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「自立」って何なのだろう?

障害福祉の分野ではしばしば、「障害のある方の自立を支援する」などと言った言葉を使うことがあります。

皆さんは「自立」という言葉を聞いて、どんな解釈を持っているでしょうか?

「人の助けを借りずに自分のことは自分で全てやる」
それが自立だと言う人もいます。

「親元から離れて、暮らすこと」
それが自立という人もいます。

「仕事をして、自分の収入で生活すること」
それが自立だと言う人もいます。

ちなみに、わたしが30数年生きてきて、個人的に思っている「自立」は、
『家族と一定の距離をとっていても、人や社会のあらゆるものの力を駆使して生活が成り立っている』
これで、十分自立と言って良いと思っています。

わたしは、1人では自分の生活は成り立っていないことを十分、痛感しているので、何でも自分でできないといけないという執着は、20代の頃を比べて圧倒的に無くなりました。

利用者さんを支援させていただく過程で、わたしが葛藤しつつも大切にしたいのは「自立」という定義の擦り合わせです。
わたしたちを使ってくれる利用者さんの中には、何でもかんでも自分でできないといけない、と考え過ぎてしまっていると感じる人もいます。

背景として、病院や福祉サービスを受ける立場に立たされたり、世の中の同年代ととの境遇を比較して、そのような気持ちに至る想いも、想像できる部分もあります。
でも、彼らが思っている程、支援者であるわたしたちも果たして自立しているのかと言うと…ぶっちゃけ、全然そんなことないと思います。

なので、わたし個人のぶっちゃけのところを話すと、びっくりしてくれる利用者さんもいたりします。わたしもびっくりします。
「どんだけ、良い感じで見てくれているんだろう…」と。

もちろん、『自分のことは自分でやるんだ』という気持ちは、歩み出すための原動力ですから、必須だと思っています。

利用者さんに、「自分は人の力を借りないと何もできないのか..」とネガティブな気持ちにさせてしまうような関わりをしたくないと思っています。
ですが、そのような思いをさせてしまっていることも、実際はあるかもしれないと自覚しています。

だからこそ、わたしたちは葛藤をします。
葛藤できていることはいいことだと思っています。
この葛藤が薄まってきた時は、とても危険なサインだと思っています。

相手の人を尊厳のある1人の人ではなく、支援の対象としてしか見なくなってしまっている可能性がある

と思うからです。

それは傲慢だと本当に思います。

わたしは、私自身も社会の人や制度、仕組みに生かされている。
そんな感覚をいつもありありと思いながら、目の前の人と接することができるソーシャルワーカーでありたいです。

最近、この擦り合わせをするコミュニケーションに失敗した利用者さんがいました。同僚たちに自分の非力さも曝け出して、その利用者さんの目標のために一緒にアプローチして欲しいと頼みました。幸い、わたしの事業所は1人職場ではなく少人数ではありますがチームでサービスを提供する職場です。

わたしと違った性別や年齢の職員が揃っています。
その関わりがあって、一歩行動できた利用者さん。
そして、その行動からわかったご自身の新しいことをする際の緊張感。

「次は一緒に行って欲しい」
と、言ってくれました。

これまでは、「自分でやる」と言われていたものの、毎月の振り返りでは「やらなかった。来月やる。」と。

気づけばそれで数か月経過していました。
一緒に行くことも提案しましたが、「いいえ、自分でやります」としか返ってきませんでした。

私個人では、言えば自立した支援はしてません。
チームであればこんな新しい気づきを人に提供するきっかけをわたしがデザインできる可能性がある。。

「自立」と「依存」の対比後のように使われることがあります。
わたしも時に混同することはあります。
しかし、わたしたちは少なからず、世の中の色々なものに依存しています。

わたしは、

  • 野菜などをつくる力もありませんし、育てる時間もありません。

  • 居所を自力でつくることもできません。

  • 1人では収入を得ることもできません。

  • 1人では怖くて、この福祉の仕事も、やることはできないでしょう苦笑

依存してばかりですが、一般的には「自立している」と見られるのだと思います。


人によって自立の定義は違うかもしれませんが、何にも依存せずにやれている人はいないということ。このことを理解ではなくて、「そうだよなー」と実感を持って過ごせていると、もしかしたら少しは生きやすくなるかもしれないですね。

まとまりませんでしたが、本日は「自立って何だろう?」と言うテーマで少し文章にしてみました。

これからも利用者さんとの対話を通じながら、その方が「自立」に対して大事にしたいことは大事にしつつ、良い意味で肩の力を抜いて取り組んでもらえるように
、世界を広がるような支援者で荒れるように、自分自身も世界を広げて考えていきます。



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