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さんさーらとヤギの物語

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あがりの宿さんさーらで飼っているペットのヤギ、ユリルとリンクの物語です。1匹のヤギとの出会いから、思いもよらない出来事が次々と起こり。。。ヤギを飼うことになった最初の頃のお話です…
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さんさーらとヤギの物語①

さんさーらとヤギの物語①

宮古島にファミリー向けの民宿、あがりの宿さんさーら、を構えて早5年。

うちの向かいには、ヤギを飼っているおじさんがいて、いつも常時6~7匹ほどのヤギさんが柵のなかに放牧されている。

おじさんはとても気さくな人で、私たちが宿を始めた当初から、宿のお客さんには自由にうちのヤギと触れ合ってもらっていいよと言ってくれていた。

うちの宿は家族連れで、小さい子供たちをつれたゲストさんが多い。

向かいの

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さんさーらとヤギの物語②子ヤギがやって来た、名前は、、?

さんさーらとヤギの物語②子ヤギがやって来た、名前は、、?

ヤギがうちにくることになった話。

おじさんとの交渉で、オスなら売ってあげるよ、という話になったよと夫から聞いていた。

とりあえず一匹飼ってみて、もし増やしたくなったら、別のヤギ飼いさんのところのメスヤギをもらえるよう紹介してあげると。

おじさんのところのヤギと交配させると近親相姦になり、奇形児が生まれやすくなるからみたい。

とりあえず私もヤギ飼うの初めてだし、何もわからないからすぐに増やす

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さんさーらとヤギの物語③ユリルが下痢をした

さんさーらとヤギの物語③ユリルが下痢をした

ヤギのウンチはコロコロ丸くて固いのが正常。

ユリルは、来た時からウンチの状態が不安定だった。

一日ずっと出ない日があったり、ようやく出たとおもったら、形がポロポロウンチじゃなくて、固まってでてきたり。

ブドウの房みたいなやつ、犬のうんちみたいなやつ。

ポロポロのウンチが出るはずなのにおかしいなあ、、と思ってた。

草はものすごくたくさん食べてた。

うちに来て食べるものが変わったからだろう

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さんさーらとヤギの物語④獣医さんとの出会い

さんさーらとヤギの物語④獣医さんとの出会い

連絡を取ってから、すぐに、駆け付けてくれた獣医さん。

宮古獣医科医院の獣医さんは、到着すると、ユリルの状態をみて、私に状況を聞くと、すぐにテキパキと治療をすすめてくれた。

おそらくおなかの中の感染症でしょうと、その治療のための注射と内服薬を行ってくれた。

子ヤギは下痢になることが多いということ。

ヤギは我慢強い生き物だから、弱った時には手おくれになることもあるということ。

私が数日前にみ

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さんさーらとヤギの物語⑤男の子じゃない!?

さんさーらとヤギの物語⑤男の子じゃない!?

獣医さんとの出会いのところからちょっと話を戻します。

うちは、オスヤギをもらう予定でした。

そう思い込んでユリルのことをみていました。

ですが、なんとなく、もらった時から違和感を感じていました。

男の子のタマタマにあたる部分が、おっぱいにみえるような、、

でも、オスあげるといって、渡されたわけだし、ヤギのオスは結構立派なタマタマがぶらさがってるから、私がそうみえるだけで勘違いなのかな、、

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さんさーらとヤギの物語⑥ユリルが妊娠!?

さんさーらとヤギの物語⑥ユリルが妊娠!?

下痢の治療後、ユリルは調子よく毎日を過ごしていた。

うちの環境にも慣れてきてはいたが、相変わらず実家(おじさんのヤギたちのところ)が恋しいようで、隙あらば、抜け出していなくなり、慌てて探すと、実家のヤギ舎にもぐりこんでいる、、という状況がたまにあった。

ある日、また、ユリルがいなくなっていた日があり、実家のヤギ舎にいくと、やはりそこにいて、段ボールに入ったエサ用のキャベツをむさぼり食っていた。

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さんさーらとヤギの物語⑦妊娠確定診断

さんさーらとヤギの物語⑦妊娠確定診断

ユリルの妊娠を指摘されてから、ほどなくして、また、ユリルが下痢を再発。

前回の治療から約1か月後のことだった。

あー、また下痢かあ、、。しかもまたドロドロした水様便。

今回は、すぐに獣医さんに連絡。

私:すいません、以前下痢で治療してもらって調子よかったんですが、また、下痢をしていて。。あと、それと、、どうやら妊娠してるようなんです。

獣医さんはじゃあ妊娠鑑定もしましょう、と、すぐにまた

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さんさーらとヤギの物語⑧くり返す下痢。。点滴治療開始

さんさーらとヤギの物語⑧くり返す下痢。。点滴治療開始

5月3日

ユリルの妊娠が確定して約一週間、またユリルが下痢を再発した。

前回の治療後、一旦は正常の便に戻ったのだが、今回はまたすぐに再発。

しかも、今までで一番水っぽく、量も多い。

お尻が下痢便でかなり汚れている。

草を食べる量が減っている。

元気もない。

再度獣医さんに連絡。

今回は、下痢もひどいので、栄養保持のために点滴をしましょう、と。

前回の治療で、病原体は除去されてるは

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さんさーらとヤギの物語⑨衰弱するユリルとヤギの看護

さんさーらとヤギの物語⑨衰弱するユリルとヤギの看護

5月4日

昨日の点滴のあと、ユリルが回復することを祈ったが、事態はよくならず。

夕方に、またひどい下痢。大量の水様便。

食欲も元気もない。小屋のそばに座り込んでいる。

もう、便は垂れ流しの状態に近く、栄養状態がかなり危ぶまれる状態に見えた。

16時ごろ、心配になり、獣医さんに連絡。

再び点滴治療が行われた。昨日念のために、と行った便の検査では、異常はなく、やはり最初の感染症の治療の効果

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さんさーらとヤギの物語⑩ヤギの輸血

さんさーらとヤギの物語⑩ヤギの輸血

点滴治療の連続三日間の治療が終わったが、残念ながら、ユリルの状態は変らなかった。

依然として予断を許さない状態、活気がなく、一日中ずっと小屋の横に横たわり、草も食べない。

娘たちもぐったりしているユリルを心配して、この草ならどうかな、もっと小さくちぎったらどうかな、とあれこれみんなで試行錯誤の日々。

獣医さんにも、現状を報告。そこで、でてきた獣医さんからの提案に私はびっくりした。

”あとは

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さんさーらとヤギの物語⑪葛藤、決心、そして奇跡の起こった日

さんさーらとヤギの物語⑪葛藤、決心、そして奇跡の起こった日

私は、ずっと自分の心の中で葛藤していた。

このまま治療を続けるのか、、どこかで見切りをつけなければいけないのではないか、、

コロナの影響で、宿の仕事はなくなり、今は収入もない状態。

目の前で消えかかっている命を助けたい、見捨てられない、でも、私には守らなければならない家族もいる。

夫は、ずっとこの件にはかかわらず、見て見ぬふりをしてくれていた。

介入すれば、私に対して意見を言いたくなるか

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さんさーらとヤギの物語⑫いよいよ、出産~陣痛開始編~

さんさーらとヤギの物語⑫いよいよ、出産~陣痛開始編~

ユリルが立ち上がり、再び草を食べ始めた。その夜、獣医さんから電話が。

夕方のユリルがたくさんイモの葉っぱを食べた出来事を報告する。獣医さんも、よかった!!と声を上げて喜んでくれた。

獣医さんは、万全の態勢でサポートしてくれるつもりで私に電話をくれていた。そして万が一の時の私の意思確認。

難産が予想されるが、お産がはじまれば、夜中でもすぐいくので呼んでいいということだった。あと、ユリルが万が一

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さんさーらとヤギの物語⑬いよいよ出産~赤ちゃんヤギ誕生編~

さんさーらとヤギの物語⑬いよいよ出産~赤ちゃんヤギ誕生編~

出産編、前回の話はこちら👇

獣医さんが到着して、いよいよ子ヤギを取り出す体制を整え、娩出に備えた。

胎位を正常に戻すため、獣医さんがユリルの産道に手を入れた。

だがやはり、産道がかなり狭いらしく、獣医さんでもなかなか奥に手が入れられない様子。

もう一人の獣医さんが、手が小さく、入りやすいだろうということで、介助を代わった。

入った!そして、子宮の中から足を引き出そうと、何度も何度も探っ

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さんさーらとヤギの物語⑭母ヤギの産後経過と未熟児ヤギの看護

さんさーらとヤギの物語⑭母ヤギの産後経過と未熟児ヤギの看護

出産編の赤ちゃん誕生のお話、前回の記事はこちら👇

大変な難産の末、生まれてきた未熟児ヤギ。

人間の赤ちゃんもそうだが、未熟児にとって、お母さんの出す初めてのお乳、初乳は、命を繋ぐためにとても重要だ。

初乳には、赤ちゃんを守るための物質が豊富に含まれている。

私の認識では、これに代わる代用品はない。

人間のお母さんも、未熟児の赤ちゃんを産んだら、一生懸命まだ少ししか出ない初乳を搾り、1滴

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