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海外自転車旅。今度はカナダ!

海外旅行先としてメジャーなカナダ。
カナダの観光スポットは行きつくしたというあなたに、今回ご紹介するのは自転車でめぐるカナダの旅。
「何日かかるの?」
「女性でも大丈夫?」
この記事は、そんなあなたに向けて書いています。

私自身は最近はまだ小さい子どもと一緒に近所をママチャリで走りまわる程度ですが、その昔、2か月半かけてカナダ横断にチャレンジしたことがあります。
そう、カナダには大陸横断自転車ツアーがあるんです。
私が過去に参加したいくつかの自転車ツアーを紹介するこのシリーズ。
今回は、バンクーバーを出発し、ロッキー山脈を超え、大西洋を目指す、カナダの自転車ツアーの紹介です。
でも、何でもサポートしてもらええて女性も安心、と安易に参加するのは危険。
この記事で情報収集をしっかりしましょう。
「挑戦してみようかな」
そんな気持ちになってもらえたらうれしいです。

全長約7550キロ! 北米で一番長い自転車ツアーに挑戦!

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出典元:http://tourducanada.com/

自転車が盛んな欧米では、大小さまざまな自転車ツアーが存在します。
今回は北米にスポットを当て、創立33年を誇るカナダ横断ツアー、Tour du Canadaを紹介します。

全行程72日間のTour du Canada

期間:2020年6月24日から2020年9月4日
料金:$ 6078.54 (カナダ  1$=約73円 2020.8.4現在)
(飛行機代は含まれません。念のため)
オフィシャルサイト:http://tourducanada.com/

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走行距離7550km、トータル72日間の旅。

ルートは、上の図の赤線で示されている、日本でいうところの「国道1号」を西のバンクーバーから東の端、セントジョーンズ島まで進みます。

大学生なら夏休みをフルに使って参加できそうな時期。
私は運よく理解ある職場だったので、一旦休職して全行程をチャレンジできました。
「ふつう、社会人はそんなに長い休みはとれないよ」というあなた。
7日から10日ほどの期間で部分参加できるコースもあるんです。
無理せず何年かかけてコンプリートする、というのも全然アリですよ。

毎日の走行距離は120km! 悪天候でも構わず走行!

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結論から言うと、Tour du Canadaは「まぁまぁきつい」、です(個人の感想です)。
さっそく見てみましょう。

●スタートはバンクーバー、ブリティッシュコロンビア大学

バンクーバーの最西端に位置するブリティッシュコロンビア大学。
ここがスタート地点です。
参加者は、夏休み期間でもぬけのカラ状態の大学の学生寮に前泊して、スタートの準備をします。
もちろん寮に残ってる学生もわずかにいて、一見誰が自転車ツアーのメンバーかわからない状態。
オリエンテーションの時以外は自由に過ごしてて良いので、思いがけず留学生気分を味わってしまいました。

さてカナダのほんとの最西端は、バンクーバーの対岸にある「バンクーバー島」。
バンクーバー島には、有名な「マイルゼロ」の碑があります。
メンバーの中には自費でわざわざバンクーバー島からスタートし、大学でツアーに合流するというツワモノも。

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出典元:https://www.tour.ne.jp/w_review/YYJ/sightseeing/spot/1322368/

●毎日の走行距離はだいたい120km

ツアー初日やきついコースの日は100km以下のこともありますが、平均したら毎日だいたい120kmです。
朝8時くらいにスタートして、早ければ午後2時くらいにはゴールする感じです。
毎日、走行距離の半分くらいの地点でサポートのトラックがランチキットを広げてメンバーを待ってます。

ちなみにメンバーは集団でまとまって走るわけではありません。
それぞれのペースで走るので、屈強な男性はどんどんぐんぐん行ってしまいますし、女性やご老人はゆっくりマイペース。
私は気に入った景色を見つけるたびに停止、写真を撮るというマイペースさだったので、気づけば前後見渡しても自分しかいない、なんてことはしょっちゅうでした。

●きついコースは最初だけ

Tour du Canadaが最もきついのは、最初の1週間でしょう。
走って3日目にはもう、ロッキー山脈地帯に突入です。
幸い道路はしっかり舗装されてて走りやすいんですが、とにかく上り坂ばっかり。
でも、登ればどこも、雄大な景色が広がる観光スポットだらけで、頑張る甲斐はアリアリです。

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出典元:http://tourducanada.com/

ロッキー山脈を過ぎてしまえば、後はずっと平たんな地形が続きます。
五大湖があるオンタリオ州に入ると、また山あり谷ありの地形になり、ちょっときつい。
でもあなたは既にロッキーを超えてるんです、全然問題ないはず。

●ロードバイクで参加がお勧め

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出典元 https://www.amazon.co.jp/PANTHER-%E3%83%91%E3%83%B3%E3%82%B5%E3%83%BC-STI%E3%83%87%E3%83%A5%E3%82%A2%E3%83%AB%E3%82%B3%E3%83%B3%E3%83%88%E3%83%AD%E3%83%BC%E3%83%AB-%E8%B6%85%E8%BB%BD%E9%87%8F%E7%95%B0%E5%9E%8B%E3%82%A2%E3%83%AB%E3%83%9F%E3%83%95%E3%83%AC%E3%83%BC%E3%83%A0-%E5%89%8D%E5%BE%8C%E3%82%AF%E3%82%A4%E3%83%83%E3%82%AF%E3%83%AA%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%82%B9%E6%90%AD%E8%BC%89/dp/B088DTTHHR/ref=sr_1_4?__mk_ja_JP=%E3%82%AB%E3%82%BF%E3%82%AB%E3%83%8A&dchild=1&keywords=%E3%83%AD%E3%83%BC%E3%83%89%E3%83%90%E3%82%A4%E3%82%AF&qid=1594966176&s=sports&sr=1-4

カナダはどこも舗装がしっかりしています。
都市以外は信号もないですし、ロードバイクをお持ちなら好きなだけかっ飛ばせます。

●夜は連日キャンプ泊 ときどき大学の学生寮

カナダはアウトドア大国でもあるのであちこちにしっかりしたキャンプ場があります。
スマホやデジカメ、パソコンの充電も問題ナシです。
また、wifiが整備されているキャンプ場もあります。
SNSを利用している方は割とタイムリーに記事をアップできますね。

そして毎晩シャワーが浴びられるありがたさ。
キャンプ場によってはプールがあったり、湖や川が近くにあったりするので、自転車走行で疲れた身体を存分にリフレッシュできるでしょう。

しかし連日テントで寝袋では、取れない疲れがじわじわたまっていきます。
でも、バンクーバーとトロントでは、地元の大学の学生寮に宿泊する機会がありました。
久々のベッドでの就寝。
やはり一番のリフレッシュは、ちゃんとしたベッドで寝ることかも。

●自転車・テント・寝袋は必須

Tour du Canadaでは自転車やテントのレンタルはありません。
テントや寝袋など大物は、カナダで買って、終わったら処分するのがおすすめです。
と、いうのも、国際線のエコノミークラスは、どの便でもだいたい、積み込める荷物の重量が20~23キロ。
自転車だけでも15キロ前後あるでしょうし、持っていけるものがだいぶ限られるでしょう。

●ハリケーン上陸でも構わず走行! 

海外の自転車ツアーのつらいとこ。
どんなに天候が悪くてもスケジュール通り走らされる、という点でしょう。
Tour du Canadaに私が参加した当時、カルガリー付近でハリケーン直撃の日がありました。
が、中止にならず。

その日の走行予定距離は、忘れもしない、144キロ。
前夜ラジオでさんざん「ハリケーンにより明日は風速16マイル、大雨、ところによって雷」と言っていたにも関わらず、お構いなしに出発進行。
なお、風速16マイルとはだいたい26mのことで、「何かにつかまっていないと立っていられない」状態です。(参考https://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/yougo_hp/kazehyo.pdf)

カルガリー近郊の「国道一号線」周辺は、360度見渡す限り、地平線の果てまでただただ広がる牧草地。
遮るものは何もなし、暴風雨はもろに私に直撃。
巻き上げられて路面にたたきつけられたと思しきたくさんのミミズがまるで唐草模様のようだったのが印象的。

せめて追い風だったらよかったのに、運悪く向かい風。
最初こそは頑張りましたが、30キロ地点でさらに風雨が強まりついに断念。
もう、前のめりの姿勢で立ってることしかできませんでした。
で、そんなときはどんな手厚いサポートを受けられるかというと、実は全然ありません。
結局、後から追いついてきた他のメンバーとともに、自転車を押して歩きながら自力でヒッチハイクさせてくれる車を探しました。

しかし悪天候で車なんかほとんど走ってない上、たまに通過しても、2人と自転車2台とを載せてくれる大型の車はなかなか現れず。
最終的にトラックが現れてヒッチハイクに成功するまで、なんと3時間以上かかりました。
なお、その日自力で完走できたのは全参加者のうち1/3、10名ほどでした。

私は海外の自転車ツアーには4つ参加してますが、基本、悪天候で立ち往生しても、サポートなしです。
仮に「もうムリ」と携帯でSOSを出したとしても、「あなたを迎えに行くため引き返すにしても、数時間はかかる。できたら自分で何とかしてくれ」と渋られるでしょう。
でも、天気が良い日は本当にどこを見ても雄大な大自然。

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危険もあったけど、そんなの忘れちゃうくらいに素晴らしい思い出もいっぱい。
これ以上ないくらいの「THE 冒険」。
いろんなできごとが、あなたをきっと強くするでしょう。

治安は良いほう でも油断は禁物! 私の体験談

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日本でも上映され、アメリカの銃社会を皮肉ったマイケル・ムーア監督の『ボーリング・フォー・コロンバイン』。
映画では、隣国のアメリカと同じ銃社会なのに、カナダがいかに治安が良いかが描かれています。

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出典元:https://michaelmoore.com/movies/bowling-for-columbine/

とはいえ、日本並みの治安のよさは期待しないように。
私も一度だけ、危険な目にあいました。

最後にその話を1つ。
とある田舎のキャンプ場でのこと。
キャンプ場には他にもたくさんのお客がいて、BBQや、お酒を片手に談笑したりめいめい楽しんでいました。
私が他のメンバー20名くらいと連れ立って、沈む夕日をながめ、テントに戻る途中、
アジア系の太った男たちのグループの近くを通りがかりました。

彼らもビール片手に盛り上がってたんですが、通りすがる私たちのグループを見て、私を見つけると、なぜかいきなり私の手を引っ張ったのです。
「おい、お前は俺たちと同じで白人じゃない。なんでそんな集団にいるんだ」
彼らは4人とも大柄で、腕は丸太のように太く、私は力任せに彼らのグループに引きずられて行ってしまったのです。
ツアーのメンバーたちは、苦笑いだけ残して去ってしまい、誰一人助けてくれません。

大声で「助けて」とでも叫べばまた違ったかもしれません。
が、下手に彼らを刺激するほうが恐ろしい結果になりそうで、私はしばらく彼らのグループに参加して調子を合わせるふりをして、頃合いを見て抜け出そうと思ったのです。

しかしなかなか放してもらえず、そのうち
「よーし、これから車で街にくり出すぞ。もちろんお前も一緒だ」
(飲酒運転かい! 街ってどこだよ! マズイ、本当に連れてかれたら、多分絶対生きて帰ってこられない!)
「街には一緒に行けない」「早朝早く出発するからもう帰りたい」とどんなに伝えても、「いや、連れていく」と頑固に言い張る4人。

運よく、彼らのグループに一人だけ、十代くらいの少女がいました。
4人と比べると不釣り合いに若くて小さく、しかも大人しかったので、私は最初、彼女がいることにすら気づきませんでした。
見かねた彼女がすごい時間をかけて4人を説得してくれ、ついに私はテントに帰ることができたのでした。

しかし4人は、ついてこなかった私にムカついたようです。
真夜中、私たちのテントが密集しているところに何台もの車でのりつけてきて、私の名前をさけびながらしばらく車の爆音を轟かせまくったのです。
本当に怖かった。
テントを1つ1つ家探ししてるような物音も聞こえ、そのうち他のメンバーに怒鳴られてやっと去って行きました。

まとめ

さて、最後にちょっと怖い話をしてしまいましたね。
それでもTour du Canadaは私にとって一番思い出でいっぱいの自転車ツアーです。
●全長約7550キロ! 北米で一番長い自転車ツアーに挑戦!
Tour du Canadaの公式サイトと、日程や費用について紹介しました。
●毎日の走行距離は120キロ! 悪天候でも構わず走行!
Tour du Canadaの詳細を紹介しました。
・スタートはバンクーバー、ブリティッシュコロンビア大学
・毎日の走行距離はだいたい120km
・きついコースは最初だけ
・ロードバイクで参加がおすすめ
・夜は連日キャンプ泊 ときどき大学の学生寮
・自転車・テント・寝袋は必須
・ハリケーン上陸でも構わず走行!
●治安は良い方 でも油断は禁物!

隣国アメリカとくらべたら治安はだいぶ良いですが、油断はできません。
例として私が大柄の男性4人組にさらわれそうになったエピソードを紹介しました。

自転車ツアーは、毎日が発見と冒険の連続です。
これぞ非日常。
ここまで読んでくださりありがとうございました。
では、また、いつか。

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