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#109新聞記事を探すのは難しい。

 前回は、出版物について触れましたので、関連して今回は新聞記事についてのお話を述べてみたいと思います。
 以前に紹介した「石造物はどこへ―身近な史跡、文化財の楽しみ方(15)―」の回に関連してのお話です。

 「石造物はどこへ―身近な史跡、文化財の楽しみ方(15)―」でも紹介しました記事は、「京都新聞」で「校庭地中から戦前の石碑」という見出しで、京都市東山区にあった元・新道小学校の跡地がホテル建設に伴い解体工事を行っており、その工事の機会に校庭に埋めたタイムカプセルをさがすことをしていた卒業生らが、偶然にも戦前の石碑が校庭に埋没していたのを発見した、という内容のものでした(2022年5月21日付24面、市民版)。
 この情報をWEB上で見つけたのですが、有料記事だったため、全文が読めず、随分掲載から時間も経過していたこともあり、販売店で入手も出来ないため、図書館でコピーしようと思い立ちました。
 著者は最初、自宅の最寄りの公立図書館へ行き、「京都新聞」の当該日の紙面を探しました。が、見当たらない。著者は京都市内ではなく、昔でいうところの「郡部」に住んでいるので、その公立図書館には京都市内の地域版は収蔵されていなかったために、同じ日付の紙面でも、目的の記事が掲載されていなかったのです。
 仕方なく、国立国会図書館ならどんな版でもあるだろう、と思い、国立国会図書館関西館へ足を運びました。で、目的の日付の紙面を出してもらったのですが、これにも掲載されていない…。地域面の肩の部分を見ると「山城版」の文字が。確かに国立国会図書館関西館は京都市内には所在していませんが、何でもあるのが国会図書館だろう!(わがまま)と思い、カウンターで詳細をうかがってみると、関西館には「山城版」しか納められていません、ということでした。
 ではどこで探せばいいのか。京都新聞デジタルでは記事は冒頭1行ほどしか読めませんが、一応、東山区の出来事だということは判りました。デジタル版のタグ付けには「市内」の文字が。時間を見つけて京都府立図書館のマルチメディア閲覧室には新聞の原紙があることをうかがい、訪ねてみました。もしかすると、東山区の出来事なので、東山区にある図書館にしか納品されていないのでは、という一抹の不安を感じながら…。で、マルチメディア閲覧室に行くと、ありました。「京都新聞」の2022年5月21日付24面、市民版に。やっと目的の記事が閲覧出来ました。
 このように、近隣の出来事であっても、その新聞の何版に掲載されているかについては、各新聞のデジタル版にはあまり情報がありません。史跡や文化財に関する情報をWEB上で入手することは容易なのですが、いざ原紙、原本に当たろうとすると途端に障壁が高くなります。最近はどの新聞社も本紙の売り上げが減少しており、出来ればデジタル版でマネタイズできればと、各社こぞってその方向へ舵を切っています。そのため、これまで全国的に情報をある程度集めることが出来たものが、近年デジタル版のマネタイズが進むことによって、WEB上での新聞記事情報が集め辛くなっています。もちろん課金すれば情報は入手出来ます。とはいえ、全国のさまざまな新聞に課金できるほどの余裕はありません。完全に著者のわがままだと判っていますが、出来れば、どの新聞社もある程度は無料の会員登録である程度の記事の閲覧をさせていただきたいものです…。そうでなければ、せめてどこの何版に掲載されているのか、もっときちんと明示してもらえないでしょうかね。

いただいたサポートは、史料調査、資料の収集に充てて、論文執筆などの形で出来るだけ皆さんへ還元していきたいと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。