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漫画みたいな毎日。「春はあけぼの。桜餅とパフェと鯛焼きと。」

春はあけぼの。

そういえば、「あけぼの」というお菓子屋さんが銀座にある。
銀座5丁目だ。

保育学校に通っていた頃、池袋の雑貨屋でアルバイトをしていた。
ふっくらした欧陽菲菲のような店長のいるお店だった。欧陽菲菲店長は「〈銀座あけぼの〉の桜餅かってきたのよ。」と、季節になると買ってきては、振る舞ってくれた。店長は、銀座の店舗でも店長をしていたが、閉店してしまったので、私のいる池袋に配属されたのだった。


欧陽菲菲店長は、それなりに年齢を重ねていたと思うが、いつもしっかりとお化粧をし、ネイルもしっかり、アクセサリーも沢山身につけていた。美味しいものが好きで、いつもマットな口紅を塗っていた。誘われて一緒に昼食を食べにいくと、マットな口紅を塗った唇を大きく開き、その中にどんどん食べ物が飲み込まれていく様子を興味深く眺めていた。そして、銀座のお店が好きだったと話すのを「そうなんですね、」と相づちを打って聞いていた。

お店にくるお客さんとの会話も、やってくるお客さんの年齢層も、欧陽菲菲店長の肌に合っていたのだろう。池袋は若者の多い街だったから。〈あけぼの〉の桜餅を嬉しそうに、懐かしそうに買ってくる姿から、彼女は、〈銀座という街〉が好きなのだなぁ、と思った覚えがある。

銀座の街並みは整っていて、歩きやすい。

私も、東京に住んでいた時は、銀座が好きだった。多くの人が抱いているであろう銀座のイメージとは、ちょっと離れた下町感のある銀座が好きだった。メインの通りはいつも人で溢れていたので、歩くのは一本裏の道。

四丁目のあたりは高級な百貨店が建ち並んでいるが、ちょっと歩いて裏通りや有楽町や日比谷、新橋方面に行けば、小さな飲茶のお店があったり、リーズナブルなイタリアンや、ベトナム料理店、中国茶の専門店もあった。ビルの中に絵本をたくさん置いてる本屋さんがあったり、ちょっと変わった雑貨屋さんに行くことも、私の楽しみであった。

日曜の夜は店じまいが早く静かな夜を迎える銀座。
そんな日曜の夜にも遅くまで開いている喫茶店もあり、姉や友人とお店が閉まるまで、ゆっくり夕飯を食べた後には、喫茶店に移動して、喋り続けた。

もう10年以上銀座を訪れていないので、銀座の街も様変わりしているだろう。次に訪れる時には、また新しい発見があるかもしれない。

話は、銀座から四谷へ。

姉が、「美味しいお店が会社の近くにあったの!」と言って連れていってくれたフルーツパーラーが四谷にある。いや、正しくは、あった、だ。
この2月末日で閉店したことをSNSで知った。開店から50年だったそうだ。

このフルーツパーラーは、一階が果物屋で、二階のフルーツパーラーでは、仕入れた季節の果物をふんだんに使ったパフェがメイン。

アイスやシャーベットも店の果物を使った手作り。桃や巨峰、何と言っても感動したのは、「佐藤錦のパフェ」だった。大きな艶めいた佐藤錦がパフェグラスに所狭しと乗せられ、グラスの中央部のシャーベットも佐藤錦なのだ。苺や桃や巨峰も魅力的だったし、柿やイチジクのパフェも他では見たことも口にしたこともなかった。

基本的には、果物を加工しない方が好きだ。
しかし、このお店のパフェに関しては、果物の味も香りも決して損なわないように作られていて、毎回、感心すると共にしあわせな気持ちになった。

季節の果物。
その時の旬。
その時だけ、手に入る果物を口にする。
それはものすごく、贅沢なことなのだと思う。

お店のスタンプカードには、季節の果物の名前が記されていて、その時期にそのパフェを食べると、スタンプを押してもらえる仕組みになっていた。
キウイやバナナは一年中食べれるメニューだったが、旬の果物の魅力に勝ることはなかった。

子どもたちに、お店のSNSの画像を見せながら「ここのパフェ、美味しいから、あなた達にも食べさせたい!」と何度も口にした。それが叶わなかったことだけが残念だが50年もの間、美味しいものを提供してくださったことに感謝だ。

そして、私にとって四谷といえば、鯛焼き。

たいやき わかば

いつ行っても並んでいる。
行列は好きじゃないけれど、おとなしく並ぶ。
並んでいる間にも、年季の入った鯛焼きの鋳型で次々に焼き上がる鯛焼きを観るのが楽しい。

演劇評論家安藤鶴夫先生より戴いた「鯛焼きのしっぽにはいつもあんこがありますやうに」を社訓とし、四谷で昭和28年より営業しております。

たいやき わかばHPより

「鯛焼きのしっぽまでいつもあんこがある」

このしあわせよ!

季節限定でおだんごやかき氷もあるのだが、
いつ行っても、注文するのは、たいやき。

HPにて〈発送はできますか?〉という問い合わせにも〈たいやきは焼きたてを販売しているため、当店では発送を行っておりません。〉と記されいてる。

そんな所も好きだ。

今は、お取り寄せという便利なものがある。
その土地に出向かなくても、その土地の美味しいものが食べられる。
便利であるし、様々な理由からその土地に行くことが出来ない方もいらっしゃるので、お取り寄せは嬉しいものであるなぁと思っている。

その一方で、その土地に出向いていくことの良さ、わざわざ美味しいものを食べる為に、出掛けていくこと、そこからしか感じられないものもあると思う。

銀座と四谷。

近い将来、「お母さんの若い頃の思い出の土地で美味しいものを食べようツアー」を開催しようと思っている。


春はあけぼの。
美味しいものを思い出す。

ヘッダーはみんなのフォトギャラリー・陽菜ひよ子さんの美味しそうなイラストをお借りしました♪ありがとうございます♪


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