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エンジニア歴10年の人事が教える-新卒エンジニアの参考にしたい研修事例まとめ

お久しぶりです!ポペヌでございます。

年も明け本格的に新卒採用の時期がやってまいりましたね!
多くの企業で目標に向けて動き出しをされていると思います。

それと合わせて4月から入社してくる22卒の方の研修を昨年の反省を踏まえて見直しなどをしていかないといけなく、人事さんが最も慌ただしい時期ですね!

そんなことで今回は見直しなどをするタイミングかと思いますので、現場で活躍する社員を育てる・見極める、採用と研修の設計方法についてエンジニアverでまとめていきたいと思います。

【このシリーズを読んでほしい人】
採用計画を作るのに苦戦している方
ペルソナの設計方法に苦手意識を持っている方
研修を導入したいと思っているがどうすればいいかわからない方
現場にペルソナを明確に伝えることができない人事さん

1.新卒の配属までのアクションとペルソナ・技術要件設計

よく採用段階ではペルソナ設計というワードが出ますが、技術要件を細かく求める会社さんであれば基本的な考え方として現場で活躍できる方の要件を整理してして、それまでに至るフェーズごとにマイルストーンを置く形で技術要件を設計することをお勧めします。

まずは現場で活躍されるまでにあるアクションをまとめていきたいと思います。

1)採用
2)研修
3)配属
4)現場で経験を積む

オーソドックスに表すとこの4つになります。

先ほども触れたように多くの会社が1番の採用の段階ではペルソナを設計しています。即戦力の中途であれば入社=活躍で考えることが多いと思いますので良いのですが、社会人経験がない・乏しい新卒ではそうはいきません。

生まれたばかりの赤子の成長が信じられないくらい早いように、新卒は少しの経験で爆発的に成長する可能性を秘めています。だからこそ研修で得られる経験やスキル、現場で経験できるスキルまで加味してあげることが重要になります。

また、エンジニアの場合はスキル・経験で活躍がある程度見込みやすい職種故に活躍できる要素を設計しやすいのが良い点です。

どのようにして考えていくかですが、基本的にはゴール(現場で活躍できる状態)から引き算をします。

現場で活躍する方の能力を想定し、そこから現場でしか育む事ができない要素を引き、研修で確実に身につけることができる要素を更に引いた状態が採用するべき人物像になっているかを確認しましょう。

分かりやすい事例で表現をしてみます。

まずは概要や環境情報

想定企業:自社開発のクラウド企業
開発サービス:業務効率化webアプリ
想定職種:サーバサイドエンジニア
【開発環境】
開発言語:JavaScript,TypeScript,PHP
フレームワーク:Nuxt.js,Vue.js,Laravel
DB・キャッシュ:MySQL
CI・CD:GitHub Actions
インフラ:AWS
ログ管理:DataDog
その他:Docker, GitHub,Slack

※この環境ではサービスにならないだろ!という声はごもっともですが、今回は例なのでご了承ください。

よくある求人票や現場から上がってくる要望みたいになりましたね。
今回は上記のスキルが全て網羅できている方が活躍できることとします。

次に相互関係などから検討しなくてもよい項目を削ります。

開発言語:TypeScript,※JavaScript使えれば使えるから
フレームワーク:Nuxt.js,Vue.js※JavaScript使える方であればググりながら使えるから
        Laravel※PHP使用できれば簡単に使えるから
ログ管理:DataDog※学ぶ必要がないため

このような形で言語やフレームワーク・ライブラリとの関係から必要のない要素を省きましょう。この作業はプログラミング未経験の人事さんでは難しいので、2~3年目くらいの若手エンジニアにお願いして一緒にやると良いです。2~3年目くらいだとシステムの全体感もしっかりと理解しつつも、入社時がまだ近いので参考になる意見が多いためです。


次に現場で培える、培うべき能力・経験を考えます。

こちらも上記同様若手に話を聞くのが良いかもしれないですね。

CI・CD:GitHub Actions※継続的な開発業務で初めて意味を成す技術の為
その他:Slack※先輩社員や上司との関係性を知る

現場でしか分からないことというのは基本的には少ないですが、新入社員の場合は学校やインターンなどの短い期間で断続的な開発経験しか積んでいないケースが多いので、継続的に開発をおこなっていくための経験は新鮮だったりします。

また、仕事を進めていく上での人間関係ばかりは入らないと分からないので、Slackなどの使い方はわかっていても、会社やチームの暗黙のルールを知る名目でこちらに入れています。

上記の要素以外にも現場では開発手法などを覚えていかないといけないです。


研修で培える能力

DB・キャッシュ:MySQL※現場レベルまで引き上げる
インフラ:AWS※意外に触ったことがない学生が多いので、触れさせてあげる
その他:Docker※Dockerでアプリケーションを動作させるために知識などを入れる
    GitHub※共同開発では欠かせないため、管理方法などを教える

学校では教えない・詳しくはやらない内容だが、現場に出たら基本となる要素を研修で教えていきます。

そしてこれらの要素を引いて残った要素が下記になります。

開発言語:JavaScript,PHP

長かったですね。

これで採用時に必要な要素が割り出せました。
実際にはここまで単純にはできないですし、研修の内容次第では必要な能力はもっと増えます。さらに言うとJavaScriptでなくてもよかったりもします。ですが、このようなイメージで技術要件を落とし込むことができることを覚えていただけると嬉しいです。

せっかくですので、次からはIT企業がどんな採用要件を提示しており、どんな研修をしているのかなどをまとめていこうと思います。


2.企業の採用要件と研修内容事例

なかなか研修内容を開示している企業は少ないのですが、ここ最近でサイボウズさんとサイバーエージェントさんの2社が開示をしていましたので、ありがたく参考にさせていただこうと思います。

サイボウズさん

日本でも有数の働き方が独特で様々な挑戦をしている会社ですね。
個人的に携わっている会社でよくサイボウズさんと併願いただくので複雑な気持ちですが、それゆえに良く調べておりすごく魅力を知っている企業です。

そんなサイボウズさんですが、今年の7月に突然新人研修の資料を公開しました。
これを一目見て感じたことは「基礎からやるんだ」ということです。

サイボウズさんの採用ペルソナを採用ページから1で例えに出したサーバーサイドエンジニアで確認すると、

「チームワークあふれる社会を創る」という企業理念への共感
Webアプリケーションの開発経験2年以上
RDBMSを利用した開発実務経験
コンピュータサイエンスの基礎知識(アルゴリズムとデータ構造、セキュリティ、ネットワークなど)

新卒では相当高い要件だと感じますよね。

このレベルの方達を採用していても、webアプリケーションの概要などからおこなっており、基礎を重要視している印象を受けます。一定経験をしてきた方に再度基礎を教えると新しい発見や地に足をつける効果があるため、我流に走らず足並みを揃えて個人のパフォーマンスに影響されにくい開発組織にする意識が伺えます。

また、技術系の内容がメインであるというのも特徴な気がします。ここには記載がない可能性も考えられますが、他の会社ではサービスの収益方法やその中でのエンジニアの関わり方などを研修で教えている印象が多いです。

これらに重きを置いて研修している印象なのが、サイバーエージェントさんです。


サイバーエージェントさん

「21世紀を代表する会社を創る」をキーワードに様々な領域で事業展開をしている会社さんです。こちらも夏ごろに研修資料を公開しており、公開した内容はチームワーク重視の内容でした。

エンジニアは1人で働くことはなく、基本的にはチームで働くため、チームでの働き方やチームでの評価基準などが内容として盛り込まれています。また、エンジニアがプロダクトに貢献する際に意識することなど、指示書通りに作るだけのエンジニアではなく、事業を活性化させるエンジニアに成長してほしいというメッセージも見えます。

個人的にいいなと思った点ですと、職種の役割について明示されている点です。

会社によってPMやSEなどの人たちの役割や認識が違うことが多く、開発業務を行っていく際に情報共有や確認作業でミスが起こることが多いです。その点を入社の段階で明確にしている点は素敵だなと思いました。

サイバーエージェントさんはマイページ制になっており、要件が明確に公開されていませんでしたので推測ですが、サイボウズさんと大きく変わらない開発経験を有する方が対象になってくると思います。

その方達に対して、社内に早期に慣れ、活躍いただくための研修という印象になりますね。

採用ピッチ資料の時がそうでしたが、このような情報開示は一度企業が始めるとすぐに他社も真似をして開示する傾向がありますので、来年には様々な会社のエンジニア研修の事例が上がり、より研修と採用のペルソナや技術要件の落とし込みがしやすくなる事が期待できます。

まとめ

採用や研修、現場で得られる知識からペルソナ像や技術要件を落とし込む方法についてまとめさせていただきました。今回はある程度経験ある新卒エンジニアを採用する前提でしたが、未経験を採用する会社であれば内定期間の研修など、検討する項目を増やすことができます。今年の新卒エンジニア採用が上手くいかなかった会社さんで採用方針の変更などができていない会社さんなどの参考になればと思います。


ライター:ポペヌ
エンジニア歴約10年、人事歴約3年。中学時代からエンジニアとしてお小遣い稼ぎを始め、エンジニア経験を活かしながら、大手IT企業にて人事に転身。「プログラミングができる人事」として、主に経営陣をカウンターパートに経営視点の人事戦略設計〜実行、検証まで従事。即戦力エンジニアをオフライン・オンライン施策をベースに採用単価0円で採用実現するなど、特に新卒採用、およびエンジニア採用に強みを持つ。

「すごい人事」情報局運営元:株式会社Crepe 
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