漫画みたいな毎日。「時を経て、ふたたび紡がれるものがある。前編。」
私と夫、神奈川で産まれた長男の3人で北海道に移住し、12年。
移住してから二男と末娘が産まれた。
「遊びにおいでよ!」
何度、この台詞を甥と姪に言っただろう。
「うん!行きたい!」
何度もそんな返事を彼らから聞いてきた。
同じ日本でも海を渡る北海道は、やはりなんとなく距離を感じることがある。私自身も青森からフェリーに乗り、海を渡ったときには、ややセンチメンタルな気分になったものだった。
甥と姪に久々に会うことが出来たのは、昨年11月。私がSpitzのライブに参戦する弾丸ツアーで横浜に行った時のこと。約8年振りだった。
甥は20歳、姪は18歳になっていた。
すっかり、様子が大人っぽくなっていて、嬉しい驚きを抱いた。
その前に会ったのは、父の葬儀の時だった。その時、甥は我が家の長男と同じ中学1年生。姪は小学5年生。
時々、電話したり姉が画像を送って来てくれていたものの、リアルで会うということとは、まったく違う。別れ際に、「遊びにきて!子どもたちも会いたがってるから!」と伝え、ハグして別れた。
二人共、4月からの進路も決まり、落ち着いたこともあったのだろう。「遊びに行きます!」とLINEが入った。
1週間くらい滞在できるとのこと。子どもたちは、「もっと長く居て欲しい!」と最初からブーイングをあげていたが、彼らもバイトや卒業式など、何かと忙しい身である。
甥姪と、私の付き合いは、彼らがお腹にいる時から。
「姉妹の子は可愛いよ!」と聞いていたが、それは本当だった。甥も姪も、ただただ可愛くて、保育園のお迎えからのお風呂や食事のお世話、家にあそびに来てのお泊り、草摘みをしての餅つき、旅行、いちご狩り、保育園や学校の行事の参観・・・たくさんの時間を一緒に過ごした。
保育園に甥をお迎えに行くと、「おばさんがお迎えにきたよ!」と教えてくれた友達に「オバサンじゃなくて、けいこちゃんだよ!」と真剣に説明していた姿が、今でも忘れられない。オバサンっていうか、叔母だから、あってるけどね、と笑った日のことを。
結婚前の夫も、彼らとは赤ちゃんの頃からの付き合いで、とてもよく面倒を見てくれ、可愛がってくれた。散歩に連れて行ってくれたり、肩車したり、一緒に食事をしたり。お風呂にも入れてくれた。甥っ子は彼の髭で頬をジョリジョリとされるとケタケタと笑っていた。
夫は、「彼らが可愛すぎて、自分の子を可愛いと思えなかったらどうしよう・・・」と度々口にする程可愛がってくれ、叔母として、ありがたいと思う日々だった。
叔母、という立場は、良いものだと思う。親ほどの責任感を背負い過ぎず、
丁度よい距離感で、だたひたすらに可愛いだけを注げる。ある意味、無責任に可愛がれる立場なのだと思う。親になってみて、それを感じた。勿論、自分の子どもたちも可愛いし、大切だ。しかし、そこに責任も多くあると思う。
長男は5歳くらいの時に甥姪に会っているが、二男はその時1歳。末娘に至っては、今回が「はじめまして」だ。それでも、私や夫から彼らの小さい頃の話を聞いたり、電話で話していたので、会える日を楽しみにしていた。
長男や二男は「早く遊びに来て」と荷物を送る度に手紙を忍び込ませた。
来道が決まると、子どもたちは、飛び跳ねて喜び、早速、カレンダーにその日を書き入れた。「あと6日」「あと5日、もうすぐだね!」と、その日を待ちわびた。その姿を見ながら、あぁ、こういうことが正に、「指折り数える」というのだなぁ、と微笑ましく眺める。
殆ど直接会ったことがないにも関わらず、こんなにも待ち遠しく思う〈従兄妹という存在〉が、不思議にも思えた。私にはそのような従兄妹が居ないので、尚更、そう感じるのだろう。
そして、甥姪がやってくる当日。夫が仕事で空港を通過する道を通るので、私と子どもたちは、彼らを空港で出迎えることにした。車は夫が仕事で使うので、帰り道は高速バスで帰宅する。荷物を持つとか、案内をするという意味では、私たちが出迎えに行っても、役に立たないのだが、「早く逢いたい」「ちょっとでも長く一緒に過ごしたい」と思う気持ちが、私たちを空港に向かわせた。
飛行機の到着は9時半。私たちは、8時前に空港に到着してしまった。早朝の道路は空いていて、予定よりも早く着いたのだ。夫はそこから仕事先に車を走らせるので、ここでお別れ。
朝の空港は静かである。
開いてるお店は限られており、出発ロビーのソファに座って朝食を食べている人を多く見かける。子どもたちと静かな空港を散歩し、時計が8時を回ると、フードコートが開き、テーブルと椅子が使えるようになったので、持参したおむすびやとサンドイッチで軽く朝ご飯を食べ。甥姪の到着を待つことにする。
「あとどれくらい?」「まだかなぁ。もう少し?」
子どもたちの口から何度も出る言葉。
「待ち遠しいねぇ。もうすぐだよ。」
到着時刻よりちょっと早めに到着口に行くことにする。皆で到着口前をウロウロ。まだかな、まだかな・・・・・。動物園の檻の中で、あっちへ行ったりこっちへ行ったりする猛獣のような動きを繰り返す。
「あ!いた!」
荷物の受け取りレーンの前に甥姪の姿を見つけた。
やや時間がかかって荷物を受け取り、到着口から出てきた甥と姪に、
二男が勢いよく飛びついた。
そのジャンプは、「くまのプーさん」に出てくる「トラのティガー」顔負けであった。
「大きくなってる!」と我が家の子どもたちをしみじみ眺める甥と姪。
飛びついたものの、ちょっと恥ずかしそうな二男。冷静に話をする長男、
緊張して私の後ろに隠れる末娘。
みんなそれぞれ大きくなった。
最近は涙腺が弱い。
年齢の影響だろうか。
再会の様子に、ついホロリと涙したことは、秘密である。
ここから一週間、どんな時間になっていくだろう。
まずは「ようこそ!」と、お茶でも飲みながら一息つき、皆で家路に就こうか。
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