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【小説】アルカナの守り人(10) ヒカリ

 フウタはヒカリの後を大人しくついていく。ヒカリは先ほど通ってきた廊下を引き返すように歩き、螺旋階段を上がってすぐにあった、一つ目の部屋の前で止まった。ヒカリは扉を開け、フウタに先に部屋に入るように促す。

 薄暗い部屋の、奥の窓から光が差し込んでいる。そのすぐ下には、ベットがあり、誰かが寝てるように見える。フウタはまっすぐそこに進んでいった。
 
 なんだいったい。ここの部屋に、本当の依頼のヒントでもあるのか? 
 フウタは考える。

 ベットの側までくると、状況がはっきりと確認できた。ベットに横たわっているのは、小さな男の子だ。小刻みに震えている。暖かそうなブランケットがかけてあるが寒いのだろうか。よく見ると、顔色もかなり悪い。まるで、冬の空のような…。。
 そこまできて、フウタはハッとし、一歩後ろに下がる。これは、例の奇病じゃないか!どういうことだ? 思わず、もう一歩下がろうとしたフウタの背後からヒカリの声が届く。

 「…大丈夫よ。あなたに移ったりはしないから。」

 ヒカリは、そっとベッドの方に近づく。そして、ゆっくりと跪くと、男の子の額にかかった乱れた前髪を軽く払う。

 「この子が弟のヨウよ。」

 ヒカリは少し微笑みながらフウタに告げた。
 
…弟?
この子がさっき話していたヨウか。

うん? でも…。

 フウタは先程、ヒカリから聞いたばかりの話を思い出していた。確か、アルカナの能力とか言ったか。ヒカリの弟は太陽のアルカナ能力の継承者だと言ったはずだ。そして、人類を奇病から守るのが使命だと。

 「その通りよ。ヨウは太陽のアルカナ能力の継承者。そして、人類と太陽を繋ぐのが使命…。それは間違いないわ。」
 

 ヒカリの話は続く。




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