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【掌編小説】黒いバレエシューズ
暑かったので、コンビニで抹茶のかき氷を買った。店の前のベンチで食べていたら、この暑いのに黒い厚手のパーカーを着たぎょろ目のぼさぼさ頭の男がやって来た。ぼくは、そいつのことを知っていた。同じ団地の真上に住んでいるやつで、確かタカノと言う名だ。大学を出て定職にもつかずに毎日映画ばかり見て過ごしているらしい。そいつは、コンビニに入りかけたところでぼくを見て、おっ、という顔をした。タカノと口をきいたこと
もっとみる【掌編小説】あたしの人形
誕生日のプレゼントにパパとママが人形をくれた。金髪のさらさらした長い髪がとてもきれいで、目のぱっちりとしたかわいい女の子だ。あたしは一目でその人形を気にいった。その夜は人形と一緒にベッドに入った。その人形は瞳を自由に閉じたり開いたりできる仕掛けになっていて、電気を消す前に人形の瞳を閉じた。目を閉じると長いまつげがとてもきれいで、本当の人間みたいだった。目を閉じた人形を抱いていると、一緒に眠っている
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