20230125-0130

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ポエトリー・ナイトフライトで優勝した。実は二度目。最初は2020年のコロナが流行る前だったと思う。あれで弾みがつき、コトバスラムジャパンの全国大会へも出場できたし、8年前くらいから出演しているイベントで思い入れもあるので、都合がつけば毎回行くようにしている。

この日は朝からポエトリー・リーディングするための詩を書き、完成した瞬間に優勝する予感がした。そのくらい出来が良かった。俺がスラムに勝てる時のテキストの強度だった。タランティーノやゴダールに驚いてほしいくらい引用に満ちていて、俺はもはやこの二人の子どもであると勘違いすらできるほど(ゴダール生まれタランティーノ育ち)に舞い上がっていた。それでも一応、ひとりで軽い読み合わせのようなリハは家でやる。あとイメトレは数十回はした。スラムは場の雰囲気に酷いくらい左右されるから油断はできない。自分のパフォーマンスが良いだけでは勝てないが、それでも勝てるくらいにならなくてはいけないといつも思う。詩で勝ち負けを決めるのだから、詩に恥じないポエトリー・リーディングをするべきだ。

当日は順番決めのくじから何から何まで思うように物事が進み、ポエトリー・リーディングが終わった後はもう優勝を確信してしまい、前祝いにウイスキーを飲んでいた。笑 
そして優勝が決まり、一安心。3月にあるチャンピオントーナメントも負けられない。勝てば賞金で文学フリマ東京遠征(後日、関東でのイベントの出演もお知らせできるはず)の移動費を賄えるかもしれない。今回で出展用の本の印刷費の半分以上は獲得できたから、かなり嬉しい。

ちなみにポエトリー・リーディングは『パスタで巻いた靴』からではない。アンミカ、寺山修司、ゴダール、スーパーマンのペットの犬クリプト、5lack、ブレイディみかこ、エリック・ロメール、ジュール・ヴェルヌ、A・ランボー、ジャン・コクトー、ボードレールが登場するこの日のためのスペシャルな詩。ブレイディみかこを批判的にフックに使うのが効いたと思う(申し訳ないが。笑)。笑いも起きたので、この人の知名度が意外と高いことに驚く。あのベストセラー本のおかげか。読んではないが、タイトルは引用させていただいた。

『イニシェリン島の精霊』は初日に観に行った。ジジイのケンカを対岸の戦争とともに眺めなければならないのは辛い。道化役に徹したバリー・コーガンだけが救いだったがその純粋さも…ああ…
というのがtwitterに書いたこと。
フィルマークスのメモでは、
急に絶縁を突きつけられたところから始まり、回想もないため決定的な瞬間は語られない。俺たちは宙ぶらりんなおっさん二人のしょうもない争いを対岸の戦争と共に外側から眺めなければならないのかと憔悴していたが、指を切り落としたところから困惑して目が離せなくなった。のにも関わらず、古典の道化のような佇まいで現れるバリー・コーガンに気を取られてしまうし(というか途中から彼のせいでケンカなどどうでもよくなってくる)、ふたつの死は誰なんだという謎はケンカしているふたりを暗示させているように思わせるにはユルいなと見ていたら案の定さらに酷いことになる。笑 ラストは『スリー・ビルボード』を観た時と同じような気持ちに。争いは続く。打ち切られた少年漫画みたいだ。打ち切られた少年漫画のような手法をあえてとることで、示唆に富んだ結末にしている。これは映画の魔法だと思う。
と書いた。

生きるのポッドキャスト「生きるのハトバRADIO」に向けて、マルジナリアについてかなり調べていたら、自分もマルジナリアをする癖がついてしまった。これからは簡単に購入できる本にはマルジナリアをしていこうと思う。ただ、マルジナリアをしていくにつれて、大切な本にもするようになっていくのだろう。手放さないのだから。書けばいい。こういう思考になるはず。そうなればもう俺はマルジナリアンかもしれない。


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