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何者かになりたい男が作家としてデビューすることになった話③

①: https://note.com/sumeragihiyoko/n/n9f2e26ec8f78 
②: https://note.com/sumeragihiyoko/n/ndf17915616c8

〜前回までの、ひよこの奇妙な冒険!〜

プレッシャー魔神(編集長)から大賞受賞を祝福されたひよこは、担当編集者からまだ大賞候補でしかないということを告げられる。ひよこは大賞認定の条件を探るべく、サルディニア島へと向かった。

ジョジョネタ抜きにしても、サルディニア島(サルデーニャ島)は綺麗な場所なので一度は行ってみたいですね。


そんなこんなで認定試験を兼ねた書籍化作業が始まりました。

大きな作業はふたつ、「設定資料集作成」と「タイトル決め」です。

それに加え、デビューしてからはインプットする時間があまり取れなくなるからと、今のうちに触れるべき作品に触れるようにという課題もありました。

インプットは今でも必死にやっております。

読書だけでなく、映画鑑賞もですね。FF14も王道ファンタジーのストーリーを学ぶにはうってつけですが、やり始めたら他のことが疎かになるほど止まらなくなるのでちょっと控えております(まだ紅蓮編)。

そしてつい先日、おそらく全人類の120%が見ているであろうあの映画を見ました。

もうお分かりですね?

そうです。

『ウィジャ・シャーク/霊界サメ大戦』です。

紛うことなきZ級映画

ネットでは悪霊ザメに対抗するための謎のバリア技「ミスティックシールド」が有名ですが、個人的には占い師がドンキで売ってそうなパーティーグッズで水晶占いしてた場面が好きです。水晶玉くらい用意しろ。
ちなみに続編があるらしいですね。楽しみです。

さて、本題に戻ります。

設定資料集作りですが、超難航しました!
ファンタジーですから、考えないといけないことが多すぎる!

担当編集さんとあれこれ悩んで、何度も何度も書き直しました。
放っておいたらキャラが勝手に動き出すんじゃないかっていう程に作り込みました。

キャラ設定においては、とりあえず5人の主人公の設定を詰めていたのですが、たった5人の設定を完成させるまでの期間はなんと数週間……!
結構煮詰めていたところからそのくらいかかったので、5人どころではないサブキャラの設定を詰めるのに、一体どれくらいかかるのかと戦々恐々としております。ガクブルなりけり。

でも担当さんは僕の作った設定をケレン味があると楽しんでくれたので、全然苦ではなかったです。

なんてです!

楽しくはあったけど苦しくもあったよ!

暗中模索ですからね。探り探りやってましたけど、何が良いのか悪いのかが明確に分からないのが辛かったです。

二人して迷走してる可能性だってあるわけですから。

「作家は創作するとき、まず自身が楽しまなければならない」みたいな言葉をどこかで見ましたが、僕は「楽しくはあったけど苦しくもあったよ」と声を大にして言いたい。

その言葉の受け取り方が間違っていたのかもしれませんが、「こうあるべき」という言葉は話半分に聞いておきましょうね。縛られて身動き取れなくなる前に逃げましょう。逃げてばっかりだと何も始まりませんが、逃げ時というものは必ずあるので。

話を戻して、本題中の本題に入りたいと思います。

前回、大賞受賞の基準として色々な部分を見られていたと書きましたが、おそらくこれが決定的な要素だと個人的に思っていることをお話します。

設定作りやタイトル決めなどの書籍化作業も大きな基準だったと思いますが、それらとは全然別の視点です。

それは「野心」です。

……多分!

書籍化作業のために担当編集さんとリモートで打ち合わせしていたときの、何気ない会話でした。

担「そういえば、すめらぎ先生は作家としての目標とかあります?」

ひ「目標ですか……」

貴志祐介先生のようになりたい、というのは具体性に欠ける。ならどう答えようか。

そうして悩んだ挙げ句、とんでもないことを口走りました。

ひ「『ハルヒ』を超える……ですかね」

担「いいですねえ!」

ひ「やっぱり今のナシで! いくらなんでもおこがましすぎるんで!」

担「いや、凄くグッと来ましたよ!」

正直どうにかしてました。普通の精神状態では恐れ多くて口が裂けても言えませんよ、あんなこと。

「『ハルヒ』を超える自信がある」ということでは決してありません。

『ハルヒ』を超えるくらいの気概で作品作りに取り組みたい」という意味です。

それくらい上を目指していなければ、大賞受賞者に相応しくないと思ったからです。

でももう一度目標聞かれても「『ハルヒ』超え」なんて絶対言わないよ!
そういう意味じゃなくてもおこがましすぎるからね、このチャラけたコメディ書きの分際でよぉ!

ということで、大賞認定されるにあたってスケジュール調整能力やコミュニケーション能力なども見られていましたが、この野心が決定打となったのではないかと勝手に思ってます。

実際、大賞受賞認定の連絡でも僕の野心について触れられてましたから。

できるできないではなく、野心は高く持とう!

ここでひとつ心理学的豆知識。
第一回で書きましたが、僕は大学で心理学を学んでいました。心理学的に言えば、大きな目標を設定して、中継地点となる小目標をいくつか立てた方がモチベーションの維持につながるっていうことをついでにお伝えします!

いきなり遠い目標だけを見据えて努力するのは難しいですからね。

僕も小目標をいくつも立てて、ひとつずつ達成していくつもりです。


そして冒頭でも書きましたが、設定資料集作りの他に「タイトル決め」もやっておりました。

担当さんは『異端少女』を面白いと言ってくれるのですが、あまりにも読まれてないことを嘆いていました。

スニーカー大賞に応募したときの『異端少女』のPVは14000くらいでした。

僕個人としてはPVが5桁に到達したことは偉業と呼べるほどの一大事なのですが、カクヨムトップ層と比べれば「ほぼ読まれていない」と言っても過言ではありません。

トップ層は日間PVが5桁とか普通に行きますからね。日間でですよ、日間。僕が数ヵ月で到達した地点を軽々と飛び越えていきます。すごすぎる……。

担「ものすごく面白いし、感想コメントも熱量がある。でも読者の数が少ないんですよねぇ……」
ひ「まあ、なんとなく……心当たりは……」

考えられる「読まれない理由」は色々ありますが、これが大きいだろうなぁというものがひとつ。

ひ「タイトル、ですかねぇ……」

そう、タイトルです。

表紙イラストがないので、入り口として機能する最大の要素ですよね。

タイトル以外にも読まれるための大きな要素があると思いますが、僕の場合はタイトルだと思いました。

担「やっぱりそうなりますかねぇ。なんというか、『異端少女』は『料理は美味しいのに客がいない料理屋』のような……。一回食べればリピーターになる人が多いのに、店に入るまでのハードルが高い、みたいな」
ひ「魅力が伝わってなかった、っていうことですかね……」

一応、拙作のコンセプトは「ヤバい女の子たちがシリアスな異世界でコミカルに活躍する」です。

特に伝えたい要素はふたつ、「主人公がどんな人物なのか」「コメディ感」です。

ここで拙作のタイトルを見てみましょう。

『異端少女らは異世界にて』

分からん!

なーんも分からん!

うっすら「普通じゃない女の子たちが異世界で何かするんだろうな」ということは分かりますが、それ以外がまったく分からん!

特に重要なコメディ感がまったく伝わらない。逆にシリアスだと思われかねない字面。

そして改めてタイトルを見てみると、印象が薄い……。
パワーワードとかもないですしね……。

そんなだからWikipediaのスニーカー大賞受賞作一覧で『異端少女は異世界にて』なんて誤表記されるんだよ!

「ら抜き言葉」ならぬ「ら抜きタイトル」だよ!

担「書籍化されれば表紙イラストがつきますし、一般的に『ラノベは表紙が重要』って言われてますけど、それでもタイトルとキャッチコピーが重要なのは間違いないです」
ひ「分かりました、タイトルとキャッチコピーも死に物狂いで考えまっす!」
担「一緒に頑張りましょう!」

そうして始動したタイトルとキャッチコピー決め計画。
かなり大きな作業です。
今後それが作品の看板になるんですからね、踏み間違えることは許されません。

まず「主人公がどんな人物なのか」を考えていきたい。

『異端少女』の主人公は5人。全員イロモノ。

ホムラ:発火能力者、小さい子供が好き(婉曲表現)
サイコ:マッドサイエンティスト、眼鏡、頭のいいアホ
ジン :暗殺者、刀使い
プロト:メイドロボに改造された地球外機械生命体
ツツミ:生体兵器、マスコット枠

改めて並べてみるとヤバいな……。

主人公はこの5人なんですが、一番メインを張るのは「ホムラ」です。
……なんですが、ホムラの活躍が少なすぎて「誰をメインに据えたいのか分からない」という感想が選考委員や読者から来てまして……、このままではいかんなぁと。

本作はホムラが理不尽に対して抗い、自分の居場所を作っていく物語です。

なので、ここは思い切ってタイトルもホムラオンリーにしようと決意!

それからはキャラ設定を煮詰めつつ、それをもとに作品の魅力をいかに伝えるかを考える日々が続きました。
書店を巡ってラノベや一般文芸問わず、目を引くタイトルを記録したり、良さげな漢字を探して中国の熟語まで行きついたり、語呂の良さを追求するために詩の形式を調べたり……。

めっちゃ忙しい!

『エルデンリング』買う余裕がない! エルデの王になりたい!

美人キャラ作ってガッチガチの重鎧着せて特大武器振り回したい!

でもここで気を抜くことは出来ないので、踏ん張りに踏ん張った!

そして!

なんと!!

『異端少女らは異世界にて』の新タイトルは——―――!!!

まだ決まってない!!!!

あともうちょっとで決まりそうなんですけどね。

ああでもないこうでもない、これはどうだそれはちょっと……、と編集さんと二人で何度も何度も意見を出し合って今もずっと考えてます。それだけ重要ですからね、タイトル。

「もしかして迷走してるのでは?」と心が折れそうですが、お互い励まし合って頑張っております。

書籍化するということはこういうことなんだな、ということを痛感する日々でございますよ。

引き続き良い作品を作り上げるために精進していきます!

というわけで、今回はこのくらいで!


次回:未定!!!
4月30日更新の予定でしたが、書籍化作業が忙しくなってきたので無理そうです!

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