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漫画みたいな毎日。「子どもの意志と、ストーブの熱量を、侮ってはいけない。」

この日は、珍しく風邪気味で、ぼんやりしていた。それは単なる言い訳で、これは、いつものうっかりにまつわる出来事なのだ。


二男は、朝一番から「今日から12 月!クリスマスツリー出そうよ!」と張り切っていた。そして、この日は、二男のギターレッスンの日だった。

「ギターから帰ってからやったら?」  

「ストックルームの奥の方だから後で出すよ〜。」

大人としては、出掛ける前に慌ただしくしたくない気持ちもあり、風邪気味で、身体を動かすのも億劫なのもあり、乗り気ではない返事をしてしまった。

そんな母の煮え切らない様子をみた二男は、

「え〜?!今、やりたい。」

と、ムスッとして、何処かに消えた。

おそらく、2階のストックルームにあるクリスマスツリーを出しに行ったのだ。

こういう時の二男は、頑固だ。

決して自分の意志を曲げない。

いつもは「どっちでもいいよ。」と言う事が多い二男。そういう時は、本当にどちらでも良いと思っているのだ。

〈真ん中っ子は、気を使うからね。〉

そう聞くことが多い。上にも下にも合わせる事ができ、基本的には、穏やか。そんな姿をみていると、「気を使わせているのか?!」と、実際気になったりもする。

しかし、こんな風に、譲らない姿を見ると、普段も、特別、遠慮しているのではない様に思える。おかしいと思われるかもしれないが、二男のそういう姿を見ると、あぁ、良かった、と思う。


20分程すると、二男は、ニコニコしながら、クリスマスツリーを抱え、2階から降りてきた。

やるといったら、やるのだ。この人は。

クリスマスツリーの保管場所は、かなり奥まって見つけにいし、取り出しにくい場所だったのに、どうやって見つけたのか、どうやって取り出したのか、謎だ。

ストックルームは、二男のツリー捜索活動で、ぐしゃぐしゃになっているのかもしれない、さて、片付けようかと見に行ったが、何ひとつ動かしていない位に整っていた。いつツリーの場所を見ていたのか、第二子以降の観察力は、なかなか鋭い。


二男が満面の笑みで、ツリーを探し出してきたので、仕方なく重い腰を上げ、ツリーの飾りの箱をおろしてきて、子どもたちに手渡すと、兄妹3人で、クリスマスツリーを囲みながら賑やかに飾り付けが始まる。

少し前までは、大人が一緒に飾ったり、電飾のコードを接続したりしていたが、いつの間にか、子どもたちだけで、やれるようになっている。

いつの間にか、と思っているのは、大人だけで、きっと子どもたちは、少しづつ坂道を登って来たのだと思う。少しづつ、少しづつ、確実に。

クリスマスツリーに、飾る飾りは、私が独身時代から、少しづつ集めた飾りと、ツリーに付属していたものが混在しているのだが、子どもたちは、あるだけ、めいっぱい飾る。

それはもう、どっさりと飾る。

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昔なら、自分が気に入った物だけを飾りたいと思っただろう。

雑貨屋巡りが大好きな、雑貨好き魂なるものが存在するなら、その魂が叫んだに違いない。

「飾りすぎ!余白のバランスが大事!」

しかし、今は、まったく気にならない。子どもたちが、楽しいなら、それでいい。

雑貨好き魂は、奥の方でおとなしく、子どもたちの様子を眺めている。


ツリーや玄関のクリスマス仕様の飾り付けの為にスペースを作ったり、散らかった子ども部屋を片付けたりしているうちに、掃除機をストーブの傍に置いたままにしているのをすっかり忘れていた。



ストーブはエコモードにすると、点火と消火を繰り返して設定室温を保つようになっている。掃除機を置いた時はちょうど火が消えているタイミングで、油断してしまっていた。

「あ!!!」

気がついた時には、自動で着火していた傍に置いてあった掃除機のホースが溶け、ホースに大きな穴が開いていた。

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ピッタリとストーブにくっついていたわけではなかったが、ストーブの輻射熱を侮っていた。

がっくりして、大きな穴の開いたホースを手にとって眺めていると、子どもたちがわらわらと寄ってきて、

「わ~!凄いね!掃除機のホースの中ってこうなってるんだ!」

「溶けたところが、蛇っぽくない?」

と、盛り上がっていて、誰も私を責めない。勿論、夫も。

こういう時、子どもたちは、失敗を決して責めない。むやみに慰めることもない。そんな様子に心から救われる。

翌日の朝、夫がホースの応急処置をしてくれており、痛々しいホースがリビングに寝そべっていた。

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慌ただしい気持ちから、掃除機ホースに大穴を開けたので、一年の最後の締めくくりを、丁寧にしていこう、と改めて自分を戒める師走の初日だった。

本日の教訓。

やりたいことは、何がなんでもやるという、子どもの意志と、ストーブの輻射熱量は、侮ってはいけないということ。

そして、失敗を責められないことで、人は自らを省みる機会を得られるということだった。

何にしても、

あわてない、あわてない。

一休み、一休み。

丁寧に、ゆっくりいこう。


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