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晴天晴天|日記|2022/3/30

三月三十日(水) 晴れ

快晴。雲ひとつない、青一色で塗りたくったキャンバスのような、青空。じっと眺めていると、吸い込まれてしまいそうになるほどの、吸引力のある青さだった。気温は、朝少し肌寒いぐらいだったが、昼は20℃を越えた。日光に当たり火照った肌の熱を、涼しい風が拭ってくれる、そんな過ごしやすい気候だった。

温かくなってきたからか、所々で桜が綺麗に咲いていた。何の変哲もない普通の公園も、たった一本の桜が咲いているだけでとても風情が出てくるから、桜のパワーは凄い。バイトに向かう道中、いくつものシャッターチャンスがあった。けれど、フィルムカメラを持ってきていなかったので、何も撮らなかった。この時期はどんな時でも、常にカメラを持ち歩いておいた方が良いかもしれない。

こんなに気持ちの良い日なんだから、花見に行けば良いものを、BOOKOFFには朝から大量の本やCDを売りに大勢のお客様がやってきた(どうもありがとうございます)。本やソフトだけでなく、慣れないトレカやゲーム機本体の買い取りもたくさんきて、店長に手伝ってもらいながら、何とかこなした。中には、サルトル「嘔吐」や谷崎潤一郎「卍」など、自分が欲しい本がいくつもやってきたが、かなり状態が悪く、商品として売りに出すことができないため、泣く泣く廃棄した。午前中は、休日レベルの忙しさになり、いつもより休憩に入るのが一時間ほど遅れた。

昼休憩では、店の外にある物置の影に腰を下ろし、昨日買ったマルボロを吸った。この赤と白を基調としたシンプルなデザインに男らしさを感じる。京都河原町三条にあるカフェ「六曜社」でもらえるマッチで火をつけて吸った。味は素朴な美味さ。ほんのりと、穀物のような柔らかな旨味を感じる。それでいて喉にガツンとくるキック感もあって、吸いごたえがあった。村上春樹が「雨天炎天」で「トルコを旅行するならマルボロを1カートン持って行きなさい」と言うのも頷ける。チョココロネを食べながら、三本吸った。

家に帰ってからは、斎藤孝「コメント力」を読んだ。コメントに対する意識を活性化させてくれる本ではあるのだけれど、どうもページを捲る手が止まってしまう。斎藤孝の本は昔に何冊も読んだことがあって、どの本も読んでいて楽しく、良い刺激を受けた覚えがあるのだけれど、この本はどうもそれらとは何かが違うようだ。主張にそれほどの意外性や説得力がなく、その具体例も少し的外れなように感じられるものが散見され、嵩増し目的で書かれているのではないかという印象を受けた。最後まで読み進めるのが苦痛に感じられてきたので、途中でキッパリと読むのを諦めることにした。その代わり、昨日届いた竹西寛子「長城の風」を読み始めることにした。

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