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国語の先生 

今まで私は何人の「先生」と出会ったきたのだろう。
学校の先生、習い事の先生、病院の先生。
顔も名前も思い出せなくなった人もたくさんいる。

そんな中、先生と聞いて真っ先に頭に思い浮かんだのは中学の国語の先生であった。40代、女性、確か2人の男の子の母親でもあったと思う。

とにかく彼女の授業が魅力的で、引き込まれ、あっという間に時間が流れた。授業に対する熱量が高く、私たちに「伝えたい」という気持ちをストレートにぶつけてくる50分だった。

なんと説明したらいいのか分からないが、ほかの先生とは明らかに違った。先生 対 生徒という向き合い方ではなく、人 対 人というスタンスを取っていたのかもしれない。

話もわかりやすく、私の中にすっと入ってきた。
国語が好きになった。
5教科の中では、毎回国語の点数が一番高く、通知表もいつも5だった。

ある日、彼女は黒板に大きく

「無知は罪」

と書いた。

私はその時、

まだ13歳なのだから知らないことばかりなのは当たり前。これから学んでいくのに、知らないことが罪だなんて、厳し過ぎる。そう思い、初めて彼女の授業を受け入れることが出来なかった。

中学を卒業し、何年も経つが、今でもあの言葉を思い出す瞬間がある。
その度に、言葉の持つ意味を重く受け止めている自分がいる。
13歳の私たちに投げかけてくれた言葉。その時は理解できなかったけれども、いつまでも心に残り、考える機会を与えてくれたことに感謝したい。

「学び続けなさい」

きっと彼女は、私たちにそう伝えてくれたのだと思うから。

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