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【小説】アルカナの守り人(7) フウタ

「…フウタさん?」

 「うん?」

 「…鍵は見つかりそうですか?」

 「…。」

 フウタは、もう一度、ゆっくりと部屋を見渡した。そして、やっぱりな…と確信する。

 「ヒカリ。この部屋に鍵はないよ。」
 
 近くにあった頑丈そうな箱に腰掛けながら、フウタはヒカリの目を真っ直ぐに見つめて言った。

 「そろそろ、お前の…本当の依頼を聞かせてくれないかな。」

 「…!」

 やっぱり、気づいていたのね。

 ヒカリは自嘲気味にふっと笑った。
 確かに、この依頼は口実であり、本当の依頼は別にあった。できれば、あの探偵事務所で正直に言いたかった。でも、とても信じてもらえる気がしなかった。嘘は苦手だし。だからこそ、正確とは言えないものの、限りなく真実に近い口実を探した。どうしても、フウタにこの家に来てもらう必要があったのだ。
いつから、分かったの?なんて聞くのは野暮かもしれない。途中から、ヒカリも緊張のあまり、挙動がおかしくなっていたのだから。

 さて、ここからが本番。どこから説明するべきかしら…。

 ヒカリは、少し思案するように、小首を傾げた。




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