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【眠れないときには、童話でも。】第三夜、ジャックは愛すべき馬鹿野郎。

「おかあさん、きょうはほんとに、うまく行ったよ。」と、いきなりそういって、だいとくいで、牛と豆のとりかえっこした話をしました。

こんばんは。そしてはじめまして、向日葵へい と申します。
「眠れない時は、小さい頃に戻った気持ちで、懐かしい童話でも1つ読んでみてはどうかな?意外と面白いし、いい睡眠導入剤になるよ」コラムもどき3回目。

今回ご紹介するのは、

イギリスの昔話『ジャックと豆の木』

話の内容はともかく、題名を存じ上げている方は多いと思います。
ジャックという青年がデッカい豆の木に登って、巨人の家に忍び込んで、豆の木から降りてくる話です。

この話、ツッコミどころが多くて終始笑えるんですよ。
やはり「昔話」は純粋に面白い。(ツッコミが止まらなくて)
記憶がおぼろげな方は、ぜひ読んでいただきたい話です!

さて、今回も例にもれず、雑なあらすじを書きます。
しかしながら、「昔話」なので時代によって話の内容が変化したり、登場人物が異なったり、訳の関係でニュアンスが違ったりします。(詳しくはWikipediaを見てね)
日本の「かちかち山」とか内容変わりまくってるじゃないですか、それと同じです。

そのため今回は「青空文庫」(無料で読めるインターネット上の電子図書館)に入っている楠山正雄訳の『ジャックと豆の木』をもとに、あらすじを話させていただきます。
読み飛ばしても構いません。ちょっと長いので。

・・・

昔々、貧しい家族がおりました。父親は亡くなっており、母と息子のジャックの二人暮らしでした。母はジャックをとても甘やかしたので、ジャックは立派なプー太郎に育ちました。とある日、家庭の貧しさ故に、飼っていた牝牛を売ることになります。
ジャックは母に頼まれて牝牛を売りに出かけますが、肉屋の親方に騙されて牝牛とえんどう豆を交換します。これには流石の母親もカンカンに怒り、ジャックがもらってきたえんどう豆を家の庭に投げ捨ててしまいます。翌日、ジャックが目を覚ますと、なんと庭に投げ捨てたえんどう豆が天にまで届くほど高く大きく育っていました。どこまでつづいているのか気になったジャックは豆の木を登ります。登った先には一つの美しい国がありました。
ジャックはその国で一人の妖女と出会います。その妖女が言うには、ジャックの父親を殺した人食い鬼(巨人という訳がメジャーです)が、この国にあるお城のような家に住んでいるらしいのです。
ジャックは上手いこと妖女の口車に乗せられ、父親が殺された際に奪われた家宝を取り返そうと人食い鬼の家に上手いこと忍び込みます。
そして人食い鬼が寝たタイミングを見計らい、一つの家宝を家に持ち帰ることに成功します。
その家宝によってジャックの家は貧乏生活から抜け出します。
味をしめたジャックは再度豆の木を登り、人食い鬼の家に上手く忍び込んで家宝を盗むことに成功します。
ジャックは二度やっても飽き足らず、また豆の木に登り、人食い鬼の家に忍び込んで家宝を盗もうとします。しかし、三度目は人食い鬼に気づかれ、追いかけられてしまいます。
ジャックは必死に豆の木を降り、家にあった斧で豆の木を倒します。豆の木を降りている途中だった人食い鬼は墜落し、死んでしまいます。
ジャックは無事、3つ目の家宝を手に入れることが出来ました。
めでたしめでたし。

・・・


ジャックと豆の木は面白ポイントが多すぎてどれを選ぶか悩むのですが、
今回ご紹介する「個人的」推しポイントはこちらです。

1.母親の教育方針に問題があったと思うよ
2.ジャックは……、馬鹿だ。
3.何か大事なものが欠落している人食い鬼たち

の3つです。

1.母親の教育方針に問題があったと思うよ


『ジャックと豆の木』ではジャックの母親が終始イイ味出してます。ダメ親というヤツです。

もちろん、最愛の夫が人食い鬼に殺されていたら、そりゃあ息子に対して過保護にもなることぐらい理解できます。気持ちもわかります。
母にとってジャックは大切な忘れ形見ですから。
でもさ、

ずいぶんのんきで、ずぼらで、なまけものでしたが、ほんとうは気だてのやさしい子でしたから、母親は、あけてもくれても、ジャック、ジャックといって、それこそ目の中にでも入れてしまいたいくらいにかわいがって、なんにもしごとはさせず、ただ遊ばせておきました。

は流石に無いです。
あなたがもう少し一般常識と言うものをジャックに教えていたなら、ジャックは牝牛とえんどう豆を交換するという愚かな事はしなかったでしょう。
私も大人だからわかってますよ?牝牛とえんどう豆を交換しなければ物語が進まないことぐらい。
でもそれはそれです。
あなたの息子は立派なプー太郎に育っちゃいましたよ。

2.ジャックは……、馬鹿だ。

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昔話なので、展開がわかりやすく予想が立てやすいのは当たり前なのですが、ジャックはいつも予想を裏切らず馬鹿な行動するので途中から愛しくなってきます。
ジャックが豆の木を3回登ることに関しては、
杜子春(第2回目の記事参照してください)の爪の垢を煎じてジャックに飲ませたいぐらいです。

豆の木登り2回目

しばらくすると、ジャックはまた、もういちど空の上のお城に行ってみたくなりました。

豆の木登り3回目

またしばらくの間、ジャックは、うちで、おとなしくしていました。するうち、だんだん、からだじゅう、むずむずして来ました。

足るを知れ!!
ジャック、お前さん1回目で金の卵を産む鳥ゲットしてるでしょう!?
それで貧困からは脱出したでしょう!?一応、家宝は1つ取り返したんですよ?
なぜ自分の身を危険にさらしてまで再度豆の木に登りたいと思いますか?!
(文章の雰囲気的にジャックは別段とお金が欲しいわけではなさそうだし、家宝を取り返したいと強く思っているわけではなさそうなところが……また)
……底抜けにお馬鹿だからそんなことできるわけなんですかね?
ホント愛すべき馬鹿ですね。

でも一方で、「こいつ馬鹿だけど頭ええんちゃう?(矛盾)」と思うシーンもあります。
それは、ジャックは人食い鬼の家に忍び込むために変装するシーンです。
変装したジャックに気づかなかった人食い鬼の嫁の目が悪い可能性もありますが、文章の描写を見るに割と力を入れてジャックは変装していると伺えます。
能力がピーキーである主人公はよく設定としてありますが、秀でた能力が変装のみとはいかがなものか。面白いな。

3.何か大事なものが欠落している人食い鬼たち

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※青空文庫にある『ジャックと豆の木』では、「巨人」が「人食い鬼」と訳されて出てきます。巨人だろうと人食い鬼だろうと話の内容は変わりません。

ジャックは人食い鬼の嫁に「疲れたから泊めてください」と言って毎回人食い鬼の家に忍び込みます。

まず人食い鬼の嫁に言いたいのが、「お前も人食い鬼じゃ無いのか?」ということです。

「いけない、いけない。きのどくだけれど、とめてあげることはできないよ。ここは、人くい鬼のうちだから、みつかると、晩のごはんのかわりに、すぐたべられてしまうからね。」

あなたもそうなんじゃないんですか?
夫と違う種族の鬼なんですかね?気になります。

そして、嫁に言いたいことがもう一つ、
「お前さん、優しすぎないか?」ということです。嫁は人の子(ジャック)を結局家に泊めさせてあげるし、ばれたらひどい目に遭わされるのをわかっていて夫に嘘をつきます。し、実際夫に酷い目に遭わされてます。『ジャックと豆の木』一番の良心です。心が辛い。

一方で、ジャックの父親を殺した人食い鬼(夫)は典型的なDV男です。あ、DV鬼か。
マジでクソ男です。
嫁を家政婦か何かとしか思っていないうえ、自分の力を誇示したい、見せびらかしたいと思っているロクでもない男です。最後に痛い目に遭って、それは良かったと思っています。

まとめ

いかがでしたか?
『ジャックと豆の木』ってこんな話なんです。

他にも色々面白い場面はいっぱいあるんです!
例えば、他力本願すぎる妖女に(やっぱり)まんまと騙されるジャックとか……。

最近暗い話が多いですから、読む物語だけでもクスリと笑えるものにしようと試行錯誤していたら投稿にだいぶ時間が空いてしまいました。

少しでも皆さまの笑顔の助けになれば。
青空文庫で読めますので、ぜひ。
それでは良い夢を。


p.s.
後日談をもし想像するならば、
人食い鬼(夫)は死んだので、その嫁だった心優しい元奥さんが、心優しい他の男の鬼と出会って幸せに過ごしているシーンを想像したい。(ジャックはすでに幸せ野郎なので気にも留めません)





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