砂まじり

日々考えるどうでも良きことがら

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やすかれ、わがこころよ

暖冬らしくずっとぬるかった 雨が降った春先、真空みたいなかんじ。首元がすかすかした服を着たい年はだいたい上手くいってない。あの図書館に行きたいのにいつまでも行かない理由を説明できない。自分が朝起きたときの気持ちさえ寝る前に分からないのは、あまりに無防備すぎるよね。神様のバランスは納得できることが少ない。 つめたい石みたいな、透き通ってこもるにおい いつも嗅ぎたいと思っているにおいがある。街中の工事現場から漂ってくることもある。セメントなのかな。ひんやりと澄んでいて、でもこも

    • とんでもない光の中は暗い

      聖書のたくさんあるエピソードの中に「放蕩息子」というのがある。教会ではぼんやりして聖書を通読したことないわたしでも知っているので知っている人が多い話なんだと思う。 お酒飲みながら話したい。 かぎりなく自分勝手な行動を取る弟、そして窮地に追い込まれどうしようもなくなったとき自分の愚かさを悔いて父のところに戻る。惨めで情けない自分を認め、悔いる。何もできない何も持てない自分を認め神の元に帰りなさいと言っているんだろう、これはきみの姿だよと。神は条件を提示しない、神はあなたが自

      • 読まない本が救ってくれる

        「無人島に持っていくなら」というあの質問に真面目に考える気はこの先もないとして、とりあえず「聖書」と答える。 肉体を支える実用性のある道具はもちろん必須だけどあまり興味がない。それよりも「無人島」での恐ろしい【ひま】(暇なはずないけど)そしてそこから生まれる【孤独】と向き合うことの方が自分にとってはよっぽど重要で、考えただけで不安になる。ほんとうは好きな本を持って行きたいけれど、毎日読んでやっぱり良いなと思い励ましてもらおうとするだろう。作者が生きてる人ならもっと複雑な気持

        • 「祈り/彼らとの時間」

          どこかでなにかが焼けたみたいな匂いがする。 薪なのか、餅なのか、石油なのか。 師走は必ず、なにかがどこかで燃えている。 一番暖かいセーターを 奥からひっぱり出して着る。 スーパーではペンギン型のカキ氷機がいつまでもワゴンに乗せられている。 (きっと目の上についた割引シールは 剥がすと後が残るだろう。) あの子が居なくなったのは夏だったのに 思い出すのは毎年冬だったりする。 煙草が一番おいしかった日。 ちぐはぐで哀しいのにみんな元気でいて欲しい。 神様はわたしのお願いを叶えて

        やすかれ、わがこころよ

          夜の中に朝をみつけたい

          夜が全然得意ではない。 小さい頃、隣で寝ている母の寝息が聞こえてきたら、この世にたったひとり取り残された気がしてほんとうに不安で仕方なかった。中学生の頃、文化祭の練習と称して夜の公園に集まったりしていた時も、薄暗い中で見る友人の顔は昼間と違うように感じて不安が募り早く帰りたかった。修学旅行の夜も、みんな夜遅くこそこそ話すのを楽しみにしていたようだが、最後にたったひとり眠れなくなる方が数万倍嫌だったので「先寝るわ!」と言って寝ていた。人が眠っている姿を見ると、こんなにも近くに

          夜の中に朝をみつけたい

          合うはずないを繰り返して

          趣味が合う。感性が合う。波長が合う。とにかくどうでも良いと思っている。人はもっともっと単純でバカらしいところで人に興味を持ってしまうと思う。 まず、気が合うかどうかの事実よりもそれにかかる期待値がものすごくしんどい。合うと思っていたのに合わないなと思われることも、その逆も。結局「合う」の始まりは「合わない」探しの始まりやん、という思いが強い。それに、自分と合うかどうかで相手を決めることに違和感を感じる。それに比べて、「合わない」から始める関係は素直でよい。合うのプライドや忖

          合うはずないを繰り返して

          宇宙人は大阪を選びなよ

          前々から、宇宙人が日本に潜伏するなら「大阪」を勧めたいと思っている。 大都市なので紛れやすいというのもあるが、紛れなくても馴染んでしまうと思うからである。体が多少ウロコで覆われていても青色の肌でピンクの大きな耳が付いていても、大阪では誰も気に留めない(それは言い過ぎかもしれない)あるいは受け入れる人がすこしだけ多いのではないかと思う。 つい最近まで「あびこ」という大阪市の端に住んでいた。駅前に昨今にしては栄えている地元に根付いた商店街があり、ダイエーというスーパーの2階に

          宇宙人は大阪を選びなよ

          暇を暇として使えるか

          時間の経過だけを感じる瞬間を作りたい。 例えば鴨川を眺めるとき、本を用意したり、コーヒーを飲んだりしなくても良い時間。このアイスコーヒーの氷が溶けるまでに美味しく、でも少しずつ飲まないとな、とか、ちょっとトイレ行きたいな、とか考えたくない。せっかく持ってきた本を読まないとな、とか。ただ川と人を眺めたい。あそこの石にかかる影が右から左にゆっくり着実に覆っていく様子を観察したい。 窓から雲の動きを眺めるだけの時間。部屋のテーブルに座ってSNSも本も何も見ずにコーヒーを飲む時間

          暇を暇として使えるか

          いかれ帽子屋になる必要性

          小学生の頃、両親は共働きだったので学校から帰ってはテレビを見ていた。本当によく見ていた。夏休みなんかになると、朝8時から夏休みこども劇場(らんまとか幽遊白書とか)を見て、10時半くらいから再放送の名探偵コナン、あとはなんかクレヨンしんちゃんとかもやってた気がする。それで11時半くらいになってお母さんが作って置いてくれたお弁当を早々に食べてしまう。そこからテレビは面白くなくなるので、ビデオを見る。例えばディズニーアニメ「不思議の国のアリス」 登場人物に、「いかれ帽子屋」という

          いかれ帽子屋になる必要性

          否定しないの後ろに隠れる

          基本的に「否定」することはない。どんな意見も、嗜好も、結構本気で肯定できる。許容値は広いが、優しいとはまったく違うことを自認している。肯定しようとか、肯定できるとか意識的に思っている訳でもない。むしろしようと思ってする「肯定」は噓くさいし、難しい。 ”その人が、その人であることを、そのまま受け入れる”ということにすごく意味があると思う。(誤解と語弊を含んでいることは承知。) そこは平地で、求めるものがない。相手を変えなくて良い。相手を受け入れるかどうか、自分の問題だけで済む

          否定しないの後ろに隠れる

          煙の行方を追うだけの時間

          たとえば、お香に火をつけてすいーと揺れながら伸びる煙の行方を一本分、火が消える最後までただ眺める。という時間を過ごしたことがない。もう30歳になるというのに。とてつもなく勿体無い人生しているなと思う。なんでもないことをしながら毎日過ごしたい。なんでもないことを見つけて拾って眺めて気付ける時間をずっと知っておきたい。 「平坦な人生はつまらない」みたいな言葉があるが、ほんとうに「平坦な人生を生きている人」は当然いないし、一見そう見える人でつまらない人もいない。なんなら抜きんでて

          煙の行方を追うだけの時間