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エンジニアに刺さる情報発信のコツを徹底解説ver1

お久しぶりです。ポペヌです。
とうとう「エンジニア向けの採用広報について」というお題について解説をさせていただくわけですが、正直難しいからやりたくないという本音があり避けていた部分でもあります。

なぜかというとエンジニア向けの採用広報で代表的なテックブログは一昔前はやることの優位性があったのですが、今は【ないよりはあった方が良い】レベルまで普及してしまっており、一概に成功パターンを決めつけることができないからです。

また、テックブログなどはエンジニアに伝わればいいということもあり、技術が分からない人に伝えることが難しいからでもあります。
今回は人事からエンジニアにお願いする際に「こういう風に考えてお願いすればいいのか」を目標に前後編「種まき編」「刈り取り編」の2部作で解説をしていきたいと思います。

【このシリーズを読んでほしい人!】
・作用広報のコンテンツに悩んでいる人事さん
・採用広報の手法をしりたい人事さん
・人事から投げやりで広報を任されて困っているエンジニアさん

1.採用広報の手法

まずは今現在どのような採用広報の手法があるかを見ていきましょう。

採用広報の基本的な考え方や拡散方法はゆいさんがまとめている記事が非常にためになるので、そちらを拝見ください。

少しマーケティングの話になりますが、広報の手段は3つに分類されます。

オウンドメディア
ペイドメディア
アーンドメディア

キーワードファインダーより

オウンドメディア

最近耳にする機会が増えたと思いますが、自社が所有して管理しているメディアのことを指す言葉です。

チャネルの例としては
・自社HP
・採用HP
・自社ブログ
・テックブログ
・自社のSNS(Twitter・Facebook・noteなど)
・メールマガジン

などが含まれます。
特徴としては認知されるまでに時間がかかることですが、一定ファンを囲うことができれば効果は絶大です。

・メリット
管理・運営の自由度が高い
SEO対策とかもできる、しやすい
長期的な運用がしやすい
長期的に見ると費用対効果が高い

・デメリット
認知拡大に時間がかかる
客観性のない宣伝と捉えられる可能性がある

というように、すぐに効果は出ないが長期的に育てていこう!というメディアです。

ペイドメディア

他社と共有するチャネルのことを指します。イメージですと「広告スペースを借りる」ようなメディアだと思ってください。

チャネル例
・web広告
・wantedlyなどの採用メディア
・採用媒体(リクナビ・マイナビなど)

特徴ですが、対象の方々へ一定の認知は期待できるが、周りも同じ内容を掲載しているケースが多いため埋もれるケースもあるということ。

・メリット
他社メディアの視聴者や読者の目に触れるので新規開拓に向いている
即効性がある
話題作りにしやすい

・デメリット
コストがかかることが多い
長期的運用に向いていないことが多い
コンテンツや内容に制限がかかることがある

内容をしっかりと検討することで一時的な効果を期待できるため新規獲得に向いていることが分かります。

アーンドメディア

第三者のメディアに取り上げて貰うことだとお考え下さい。

例えば就職人気企業ランキングや学生のSNSなど、第三者の企業や個人が主体として運営しているメディアに取り上げていただくことです。

チャネル例
・新聞
・人材系企業のメディア
・まとめサイト
・個人のSNS

第三者が主体という事で、自社で管理することが難しいですが、オウンドメディアやペイドメディアの内容次第でバズるアーンドメディアを生み出すことは可能です。

・メリット
客観的な情報として信頼性が高くなる
自動的な拡散が見込める

・デメリット
自社で管理しにくい
効果予測ができない

第三者が拡散したくなる・取り上げたくなる情報を上手にオウンドメディア・ペイドメディアで提供していくことで爆発的な効果を生む可能性を秘めているメディアです。

このように媒体ごとの特徴よりもメディアの分類特徴を理解して広報戦略を練ることが大事であり、どれか一つに注力することではなく、バランスを見極めて展開していくことをしましょう。

このあたりは社内の広報やマーケティング担当の本職の方に相談しながら考えていくことをお勧めします。


2.種まきの考え方

先のメディアの分類から採用したいエンジニアの方達にどう感じさせて選考へ導くかを考えないといけません。

例えばアーンドメディアに属する会社の人間ではない個人のSNSで拡散をしていただき、「〇〇さんが拡散しているから見てみよ!」を想定するのか。

オウンドメディアに力を入れて「この会社の△△についての技術ブログをいつも参考にしているけどどういう会社なんだろうか?」と感じてもらいたいのか。

会社の強味やブランディングによってどこに注力するか変わってきますが、基本的に3つとも力を入れて育てることは必要になります。

バレーボールでレシーブ・トスがちゃんとして始めていいアタックができるように、採用広報も入口からの流れをしっかりと想定しないと上手く情報が連携せず選考参加や内定承諾まで繋がらなくなってしまいます。

ですが、アーンドメディアなどは、ファンを増やさないと拡散してくださる方に届きません。そもそもオウンドメディアかペイドメディアがないと社員も拡散しにくいです。ペイドメディアは資金が必要になることが多く気軽にチャレンジできないこともあるため、次の章でエンジニア向けのオウンドメディアで記事の内容の考え方をまとめていきます。


3.エンジニア向けの記事の内容

採用広報の前提をおさらいしたところで、オウンドメディアの内容について考えていきたいと思いますが、企業の事業内容によって取り上げることができる内容とそうでない内容があるため、今回は受託開発(SES含む)と自社開発でざっくりと分けさせていただきます。

受託開発ではオウンドメディアの内容、自社開発では人事側から記事作成をお願いする際に使える内容を記載をしたいと思います。

受託開発編

まずは受託開発をメインでされている企業についてです。
事業柄やっている仕事内容を詳細に取り上げることが難しく、技術的要素を出しにくいと考えている人事の方は多いのではないかと思います。

ですが、考え方次第で採用だけでなく事業を発展させることができる可能性があります。
その内容は事業の強みや伸ばしたい方向性に特化したオウンドメディアを立ち上げていくことです。

以前エンジニアの分布図にも記載をしましたが、

他社のエンジニアが参考にするメディアを作ることがとても有用という事です。
基本的にエンジニア業務では調べる業務が多く、そこで重宝されるサイトにはエンジニアが集まり、良い宣伝になるということです。

事例としてすごい人事の横山さんから情報提供いただいており、
クラスメソッド社のスキームが素晴らしいので、ご紹介をさせていただきます。

サービスとしてはAWSの導入構築運用支援をメインにされている会社で、
お世辞にも差別化がしやすいとは言えないため、採用がしやすいサービスではない会社という認識をお持ち頂いて良いかと思います。

ですが、社内文化として、エンジニアのアウトプット・社外での活動が評価に反映されるため、質の高い技術ブログが溜まる環境になっています。

自社の提供サービスと類似しているエンジニアの方が、
AWS関係で困った際に、自社ドメインのブログに当たり、問題解決していくことが増えます。

そこからエンジニアのことを理解してくれそうな会社という印象を受け、見込み候補者に変わっていくというスキームです。

これが好循環で運用されており、100%リファラルか自然応募で採用ができているそうです。

また、それ以外の効能もあると考えられ、AWS関連の仕事をいただける可能性も上がりますよね。クライアント事象も関係なく事業の発展も見込めるため自社の専門分野を伸ばしていく方向でオウンドメディアを強くしていくことは社員の成長・採用面・事業面で有用なため是非お勧めをします。


自社開発編

次に自社開発の企業についてですが、こちらは何を伝えるかが難しくなっている点についてを記載をさせていただきます。

エンジニアに、「何をどういう目的で訴求したいので、コンテンツづくりをお願いしたい!」と依頼することが難しい、と思われる人事は多いと思います。
受託開発の企業より自由度高く自社のことを記載できるのは事実ですが、採用的観点で見た時にブランディングになっていて採用に繋がる内容かはわかりませんし、セキュリティの関係で掲載できない内容などもあるので、お願いすることがハードル高いですよね。

また、受託開発企業と違いテックブログを一生懸命やったとしても自社サービスの売り上げに起因することは少ないので、エンジニア社員には、社員のアウトプットの場として運営することをしっかりと共有しておきましょう。

なぜかというと、採用目的で技術関連のブログ書くのって意味わからなくないですか?
どういう記事書けば採用できる!なんてことはないです。見せたい姿は「定期的にアウトプットしているんだ」という文化です。
例えばメルカリさんのメルカリエンジニアリングはほぼ毎日更新されています!
衝撃ですよね。おそらく採用目的で記載している方はおらず、日誌的なイメージで振り返れるように作成しているのではないかと思います。そういうことが自然とできる文化という点に魅力を感じてくださる方がいるというわけです。

その上で始めは何を書けばいいかわからないと思いますので、オウンドメディアの内容を提案しつつ伴走してあげるには以下から担当エンジニアと相談して、オウンドメディアで定期的に取り上げることができる内容をお話してみてください。

1)開発技術
まずは定番の開発環境です。
人事さんからすると一番何を書いているか分からない領域かと思います。
すごく簡単に解説してみますので、求人票に記載のある内容と重ねて「ウチの会社ならこういう内容を取り上げることができるかも!」となれば幸いです。

・インフラ領域

クラウドコンピューティングサービスモデルにおける管理責任の所在(画像参照元: bmc.com)

例えば最近では上記のようなIaaSやPaaSといったクラウドの種類に含まれるサービスを軸に開発を進める会社が増えております。
求人票で見たことあると思いますが、インフラ領域やミドルウェアなどに記載があるAWSやAzureなどが該当します。

一昔前は図の一番左に該当するオンプレミスという環境で開発することが普通でした。オンプレミスは物理サーバーを自分で用意しないといけないため、初期費用が高かったりセットアップが大変だったりと、気軽にwebサービスを立ち上げることができませんでした。

ですが、クラウドサービスの台頭により手軽にサービスを開発できる環境が出来てきたわけです。そのためここ10年くらいで創業した会社はまずクラウドサービスでインフラ領域を構築して開発しているケースが多いです。
※調べたわけではなく、ポペヌの個人的肌感覚です。違ったらすみません...

まずはここまでで一度振り返りとまとめですが、
インフラ領域はオンプレミスなのかクラウドサービスを使用しているかを確認する。

オンプレミスであればサーバー環境の構築をどうやったのか?ネットワークの設定はどうしているのか?などを記事として取り上げることができます。この際に注意点ですが、セキュリティにダイレクトでダメージを及ぼす可能性がありますので慎重に検討ください。

クラウドサービスを使用しているのであれば、そのクラウドサービスの選定理由や使い方などを取り上げることができます。

・プログラミング言語とライブラリやフレームワーク
ここもイマイチ分かりにくいですよね~。困っている人事さんを多く知っています。

すごく簡単に例えを考えてみました!

プログラミング言語
こちらの特徴はとにかく自由だけど大変ということです。
料理で例えると買い出しから始まる自炊に該当します。
自分で好き勝手出来る代わりに全てを用意して全てを仕込んで味付けまでこなしていくのは大変ですよね。

フレームワーク
これは多少補助をしてくれるイメージです。
料理でイメージするとワタミの宅食Oisixなどの料理キットを使った自炊のようなものだと思います。
決められたレシピ(フレームワークのルール)に沿って調理(開発)すれば美味しい料理(それなりのシステム)ができるが、火を入れたり野菜を切ったりする点ではレシピ通り(フレームワークのルール)にこなす料理技術(プログラミングスキル)が必要になります。
このような感じで使っているフレームワークのルールに沿って開発をすればログイン機能や決済機能などを盛り込んだ作りたいアプリの開発できます。
※あくまでもたとえです

そこにオリジナリティを追加していくときにさらにコーディング(プログラミング言語で書くこと)をすることでオリジナリティを出すことができます。

ライブラリ
よく使われるコードの集まりというイメージをお持ちいただけると良いかと思います。
料理に例えると冷凍食品的なイメージかと思います。例えば忙しい朝お母さんがお弁当を作っていて「緑ないな...」となってしまった時に冷凍食品と入れ替えたりしますよね。
このような感じで入れたい機能に該当するコードの集まりを入れ替えることで機能の入れ替えを簡単にできるわけです。
※チンすればOKなほど楽にはならないので、ほんとにイメージでお願いします!

ここまででもう一度振り返りとまとめですが、
フレームワークは料理キットで自炊するイメージで、作る人によってそこまで差が出ないので、開発や引継ぎなどがしやすいなどのメリットがあります。ですが、大幅にシステムを変更しようとすると一から作り直す必要があります。
ライブラリはルールに縛られないため、使い方さえ理解していれば自由度高く開発できます。

フレームワークであれば選定理由や使い方など。
ライブラリは使用箇所や方法などが良いかと思います。

2)開発環境・手法・工程

次に開発環境・手法・工程です。
これは本当に書くべきです!同じことをしていますが、採用のオペレーションが様々な会社で違うように、開発手法や工程は意外にオリジナリティ溢れているケースが多いです。
また、転職する際にエンジニアの方は相当意識している点であり、記載がなければ面接でほぼ確実に聞かれると思います。聞かれるなら開示してしまった方が親切ですので、記載をするべきという答えに繋がっているわけです。

ただ開発環境や手法を記載するだけでなく、連携方法やコミュニケーションの取り方まで細かい点を記載して行くことでリアルをお伝えしましょう。
また、最近ではリモートワークが主流になっているので自宅の環境も記載してみると面白いかもしれませんね。

ここでは面白い記事ありましたので、紹介しておきます。


3)教育関連の内容
以前受け入れ態勢でも取り上げましたが、入社後の研修の内容などを開示することを採用力が強い会社でおこなわれ始めています。内容も相当赤裸々に開示しており、各社の研修にかける思いが見え隠れしている様子が分かります。
詳しくは下記の記事で解説しておりますので、ご確認ください。

4)その他
これら以外ですと、会社の特徴や現状によって以下のような内容を取り上げることができます。
・キャリアプラン事例
・社内勉強会の様子やレビュー
・裁量権や意思決定の際のフロー
・社員が登壇したイベントの記事
・事業や開発環境に関係なく個人の好きな技術について
・社内の椅子
※これなぜかエンジニアの人みんな聞いてくるんですよ(笑)


まとめ

今回は2部作の前編という事で、採用広報の前提と内容についてだけを簡単にまとめをさせていただきました。
最後にお伝えしたいこととしては、「何が出来るか」を伝えることが重要!ということです。
社内にいると伝えたいことが多くなってしまうのはすごく共感しますので、だからこそ外部からの意見を取り入れながら作成をしていただけるとより良い広報物が出来上がっていくと思います。
相談したいと思っていただけましたらぜひCrepeに一声いただけると幸いです。
それでは次回後編ではアーンドメディアやペイドメディアについて、まとめていきたいと思います。

ライター:ポペヌ
エンジニア歴約10年、人事歴約3年。中学時代からエンジニアとしてお小遣い稼ぎを始め、エンジニア経験を活かしながら、大手IT企業にて人事に転身。「プログラミングができる人事」として、主に経営陣をカウンターパートに経営視点の人事戦略設計〜実行、検証まで従事。即戦力エンジニアをオフライン・オンライン施策をベースに採用単価0円で採用実現するなど、特に新卒採用、およびエンジニア採用に強みを持つ。

「すごい人事」情報局運営元:株式会社Crepe 
Crepeでは、ESG観点からみた人的資本における企業価値向上支援を行っています。具体的には、採用CX(候補者体験)向上ための採用戦略コンサルティング、採用ストーリーブック制作、研修トレーニング、EX(従業員体験)向上のための組織コンサルティング、エンゲージメント向上 HRtech「ミライチズ」などを通して、より良い個人と企業の関係の質向上支援を行っています。◆お問合わせはこちら

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