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医者との合コン (1分小説)

授業中、菜々美からLINEが入った。

『今日ってヒマ?合コン、行かない?』

彼女はお嬢様で、友達にもお金持ちが多い。

前回の合コンは、弁護士軍団。前々回は代議士で、その前は青年実業家。

①頭  ②性格  ③ルックスがよくて、④浮気しない男

そんな社会人には、いまだに会ったことがないけれど、とにかく私、大学を出ても1ミリも働きたくないんだ。

就活は絶対しない派。オンナとして見られる短くて貴重な時間を、ストレスだらけの労働なんかで過ごしたくはない。

19歳から婚活してる。22歳で卒業と同時に結婚、合計3人は産むつもり。

安定した華やかな生活、専業主婦が将来の夢。それが、真の勝ち組ってもんでしょ。


授業もそこそこ抜け出し、ばっちりメイクして、スカートまくし上げ、店へと急いだ。

席に着くと、目の前に私好みの男性が座った。

竹本と名乗った彼は、医者をしていると言う。今日は医者集団らしい。

よぉぉっしゃ、チャンス到来! ひとまず、竹本さんは、①と③クリアだな。

話すと、嘘のないマジメな感じ。②もOKとしておこう。

あとは、④の浮気度。

「患者さんに、異性を感じることってあります?」
探りを入れてみる。

「たまにね」

弁護士、代議士、青年実業家にも同じ質問をしたが、「クライアントには異性を感じない」と言っていた。でも逆に、うさんくさいと思った。

医者とて人間。

ナイスバディが、すっぽんぽんになって手術台に横たわっていたら、ムラムラが来ないわけがない。

正直に言ってくれた分、竹本さんには好感が持てる。

「じゃあ、患者さんと付き合ったことは?」

「あるよ」

男友達は、「お前、やめとけって」「よせよ」と笑っている。

その時、LINEが入った。

『内緒で、って言われてるんだけど。彼ら、獣医さんなのよ』

隣の席の菜々美からだ。

…ハッ、私、からかわれてる!?こうなりゃ、逆に困らせてやれ。

「へぇ、その彼女との写メとか持ってます?」

すると、同席していた男性の一人がついに白状した。

「オレたち、実は獣医なんだ。竹本は、OLさんと一緒に暮らしてる。今日は、ちょっとハメを外しに来たってわけ」

やっぱりナメられてたんだ。



竹本さんが、私にスマホの待ち受けを見せてきた。



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