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【小説】アルカナの守り人(14) ヒカリ

 「え? これだけ?」

 「そう。」

 「えっと…、どういう意味?」

 「自由と希望が、喜びをもたらす…って感じ…。」

 「自由と希望。喜び…? え、本当にこれがヒントなのか?」

 「…だと、私は思ったの。」

 そして、ヒカリは早口で捲し立てた。

 「私は、ヒントだと思ったの。混乱して、どうしていいか分からなかった時、このページを見つけた。それで、これだけが頼りだと思ったの。とにかく「自由」と関係する場所や名のつく記念碑には行ったわ。希望という名の人にも会いに行った。結局は…空振りだったけど。」

 うーん。なるほど、自由と希望ねぇ。

 自由…。 うん? 
 あれ…、もしかして?
 
「もしかして、俺に会いに来たのって…。」

 そこまで言っただけで、ヒカリはこくんと頷いた。
 若干、顔が赤みを帯びている。

「…一人で探すことに限界を感じてたの。あの日もやっぱり、何の収穫も得られなくて、途方に暮れていたわ。どうしたらいいのか、悶々と考えながら街を彷徨い歩いていた。その時、あなたの探偵事務所の看板が目に飛び込んできた。『Liber』って言葉を見た瞬間、ここだ!と思ったの。運命を感じたのよ。」

 なるほど…、確かに『Liber』は自由って意味だからなぁ。そういうことだったのね。って、ことは…。

「…探し物が得意、云々も、看板を見てってことかぁ。」

 フウタは、外看板に『探し物ならなんでもお任せ』という文言を入れていたことを思い出していた。
 いやいや、いじけているワケじゃないよ。わざわざ遠方から、俺の噂を聞いて来てくれたんだ!とか思って喜んでいた…とかでは断じてないと言っておこう。
 
 ヒカリは、フウタの意気消沈を感じ取ったのか、

「ご、ごめんなさい…。」
 と、消え入りそうな声で言った。

 いや、大丈夫。大丈夫なんだ。すぐに復活するのが、俺の良いところ。
 でも、今は、三分待ってくれ。
 フウタは、気分を変えようと、ヒカリに質問する。



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