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いじめ、LINEトラブル、炎上を予防できる先生のための心理学:理解と対策の全て

心理学は私たちの行動や考え方を理解するための鍵となります。
今回は、教育現場で特に重要な4つの心理学的概念について掘り下げてみたいと思います。
これらの概念を理解することで、生徒たちがより公正で、理解しやすく、思いやりのあるコミュニティを築く手助けとなるでしょう。
なお一部は日本心理学会の「心理学ミュージアム」を参考としています。

LINEトラブルの予防に:透明性錯覚(Transparency Illusion)

透明性錯覚とは、自分の心を相手も読み取れているものだと思う心理現象です。
たとえばLINEといった文字でのコミュニケーションでは、書き手の意図が相手にうまく伝わらず、誤解が生じてトラブルとなることがあります。
生徒指導の際に、書き手も受けても全く意図していないので納得しないまま終わることが多いでしょう。

心理学ミュージアムではと称して、朝の会の5分でできるトントン実験を掲載しています。この実験で生徒は「伝えられない」「伝わらない」を体験することができます。

こうした簡単な実験を通じて、生徒たちは自分の考えや感情をしっかりと表現する重要性を学ぶことができ、伝わると思って書いたLINEなどの文章が、相手には伝わらない可能性があることを極めて具体的に知る事ができます。


クラスの不穏を予防する:公正世界仮説(Just World Hypothesis)

公正世界仮説
「世界は基本的に公正であり、人々は自分の行いに応じて適切な報酬や罰を受ける」
という信念です。

例えば、一生懸命努力をしてテストに挑んだのに点数が伸びなかった生徒は「自分は努力したのになぜ悪い結果になったのか」と感じ、適切な報酬としての成績が反映されないという事実を受け入れがたく感じます。
その結果、試験の「採点が不公平だ」「先生に嫌われているから点が低い」と考えるかもしれません。そこから、教師や他のクラスメートに対する不信感が生まれる原因となります。
また、痴漢といった犯罪に対し、被害者が悪いとする考えもここから来ており、その誤解から被害者をネットなどで攻撃してしまうかもしれません。 

公正世界仮説に良い面もありますが、この仮説を批判的に考え、不公平な状況に対する共感や理解を育む授業が求められます。


「あいつキモい」は自分が原因:投影(Projection)

「投影」とは、自分が持っている望ましくない感情や欲求を、他人が持っているかのように感じる心理メカニズムです。
例えば、自分自身が抱える不安や欠点を他人に帰すことで、自己の心理的な平衡を保とうとします。
つまり「あいつキモい」=(本当は私がキモい)となります。
家族間の「お父さんウザい」はだいたいここから来ていると考えて差し支えないでしょう。
投影によると、他人を批判する人は自分が持っているそれを認めたくないからおきていると考えられます。
投影についての理解を深めることで、生徒が自己認識を高め、他人への理解や寛容を促すことになるでしょう。


確証性バイアス(Confirmation Bias)

確証性バイアスとは、自分の信念や仮説を支持する情報だけを選んで受け入れ、それに反する情報を無視または軽視する傾向です。このバイアスが原因で、人は自分の視点を再考する機会を失い、偏った情報に基づいて意思決定をしてしまうことがあります。

例えば特定のグループが「勉強が苦手」というレッテルを貼られている状況を想定します。
このグループの生徒たちがテストで良い成績を取ったとしても、クラスの他の生徒や場合によっては先生も、彼らの成績向上を単なる偶然や場合によってはカンニングしたのでは?と見なすかもしれません。

このような状況では確証性バイアスが働いて、生徒たちや先生はグループの生徒たちが期待に沿わない行動をしたときだけその情報に注目し、良い成績を取った事実は無視または過小評価しがちです。
その結果、レッテル貼りされた生徒たちは自己効力感を低下させる可能性があり、教室内での学習意欲や自尊心に悪影響を及ぼします。

また、自分で検索した情報だけが正しいと信じ込み、他の意見を受け入れないといった洗脳に近い状態も起こります。
教育においては、多様な情報源から情報を得ることの重要性と、異なる視点を尊重する姿勢を生徒に教える必要があります。

例えば不登校に対する対応として、「叱ることは重要だ」とする書籍が売れているそうですが、例えばアセスメントをしたかが書かれていなかったりで、全ての人に適応できるとは分からないのですががその部分をすっとばして言説だけが一人歩きしていますね。

まとめ

これらの心理学的概念は、生徒たちが自分自身や他人を理解する上で非常に重要です。
これらの概念を授業で取り上げることにより、生徒たちはより良い対人関係を築き、公平で包摂的な学校生活を送るための基礎を学ぶことができます。教室での議論を通じて、これらの心理学的洞察が生徒の日常生活に生きる知識となることでしょう。

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