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漫画みたいな毎日。「時を経て、ふたたび紡がれるものがある。中編。」

待ちわびていた従兄妹と8年ぶりに再会した我が家の子どもたち。

甥姪が来道するまでのこと、空港で従兄妹たちを出迎えた様子を書かせていただいた記事はこちら。

甥姪の来道が決まり、滞在中の1週間、出来る限り北海道を楽しんで欲しいと計画を立てた。

今年の雪解けは、早かった。去年の今頃はまだ雪が沢山残っていたが、今年は我が家の周りには雪がかろうじて残っているが、道路が露わになっている。スキーやスケートを計画に盛り込んでいたが、どうにもよろしくない気温と雪の状態。

「さらさらの雪で一緒に遊びたかったなぁ。」と長男も二男も甥姪も呟く。折角、北海道に来たのだから、パウダスノーで雪遊びを体験させてあげたかった。あまりにも雪質が悪い。「次に冬来るなら、やっぱり2月の最初がいいよ!」と長男が北海道の雪の様子の移り変わりを説明する。「あ、雪残ってる!」とバスの窓から景色を眺める甥姪。

高速バスで家の近所まで辿り着き、さらにバスを乗り換える。雨で肌寒い春の北海道。

家の近所にはまだそれなりに雪が残っていたので、「雪だるま作りたい!」と盛り上がる。まぁ、まず荷物を置いてからね、と玄関を開ける。

玄関に一歩、足を踏み入れた姪が、「けいこちゃんの匂いがする!」と嬉しそうに声を上げた。

涙腺が弱くなっているオバサンは、それだけで泣きそうになってしまう。匂いと味の記憶とは、思っている以上に遺るものだと思うから。

夕飯の希望を聞くと、ハヤシライス!とのことで、空港帰りに材料を買ったので、早速支度し、皆で食卓を囲む。夕飯を食べながら、「昔、けいこちゃんにこんなものを作ってもらったよね。」「あれも作ってくれたよね。」「餅つきもしたよね?」「美味しかったよね。」と食べ物に関わる思い出が、皆で囲む食卓に並んで行く。しあわせな夕食だった。やはり、匂いと味の記憶とは、奥の方に遺るのものなのだと実感する。

滞在2日目。

北海道らしい所へ行きたい、甥姪の希望を聞きつつ、場所を決める。今回は札幌やその近郊でということで、北大へ行くことに。

北大構内を散策し、皆で学食で昼食を食べ、セイコーマートには北大限定商品なるものがあると喜ぶ甥。甥は、「地域限定」が好きなようで、自分もコンビニでバイトをしていたので、コンビニ事情に詳しい。深夜のコンビニは、ドラマになりそうなネタが沢山あるのだそうだ。姪はドラックストアでバイトをしていて、色々な人がお客さんとして来るが、ちゃんと対応しているようだった。おばあちゃんとかに色々聞かれるから、わかるようにしておかないといけないんだよね、と。

話を聞いていると、こうやっていつの間にか社会に出て、色々な経験をしているだなぁと感心したりする。それぞれの社会勉強。


滞在3日目。

「小樽に行ってみたい。」という甥。小樽のイメージは、運河とのこと。しかし、前日も子どもたちは深夜まで盛り上がり、朝はゆっくりのスタート。まぁ、そんな日もあっていいかと思い、ゆるゆると小樽に向かう。
感染症が流行していた時期は、人気がなく静かな小樽であったが、この日は観光客も多く、賑やかさが戻っていた。

オルゴール博物館に立ち寄るも、甥姪の住む場所に程近い鎌倉にもあるとわかり、ちょっとがっかり。そこから水族館へ行き、閉館まで過ごす。運河や硝子のお店には寄れなかったが、「次に来る時のイメージが出来たから、楽しみが増えたよ!」と言ってくれる甥。ええ子や。と叔母バカ度がさらに上がっていく。我が家の子どもたちは、何度も来ている水族館であるにも関わらず、楽しそうだ。好きな人達と一緒であることは、同じ場所でもまた違う楽しさがあるものなのだな、としみじみと子どもたちを眺める。

滞在4日目。
子どもたちが博物館で「渡り鳥すごろくワークショップ」への参加が前々から決まっていた。博物館は森の中にあり、関東にはない環境なので、それもまた良い機会かと思って甥姪にも付き合ってもらう。
保護者として、私と夫が参加の予定だったが、甥姪が二男と末娘に付き添ってくれて、ちょっとした工作やすごろくに参加してくれた。
私や夫も、こうやって彼らと工作をしたり、何かイベントに参加したことが頻繁にあった。勿論、彼らの方がずっと若いのだが、時間が交錯したような、不思議な気持ちになる。

博物館の近くの温泉の家族風呂があることを知り、「家族風呂があるんだけど、どうかな?」と提案してみた。20歳の甥、18歳の姪、13歳の長男、思春期の終わりかけだったり、思春期真っ只中だったりの子どもたち。きっと嫌がるか、難色を示すであろうと思ったが、一応聞いてみようと軽い気持ちで尋ねると、「いいよ。」「うん、いいよ。」「別にいいよ。」と快諾されて、こちらが驚いてしまった。しかし、これで終わらないが子どもたち。「・・・ヤダ。」一番の難色を示したのは、5歳のJKである末娘であった。
しかし、こんな機会はもう訪れないかもしれないと、大きな素敵なお風呂にみんなで入るんだよ~と説得し、何とか家族風呂にこぎつけた。

家族風呂は、受付で申込みをする。電話で予約などではなく、その日、その時システム。私たちが受付に行くと、「20分程お待ちいただくことになります」と言われる。まぁ、それくらいなら末娘や二男も許容範囲だろうと待つことにする。10分程待っていると、「特別室なら、今からご案内出来ます。」と係の方に声を掛けられ、何が特別なのかを尋ねると、「通常の1.5倍の広さです。」とのこと。特別料金なるものを追加で支払い、利用することにした。料金まで1.5倍でなくて良かった!と思いながら。

家族風呂に入ると、甥姪も、長男も全く躊躇することなく裸になり、どんどん浴室に入っていく。その様子に私の方が、「あ、こんな感じでいいのね?あなた達、ホントに大丈夫なのね?」と思うほどだ。甥姪とは数え切れないくらい一緒にお風呂に入った。小さい頃の時間を濃密に過ごさせてもらったから、こんな風にまたお風呂に入れるのかもしれないなぁ、と思いつつ、私も浴室に入る。浴室は7人で悠々と入れる広さの湯船があり、洗い場はそこそこの広さではあったが、大人3人で一度に洗える広さ。シャワーで水を掛け合ったり、湯船で泳いだり、手で水鉄砲を作って顔を如何に狙うかと皆で盛り上がった。

滞在5日目。

色々な場所に出掛けたけれど、何処に行かなくても楽しそうな子どもたち。この日は、段ボール窯でピザを焼くことにする。長男がピザ生地を捏ねて発酵させる。第一時発酵にかかる時間は約2時間。その間に甥と長男は、裏山にスノーボードと探索に出かけるという。

姪は、二番目同士、二男と何か通づるものがあるのか、とにかく可愛い可愛いと二男を可愛がってくれる。「今、付き合ってる彼と別れてR(二男)と結婚する!」とまで言ってくれていた。二男も嬉しそうにしている。「もしそうなったら、親と顔合わせとか無くていいね!」と姪。確かに!と笑ってしまった。

末娘は、いつもは兄たちに囲まれて女子色が薄いので、姪と女子トークをし、本物のJKと5歳のJKで、〈JKピース〉なるものを教わったりと、盛り上がっている。女子高生が2人居るとその空気は、華やかになる。あ、一人はまだ5歳だった・・・・。

甥と長男は、長男同士で意気投合し、8歳離れているけれど、「K(長男)って友達みたいなんだよね。」と甥。

長男ズが帰宅し、二人で器用にピザ生地を伸ばし、姪と二男と末娘がトッピング係。私はウッドデッキで火の番人。

何の打ち合わせもなくとも、皆が自分で出来ることを、声を掛け合って自然に動いてやっていく。こういう時間は本当に心地良いものだと思う。

焼き上がったピザがテーブルの上に所狭しと並び、その光景に笑ってしまう。食いしん坊の遺伝子は甥姪にも確実に流れている。

いつもならとっくに寝ている時間まで、カードゲームやレゴで連日盛り上がる。冗談を言い合い、じゃれ合って笑い声が絶えない。お風呂の順番はUNOの勝敗で決めていた。お風呂も、末娘は姪と、二男は甥と入るいって、私も夫も用無しであった。

子どもが5人に増えて、賑やかさが増す時間。夫が、「7人家族も良いものだね。」と子どもたちがじゃれ合う姿を見て呟く。

楽しい時間とは、時間の流れ方が変わってしまったかのように物凄い速さで過ぎていく。

後編に続く。


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