポッケにある事を確認した。OK!
階段をあがり店内に入る。いつも通り不審な素振りをみせずにゲーム筐体を7人で取り囲む。交代で店内を散策し奴がいるのかチェックを開始する。
『ディグダグ』の側に近づいたら直ぐ様、血の気が引いた。
やってやがる。
音楽とプレーヤーキャラだけが映し出され[放置プレイ]状態にある。
奴はここに既に来ている。潜んでいる、奴を探せ!絶対見つけるんだ!
友人A君:『ターゲット発見、後方8Mの距離、後ろにいる』
ごっくり。唾で喉を潤す喉がカラカラだった。
汗がしたたる。俺たちは5つほど後ろの背後に陣を引いた。紡錘陣ではなく、凹陣で戦いに備え一撃離脱に備えた。戦いの開始を待つのであった。
皆で合図を送った。
K君(リーダ格)の指揮で作戦開始が告げられた。
上に伸した右腕が奴に目掛けて指示振りかざした。
『攻撃開始ーファイエルー!』
最後列の陣(奴から一番離れてる)がまず、砂利をやつに向けて投げる。
俺たちはゲーム台を群がり、ゲームしてるフリをした。顔は合わせない。
次は小石を数秒後に奴に当てる。
『ぺち。』
ゲームしてるフリをした。顔は合わせない。
何事があったのか知らんふりをする。もう、この時点からクスクス笑いが出てしかたなかった。数十秒した後プレイ中の奴に再び小石を投げる。
『ペチ。・・・。。コロン、コロン、コン、コン』と転がる。
私達、ゲームしてるフリをした。みんなでかたず飲む。
顔は合わせない。ニヤニヤが余計に止まらない。
俺たちも緊張が高まってきた。いよいよラスト。
極小の小石を今度は確実奴が気づくように当てるのだ。配置も抜かりなし、今日の面子にスポーツスターS君、少年野球団の准エースでコンロールは折り紙つき。S君は狙い澄ますように今度は早い速度であきらかに奴の額に砂利小石を当てに当てた。
『ピチーン』
さすがの高校生(不明)の彼も俺達がさっきから砂利、小石を投げてゲーム邪魔をしてるのに完全に犯人が私達だとわかった感じだ。
俺たちはもう、当てた事で皆で必死に笑いを堪えた。
いや、スナフキン(私)以外が笑ってる。
ここからが、本番、殿(シンガリ)で私が奴の必殺ブローで倒さなくてはいけないからだ。俺だけめっちゃ緊張が凄かった。
『向かってくるぞ!』誰かが言った。
だるまさんゴッこの終わりが近づいてるのを皆で共有したのがわかった。
同時に緊張感も共鳴した。
しめた。単独で突っ込んできてくれたのです。
二人組は片割れはおもろそうって感じで見てるだけでした。
小学生相手に一人で充分と扮だわけだ。1VS7。
計画は確実にイージーモード、時短の消化プレーコースに乗った!
完全に俺ら目がけて、向かってきた。
釣れた。完全に乗ってきた。
言い出しっぺの私も覚悟を決めた。再現性があるかここでやらないといけない、スナフキン(私)の権威性と信用度をより強固のものにするんだと自己都合のオモイもあったのかも知れない、疑いを晴らすしかないないのです。
必殺ブローを叩き込め!
バラすな、勝負はここだ!
かかった、HIT!
モノの見事に乗ってきた。
ブラックバスや釣りでいうバラす事は許されない。
見極めろ!この釣りは人生スクールライフの全てをかけるんだ!
オモイを込めろ!小宇宙(コスモ)を燃やせ!
魚紳さん、見ててくれーーーー!
(ちょっと、何言ってるかわからないと思います。はい。)
きたぞ、きたぞーー。
やつが目が血走りながら向けってきた。
奴『ぐをおらー、人に向けて何石投げてんだああー、ゥああああァーン』
奴が更に歩を進める。
奴『あーん、あアア、オオはあ○☓△、テメエラなめてんのかーーー。』
案の定、ぶるった。もう、震えた。
怒り狂った高校生が向かってくる。
普段経験したことの無い圧。成人なら夢見るパイ圧MAX!
スフフキン(私)の鼓動がドキドキ、心拍数は急上昇。凄い形相に迫りくる高校生が迫りくるとマジでぶるった。ブルった事というより武者震いに違い。恐怖からくる震えとは違った。と同時に落ち着きもなぜかあったからです。
カツアゲの恐怖を乗り越え、
修行で必殺ブローの型を得ているからなのか。
理由はわからない。
絵に書いたようにパンチをもらう。
『ドム』
あちゃー、痛い。
でも、姉貴のケリのほうが痛いような気がした。
私がもらったお腹にグーパンは思いの外痛くない。
ガキ相手に本気で殴る気がないソレです。
前回のカツアゲの原付きで囲まれたどヤンキーとはドエライ違いだ。
明らかに前回の原チャリ集団の怖いお兄さん達じゃない。非オーラーバトラー(弱そうな人、シャバ僧)のリサーチはバッチリだった。皆で集めた情報は確かだった。感謝しかない。圧倒的感謝!
そこに秘密がある。
先に仕掛けたのは俺たちだ!主導権を持ってるのは俺たちキッズ。
知ってるか知らないか、この差は雲泥だ。
また、既に逃げる準備に入るだ段取りもしてる、抜かり無し。
小学生相手に本気でこない舐めプしてたツケを払うのはここからだ。
私は奴の喉元を殴る。このシンプルな再現実験をしてるだけだ、修行トレーニング通りやるだけだと言い聞かせた。
まだ、耐えろ!
次をもらったら、万が一あれば自分は泣いちまう。間違いなく、大泣き。みっともなく泣き出す。一生負け犬呼ばれされる、意中の女子はクソ馬鹿笑いするに決まってる、『きまぐれオレンジロード』のような甘い経験を俺はしたいんだ。
思い出せ、修行もといドルアーガの塔と過ごした日々を!
(え、そこ?。鉢の修行ちゃうんかーい!)
思い出補正スローモーション
落ち着け、奴の動きを見極めろ。
おちつけ、おちつけ、殺るんだ。
のぼ仏を狙うんだ。
以下脳内時間の【思いで補正スローモーション】で記述します。
3秒
2秒
1秒
そこだ!
必殺ブロー改、水平チョップからの~
鉤爪を喉仏にインパクトを確実に当てる。
あの気持ちの悪い感触が再び。
『ドムン、ぐわんあああん』
喉へのインパクトの感触が蘇る、再現成功。
間違いなし、仕留めた!
0秒
そして時は動きだす。
奴はヨロケながらゴホゴホとむせて
前回のように前のめり倒れないが、
壁際で苦しいそうに息が上がるように
コチラに見向きもせず必死に何かにすがる涙目でこちらを睨んでる。
『ケホ、ッグげ、ゲホッ』
まだ、苦しそうだった。
奴の仲間が彼に介抱をしてる姿を確認して
私達は一目散にゲーセンの出入り口に向かった。
自分以外の誰か『きたーーーーーー』
自分以外の誰か『逃げるぞーーー』
私達はその勢いよく階段を駆け下り、
追ってくるかもしれない恐怖を抱えながら、
微かに夕日が差し込む自動ドアに向かって私達は必死で店内から逃げだしたのでした。
Survive
暁のシフトチェンジ
事前に自転車にまたがり、
計画した通りの逃走経路に向かう。
各自がまごつくことなく自転車で逃走を図る。
K君(リーダ格):『散!(ちれ)』
彼の合図で2手に分かれた。
自転車のギアを私は2速度から3速度に上げた。
必死にギアを上げたが再集合場所の公園はまだ先だ。
もう、逃げに逃げた。一生懸命自転車を漕いだ。
これほど恐怖を抱えて自転車をこぐと今まで経験した事のないスリル感が
たまらなく心地よかった。
直線ストレートの大きい道路が広がった。
ここで一気に加速するしかない。
漫画『弱虫ペダル』よりも間違いなくペダルにつま先の先まで力が入った。万が一奴等が追従し追いつかれたら半殺しの目に合うのは、コーラを飲んだらゲップがでるより確実。逃げ切るしかないのだ。
モードチェンジ
私の愛車グラスホッパー号のフレーム股下にある変則装置に手を伸ばしてギアを6に入れる。インナートップへモードチェンジする。
リグが軋みチェーンの圧をうけて唸る。
『ギイイいいいーーーーー』
スプロケットが待ってましたかのように歯数の少ない方へ落ちていく。
『キュルキュル~。ガチャガチャ、ガッコーーーーン』
スナフキン(私)の愛馬”グラスホッパー号”は
更に加速をつけてアスファルト タイヤを切りつけながら
暗闇走りぬけるううううううううう
チープなスリルに身をまかせても~
明日におびえていたよ ♪
It’s your pain or my pain or somebody’s pain
誰かのために生きられるなら ♫
It’s your dream or my dream or somebody’s dream
何も こわくはない イイイイイイ〜
Get wild and tough!
こらー!
Get Wildやないかーい。草
<©Sony Music Entertainment/作詞:小室みつ子
他13 件の楽曲著作権管理団体>
ギアはトップギアで3,4キロ走行しても速度は落ちなてない。
時速おそらく25キロ~40キロは出る勢いで路面に面してるのホームセンター”○○○○”の前を駆け抜けていった。
旋風のように7台の自転車はTokyoキューポラアンダーグラドの路地裏に暗闇に消えていったのでした。
※音楽で気分だけでも。。しっかし、Get wild and tough!
まだ言うんだ。。。。
How to survive in this area
再集合場所の公園にみんなが集まったきた。
奴から逃げ延び、生き延びたのだ。
みんなで目撃し、必殺ブローは証明された。
みんなで抱き合って喜びあった。
少年達はゲームセンターの悪童を退けただけじゃない。
必殺ブローさえあれば
この地域で生き抜くことが出来ることを知った。
この足立区、北区,板橋区、川口エリアで猛者が集うTOKYO&武南で生きていける事を分かち合った。
我々はゲームセンターへのフリーパスを手に入れたわけです。高校生、中学生の年上がいようが俺たちはにビビらずび暴力にあがらう術を手に入れたのです。
遂に勢力の均衡が崩れた。
ゲームセンターNのヒエラルキーが崩壊したのだ。
少年達は遂にやり遂げたのです。
◆ 次回予告 ◆
獲物を求めて彷徨う漢達。
TOKYOキューポラアンダーグランドに魔の手が襲いかかる。
エスカレートしていく少年達は何処へ向かう。
・獲物を求め勢力拡大
・下剋上上等、ボンタン刈りじゃー!
・ランデブー
・確保!少年達の行方。
・エピローグ いつかの少年。
実録ノンフィクション思い出横丁シリーズ
隙間時間でポチポチ記載していきます。
誤字脱字は暇なときに修正します。
■一言コメント■
タイトルの補導はまだかよ!って言わないで~。
若干大げさとおふざけがありますが、
内容は全て事実ノン・フィクションであります。
文才皆無故、通勤時間でポチポチとがんばって執筆してまいります。
ただのオッサンの備忘録ですが、応援コメントなど頂ければ励みになります。