見出し画像

サントリーの工場建設は、徹底的な水探しから!水源探索にまつわる裏話を社員が語ります

サントリー天然水など、多くの製品に使用する地下水は、各地の地下から汲み上げた自然本来のおいしさを持つ水です。サントリーは、未来に向けて「水資源」を守っていくために、社内に水科学研究所を設け、持続的に地下水を利用していくための様々な研究を行っています。

今回は、今年5月末に稼働を開始した天然水の新たな生産拠点、「サントリー天然水 北アルプス信濃の森工場」(長野県)の水源探索にまつわる裏話を、水科学研究所の後藤がご紹介します!

7_研究所

これまで「サントリー天然水」の水源地は、南アルプス・奥大山・阿蘇の3エリアでしたが、新たに第四の水源地「北アルプス」が誕生しました。

2018年に行われた、この新エリアの水源調査は、サントリーのビール工場から青天の霹靂で水科学研究所に異動してきた私が、着任後初めて担当した業務でした。着任当初、「来月から山に入ってもらうから、カッパと長靴、あと熊鈴を買っておいてね」と、登山も小学生以来したことがないなか、上司からハテナだらけの指示をされたのを覚えています。

また、この「登山」が、いざ始まってみると、標高約2,000mの登山道などが整備されていない未踏の土地を、地形図の尾根谷線を読み取りながら自分たちでルートを考え分け入っていくものだった、というのも驚きでした。

2_登山道

現地調査は1度ではなく、また、天候に大きく左右されるところが大きいため、苦労と感じることもありましたが、地域の地下水を利用して生産活動を行う上で、地域の水循環を正しく把握し説明していく責任があるため、重要な調査だと自分を鼓舞しました。


北アルプス信濃の森工場の背後は、急峻な山に囲まれており、山間部の地質は硬い花崗岩、山麓には水はけの良い扇状地が広がっています。一般的にこのような場所では、山間部に降った雨水は地下深くに浸み込みにくいため表層を流れ、山麓の扇状地域に到達したところで地下に浸み込むと考えられており、この仮説を実証するために調査を行いました。

3_水質調査

しかし実際の調査で、扇状地での浸み込みは少なく、山間部で浸み込んでおり、その浸み込みやすさも場所によってばらつくという事が分かりました。

5_調査結果

このように、仮説とは全く異なる驚きの結果は、実際に現地の深山部に分け入ってデータを取り、様々なデータを俯瞰してみなければ分からないことでした。現地に行って調査することの重要性を強く感じる経験でした。


おいしい「サントリー天然水」がずっと皆様の手に届くように、これからも、地域の皆さまと力を合わせて、「水資源」を守っていきたいと思っています。


この記事が参加している募集