【眠れないときには、童話でも。】第二夜、閻魔様のモブヤンキームーブがなんか可愛い。
「大丈夫です。決して声なぞは出しません。命がなくなっても、黙っています」
こんばんは。そしてはじめまして、向日葵へい と申します。
「眠れない時は、小さい頃に戻った気持ちで、懐かしい童話でも1つ読んでみてはどうかな?意外と面白いし、いい睡眠導入剤になるよ」コラムもどき2回目。
こちらは、私がオタク特有の高速詠唱で、
『個人的に(重要)』面白いと思った童話のポイントをいくつかご紹介させていただく記事になります。
紹介した童話は、今夜の就寝のお供にどうぞ。青空文庫(インターネット上の図書館)で読めますので。
さて、今回ご紹介する童話は、
芥川龍之介作『杜子春』。
この童話は、中国の伝奇小説『杜子春』を芥川がアレンジして生まれました。題名は同じです。
読み終わった後、親の顔が見たくなる、親に会いたくなるそんなお話です。
前回の『人魚姫』よりか存じ上げている方は少ないと思われますので、前回以上にちゃんと、そして雑に要約させていただきます。これでも頑張って短くまとめました。
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ある春の日暮れ、場所は中国の洛陽。元金持ちの息子、杜子春が、自分の浪費癖のせいで今日の暮らしにも困るほどの貧乏になり、困り果てていた。そこに、どう見ても普通じゃない通りすがりの老人が現れ助言を受ける。杜子春は、老人の助言通りにしたら大量に金が手に入り、金持ちになる。しかし、浪費癖は治るものでもなく、杜子春はまた貧乏になる。が、また老人に助言され大金を得る。が、はやり浪費して貧乏になる。
しかし、2回も同じことをすると杜子春も金しか見えてない人間どもの業に呆れ、3度目の老人の助言は断る。
そして、「こんなにもポンポンと大金を出せるのは仙術使い、つまり仙人であろう」と思った杜子春は、老人に弟子入りを申し出る。
老人は渋るが、自分が用事から帰ってくるまで一切声を発さなければ考えるという。
杜子春はそれからというもの、殺されようと、地獄へ堕ちようと、畜生道に堕ちた両親が閻魔大王の部下にいたぶられようと一切声を発さず耐える。しかし、息子のせいで痛めつけられているのにもかかわらず、母が溢した杜子春を思う言葉に、杜子春は耐えきれずたった一言だけ言葉を発する。
その瞬間、まるで地獄にいたことが嘘だったかのように杜子春の目の前には洛陽の赤焼けた空と町並みがひろがり、仙人である老人がいた。
声を発したため、仙人になれないことを察した杜子春だったが、酷い仕打ちを受ける両親を見て我慢が出来なかった自分が誇らしくもあった。
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……あとほんの少しだけ続くけど、そこは読んでくれると嬉しいですね。いい場面ですから。
『杜子春』はマジで涙無しには読めませんから!!嘘じゃないです。
そんな『杜子春』の「個人的」推しポイントは、
1.小物感ある閻魔様
2.仙人のセリフくっさ!!くっさぁ!!
この2つです。
一介の大学生が、物語の中とはいえ、高貴で高尚な閻魔様と仙人に向かってこれから大変失礼なことを申し上げるので、閻魔様の部下の鬼か杜子春かに寝首を掻かれるのではないかと思わなくもないです。(冗談)
1.小物感ある閻魔様
要約でも申し上げましたが、杜子春は仙人になる目的のため、老人に「喋ってはならない」と言われたので、閻魔様のいる森羅殿でも口を破りません。
めちゃくちゃ厳つい閻魔様を前に口を破らないなんて、本当に大した精神力だなと杜子春に対して私はただ感服するのですが、
閻魔様が、自分を前にして一切口を破らない杜子春に対して、激怒するんですよ。(まあ、当たり前ではあるんですけどね)
その怒り方というか、描写にどうしても滲み出る小物感がありまして。
杜子春に怒るまでは!怒るまでは、閻魔様にもちゃんと威厳あったんですよ。「うわ、怖そう」って思えるのですが、
いざ怒った場面を読んでしまうと、
「弱い犬ほど良く吠える」と言いましょうか、
「雄弁(というわけではないが)は銀、沈黙は金」と申しましょうか、
なんかちょっと閻魔様がかわいらしく思えてきてしまう。
……かなりまともに、それもとてつもなくちゃんとしたご意見を閻魔様はおっしゃっているんですけど、どうしても、バトル漫画でてくる窮地に立たされた主人公に対してのモブのヤンキー(大将)の発言みたいにしか思えなくなってしまうんですよ。
私の心が汚れてるからですかね。
大変申し訳ございません、閻魔様。
引用しますね。
私のせいで閻魔様がそう見えてしまうようになってしまった方、申し訳ありません。
でもね!めっちゃ良いこと言ってるから閻魔様!
「この不孝者めが。その方は父母が苦しんでも、その方さえ都合が好ければ、好いと思っているのだな」
「打て。鬼ども。その二匹の畜生を、肉も骨も打ち砕いてしまえ」
「どうだ。まだその方は白状しないか」
どこぞの悪役ですか(閻魔様自体は悪い人ではない)。……駄目だ。笑ってしまいます。
あ、ちゃんと、厨二病が声に出して読みたくなるセリフもありますからご安心(?)くださいね!!
「その方はここをどこだと思う? 速に返答をすれば好し、さもなければ時を移さず、地獄の呵責に遇わせてくれるぞ」
閻魔様かわいいけど、このセリフはかっこよかったです。一度は言ってみたいセリフですね!
2.仙人のセリフくっさ!!くっさぁ!!
2つ目は、物語、終盤も終盤。
仙人のセリフがね、クサいんですよ。
冒頭も中盤もそんな事一切思わなかったんです。
やる事なす事全てカッコよくて、高貴なお方だなと思っていたんですけど、
ラストでいきなりクサくなります。
いや、私、セリフがクサいの大好物ですので嬉しいんですが!!
(超超超超超超意訳します。あの、意訳ですからね!ちゃんと後で本文読んでください)
「もし、あの場面でも、お前が声を出さなければ、その時はオレがお前を殺してたぜ!」
とか
「その言葉忘れんなよ!それじゃあな!オレはもう二度とお前に合わないから。…………っとあぶねぇ、これ言うの忘れてたわ!この地域の近くにさオレが昔住んでた家があるんだよ。それお前にやるよ!大切にしろよな☆」
とか言ってるんですよ。
もう一回言いますが、私の超超超意訳ですからね!!本文はとても厳かなセリフですからね!!
……まあ、ニュアンスは外れてないと思いますけど。
クサいなあ……。カッコいいわ。
まとめ
いかがだったでしょうか。
最大級のネタバレは回避するように頑張ったのですが、やっぱりどうしても面白いポイントは物語の盛り上がるポイントと重なることが多いので、いかにそれを避けるかが難しいですね。
本当は家族愛の尊さとかチョー熱く語りたかったんですが、そうするとガチのネタバレになってしまうんです。ネタバレOKなら、ネタに走らないで真面目に語りも出来たんですよ。私、『杜子春』をはじめて読んだときガチ泣きしましたものww
でもこの記事は、「童話を読んでほしい」という点が重要なので!
興味を持ってもらうことが何よりも大事です!
青空文庫で検索、検索。
では、良い夢を。
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